374話 回想
今回は短いです。
まるで竜也みたいな戦い方だ。
僕は思い出す。
八年生の時の教練で行った剣道の模擬戦の事を――――。
竜也は二等市民であったが、化け物じみた身体能力で将来を期待されており周囲から常に持て囃されていた。当時僕は[高屋流剣術]の初伝であり中伝への道で行き詰っておりややスランプ状態ではあった。
そんな時に戦闘教練の一種である剣道の授業で勝ち抜き形式の模擬戦を執り行う事になった。スランプながらも剣術家一家の子供として順調に勝ち上がり準決勝で竜也と当たった。
当時は親友だと思っていた竜也の恵まれた身体能力を羨ましく思っていたが流石に負けることはないと思っていた。
勝負は二分で決した。型もなにもないただ子供のようながむしゃらな攻撃を捌ききれずに成すすべもなく胴薙ぎを食らったのだ。実剣であれば真っ二つであっただろう。
それを機に彼は僕だけでなく血統だけで特権を貪る武家という存在を憎みつつも小ばかにするようになった。あとで知ったことだが親友ポジを貫いていたものの裏では相当馬鹿にしていたそうだ。
やれ『出涸らし』だの『雑魚』だのと取り巻き達と随分と楽しんでいたようだ。
だが僕にとっては悪いことではなかった。あの一戦で落ち込むどころか一皮むけたからである。[高屋流剣術]中伝の壁をあっさりと乗り越えた。その後は教練でも手合わせるする機会に恵まれなかった。
この龍人族も同じタイプのようなので今の僕であればやりようはある。
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