356話 クラン会議①
冒険者組合で手続きを終え現在たまり場と化している倉庫街へとやってきた。
ここの大型倉庫をいくつか借りそのうちの一か所をたまり場として使っている。
この周辺には倉庫前には10歳未満の子供らがたむろしている。彼はこの周辺で大人相手に御用聞きを行い小遣い稼ぎをしている集団である。
何人かと目が合うと軽く会釈してくる。彼らには幾度か頼みごとをしているが名前は知らない。貧困層の子供らである事だけはわかっている。
たまり場に夕飯前に戻ってきた事もあってか主要メンバーは全員揃っていた。
主要メンバーにいくつかの説明と仕事の割り振りを決めようと提案すると暇を持て余していたメンツは食事でもしながらにしようと提案してきたので夕食は配達で済まそうと提案し、特に反対もなかったので御用聞きの少年らに金を握らせ屋台街で夕飯を買ってきてもらう。その際に木皿と鍋も渡しておく。屋台提供の商品はその場で食べるには向いているが大量に購入して持ち運ぶには向かないからだ。
報酬は一人頭小銀貨5枚と夕飯として買ってきたモノをいくつか提供する。
普通ならお金を持ち逃げされるのではと思うのだが、この世界は盗みの罪は非常に重く、また彼らのように貧しい子供は将来のための人脈作りも兼ねているので目先のしけた犯罪行為を行うより誠実に仕事をこなしたほうが得をするということを代々言い聞かされているのだそうだ。
四半刻ほどして五人の少年らが両手一杯に様々な屋台料理を買って戻ってきた。屋台料理を受け取り彼らの取り分の食事を渡し、お釣りは彼らで分けるように伝えると喜んで去っていった。彼らはどこかで食事をとりつつ次の用事を待つのだ。
「さて、食べながら始めようか」
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食事をとりつつ本日あった出来事を説明する。そしてまず必要なのが教導員の確保である。
そして人材の確保には和花とアルマに一任した。十字路都市テントスならアルマの断罪の聖女の名が十分に利くしどちらも人物の見分けは得意分野である。変な奴を拾ってくることはないだろう。
「なるべく早くいい感じに優秀で誠実な人物を探して欲しい」とお願いしたら揃って「それ、一番面倒な奴じゃない」と声をそろえて怒られた。
次に仕事をお願いするのは槍使いのダグだ。彼には和花とアルマの護衛をお願いする。彼女ら自体も自衛のための訓練は受けているのだが。見た目で侮られる。それもあって上背のある男の護衛をつけるという事ははったり的な意味もある。それに護衛業務は冒険者の仕事としてはよくある業務なのでこれまで縁がなかったというダグに経験を積ませようって考えだ。
ただ街中や室内では羽根付き槍は向かないので光剣を貸し出す。実剣は訓練してないと意外と使い物にならない。それでも打刀よりは遥かに扱いが楽なのだが、それなら木刀や同じ重さの鉄の棒の方がはるかにマシである。
さて次は……。
共同体の密偵として働いてもらっているダグの同僚のレルンには大陸の様々な組織の動きを調査してもらいたいとお願いする。費用は事務方にいえば可能な限り融通するとも伝えた。
次はと思っていると挙手しているものが一人。
「高屋。ちょっといいだろうか?」
主要メンバーではあるが同時に客人でもあるウィンダリア王国の騎士たるシュトルムであった。
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