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389話 惨状②

「……(いつき)君」

 僕に声をかけてきたのは倉庫の端で座り込んでいたアリスであった。

 薄暗い場所ゆえに見落としていたけど顔色がかなり悪い。この症状は[鎮静の水薬セディート・ポーション]による中毒症状だ。確か脳の処理能力が著しく低下し心身ともに倦怠感に襲われとにかく何もする気が起きない、らしい。


 僕が対応に困って戸惑っていると和花(のどか)が応じる。

「何があったの?」

 アリスが怠そうに姿勢を変えるとゆっくりと話し始めた。

「昨夜唐突に白き王が多くの信者を連れて出現したの――」


 うちの共同体(クラン)はといえば爆発音がしたからと様子見に出たシュトルムが暫くしても戻ってこないので気になって落ち着かないセシリーが迎えに行く。ところが二人とも一向に戻ってこない。

 流石に気になって健司(けんじ)とアリスが出向くと路上には何かを探す白き王と左腕を斬り落とされ鎧も大きく切り裂かれたシュトルムが倒れており、側には祈る姿勢のまま石化するセシリーがいた。


 そこで一度話が途切れる。アリスが手を差し伸べてきたので掴んでやり引き起こす。ゆっくりであるが倉庫の奥の方へと移動していく。


 寝かされている船員(セーラー)らは殆どが打撲らしく治療を最低限にしてある。魔法での処置が追い付かないのだ。うちには癒し手が数人いるけどそれにしては……。


 僕の考えに気が付いたようでアリスがそれに答えてくれる。

「私は御覧の通り。ピナはあそこで中毒症状に苦しんでる。セシリーは――」

 そう言って指さした方を見れば確か膝をつき天に祈るような姿勢で石化していた。

「あれ、アルマは?」

 和花(のどか)が疑問を口にする。確かに周囲を見回しても見当たらない。それに瑞穂(みずほ)も居ないようだ。


「こっちよ」

 そう言ってアリスが僕らを先導する。倉庫の奥まった箇所であった。そこにふたりが寝かされている。


 だが、何かがおかしい。




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