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幕間-21

暫くの間は出張先からの不定期投稿になります。ご容赦ください。

『嗚呼……死んでしまうとは情けない』


 その声で目覚めた。ここは……。

 俺がいる場所は液体が満たされた硝子の筒の内部だ。不思議と息苦しさはない。

 唐突に自分に何が起こったか理解した。

「そうか、俺は死んだのか……」

 しかしどうやって死んだか記憶がない。

『最後のお前が死んだ瞬間に新しい身体に移った。だが代償で記憶を一部喪失している』

 そうなのか。しかし神ならなぜ窮地の俺を救ってくれなかったのだ。


『勘違いしているようだが我は未だ全能ではない。邪悪で凶悪な神々と邪悪な神殺しの真龍王(ドレイクロード)に狙われている。故に汝への干渉は短時間かつ最小限でなければならない。今回も危なかった』


 新しい身体と言ったか。見た感じ以前の身体と大差ない様に思うが。


『汝とは別の組織で作らせた最新技術の身体だ。それは――――』


 人間の限界を超えた力を遺憾なく発揮するように骨を灰靭鋼(アーリア)で作り重量が増えたが筋力の増強による身体への負担は軽減した。また自重が増えた分だけ重い武器を振り回しても身体が安定する。

 筋繊維などは錬金学(アルケミー)の最新素材であり人間よりはるかに丈夫だ。それはそのまま物理的な防御力にもなる。神経網も同様であり反応速度がこれまでの倍以上である。

 皮膚は龍人族(ドラケン)から移植してあり伸縮性があり尚且つ丈夫である。臓器などは丈夫な食人鬼(オーガー)豚鬼(オーク)から移植してある。

 痛覚は完全に遮断すると危機意識が弱くなるので通常の九割程度カットに留めた。

 魔術(ギャルダー)に関しては俺の魂にそれを取り扱う才能が皆無との事でこれまで同様に奴隷に無詠唱(テルガン)化を施し大量に隷属させている。

 そんな説明が続く。


 よーするに俺は人間をやめてしまったという事か。


『何をもって人と定義するかを問答するつもりはない』


 確かにと納得する。しかし残機アリの不死身でなくなったのは痛いよな。


『それに関しては手を打った。汝の血を分けた子らを残機とする』


 それって子作りがんばれって事か? それならばより一層励まなければなと思いつつ母体の回復を考えると新しい孕み袋が必要になると思案する。邪神の信徒どもは多くは残酷に殺しぬいていいと信徒どもに言ってある手前だけに独自の入手が必要になる。


『それに関しては汝の身体を用意した結社(ソシエティー)なる組織が必要な分だけ用意する』


「なるほど。しかしその組織と利益が反する時が来たらどうするつもりだ?」


『連中は魔術至上主義者であり、魔術師(メイジ)の絶対数が少ない以上は組織自体が大きくなることはない。数の暴力で踏み潰せばいい』


「だが、手駒が魔術師(メイジ)である必要はあるまい?」


『外注に依頼する以上少数精鋭だがそれでも数の暴力に屈するレベルだ』


 そういう事ならそれはいい。


 ところで俺はなぜ負けたんだ? 残機はそれなりに用意してあった。何故恵まれた能力を誇るはずの俺があんな小娘や出涸らしに苦汁を舐める羽目に……。


『相性であるな』


「相性?」

 思い出すだけで(はらわた)が煮えくり返りそうだが、手も足も出ないと言っていい結果だった。俺の方が動きは早かった筈だが時折、決定的な瞬間だけ姿を見失うのだ。


『あの者らは人を殺すことにのみ技を昇華させた者らだ。汝とは戦いの土俵が違うのだ』


 負けたのは相性の差という事か。

「なら一生勝てないのか?」


『その心配は杞憂だ。新たな肉体なら問題ない。次の対戦では奴らが地べたに転がる番だ』


 そうか。それほどのポテンシャルなのか。この肉体は。


『今はまだ休め。魂がその肉体に完全に定着していない』


 では、そうさてもらおう……。



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