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369話 上陸②

「とりあえず見て回ろうか」

「そうね」


 そう言って歩き始めたものの見るべきものはあまりなく一刻(二時間)も歩き回れば調査はほとんど終わってしまった。太陽も中点をすぎ軽く昼食を取り残すはテーブル台地だけとなった。


 これまでの調査結果を纏めると林は定期的に整備されていたのか木々の育成は良好であった。木材は(メープル)(ひのき)鋼硬木(ウルリス)と実用的な木材であった。平地に擱座(かくざ)していた多脚戦車コーソー・ラオーソーグは共食い整備された形跡があり恐らくだが終末戦争後に暫く住人がいたのだろう。朽ち具合から五世代(約150年)ほどは経過している。


 平地には建物の構造物(うわもの)は朽ちていたが基礎や土瀝青(アスファルト)の歩道は残されており仮拠点の建設作業が少し楽が出来そうだ。


 ただ気になるのは粗大ごみがどこに消えたのか?


「湖に捨てたんじゃないの?」

 その話をしたら和花(のどか)の回答はこんな感じであった。


「あとはテーブル台地だけか」

「正直って遺跡(当たり)かなと思ってるんだけど」

「ま、ここの状況を見る限り間違いないだろうねぇ。問題は盗掘済みか否かだけど」

 そう言って歩き出す。


 ▲△▲△▲△▲△▲△▲




「さて、困ったね」

 思わず呟いていしまった。

「まだ判らないよ」

 そう答えてくれるのはいいんだけどね。


 テーブル台地の北側斜面に到着したのだが、判りやすいくらいハッキリとした開口部があった。ただ手放しでは喜べない事が。


「この足跡って割と最近よね?」

 開口部の周囲はむき出しの土であり和花(のどか)が指し示す足跡は大小さまざまであった。人数は20人ほどだろ。

「う~ん……。食人鬼(オーガー)豚鬼(オーク)赤肌鬼(ゴブリン)。それにこの靴を履いた小ぶりなのは女性か森霊族(エルフ)かな? あとは(トゥル)族らしいのもあるね」

 この構成……まさかね。


「例の結社(ソシエティー)絡みの冒険者(エーベンターリア)かしら?」

 そう言う和花(のどか)は心底イヤそうな表情(かお)である。

結社(ソシエティー)絡みだろうけど、連中とは限らないかな」

「どういうこと?」

「足跡を見ると推定で15人。内訳は大型が6、小型が10、やや小ぶりが3、普通が1だ。このうち普通サイズは(トゥル)族だとやや大柄、健司(けんじ)くらいだね。やや小ぶりはのうち僅かに大きいのは男かな?」

「そこまで判るものなの?」

 和花(のどか)がそんな馬鹿なと言わん表情(かお)で問う。

「それくらい判らないと斥候(スカウト)は務まらないよ。瑞穂(みずほ)ならもっと細かく分類できるんだろうけど僕にはこれが限界かな」

「なるほどねぇ。それで、どうするの?」

 入るか否かということを問うてるのだろう。


「出て行った形跡がない以上は物色中なんだろうけど……」

「先にテーブル台地の上でも調べつつ明日まで待つ?」

 迷っているとそんな提案をしてくれた。いつものメンツがいない以上は無理は出来ないのだけど好奇心さんが中に入ろうと必死にアピールして来るのだ。


 迷っていると和花(のどか)が僕の好奇心さんを後押しするかのようにこんな事を宣った。

「思うんだけど、魔術至上主義の結社(ソシエティー)にこれ以上の力を着けさせるのってどうなの?」

 正直言うと結社(ソシエティー)かどうかは未定なんだよね。確認するだけでも良いのではないのだろうかという気持ちになった。


「よし、行こう」


 その前に準備である。和花(のどか)は[世界樹の長杖スタッフ・オブ・マエールマピッド]を取り出し紺色の鍔広のとんんがり帽子(エナン)を被り帽子と同じ色の長衣(ローブ)を着る。新衣装のようだ。

「あれ? それどうしたの?」

「あぁ、これ。[呪文貯蓄の指輪スペル・ストアー・リング]の封入(チャージ)をお願いした際にメフィリアちゃんに貰ったの」


 魔術師(メイジ)である僕には判るがどう見ても魔法の工芸品(アーティファクト)である。メフィリアさんが渡したものとなるとどんなとんでも装備なのやら……。


 僕の方はというと今回は隠密行動を優先ということで魔法の工芸品(アーティファクト)である硬革鎧(ハードレザーアーマー)を一式と武器は光剣(フォースソード)投擲短剣(スローイングナイフ)が六本。あとは魔力銃(スパーロー)である。


 出来れば人数分の[妖精の長靴(アルヴンブーツ)]が欲しかったが一人だけ持っていてもあまり意味がないので今回は出番なし。


「そんな装備で大丈夫?」

 普段の重装備でない事から心配してるのだろう。

「大丈夫。問題ないよ」

 と返しておく。金属鎧は隠密行動の際には音を立ててしまい斥候(スカウト)役には厳しい。  


 ほどなくして準備も整い開口部へと入っていくのであった。



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