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329話 いざ登頂へ①

2021-09-01 サブタイ変更

 健司(けんじ)らと別れて早半日。


 ザイドリック級(ザイドリック一番艦)は鬱蒼と生い茂った森を切り裂くように微速(約4ノット)で中央付近に鎮座する山へと向かっている。速度が出ていないのは高さ4サート(約16m)を超える木々をへし折りながら最短距離で突き進んでいるからだ。

 そして次から次へと襲い掛かってくる野良迷宮(アトラクション)産の怪物たちの襲撃に辟易していた。


 取りあえずは船員(セーラー)らを交替で対処させつつ様子を見ている。ついでに導入した最新式の機械式重弩コンパウンド・クロスボウの運用試験も兼ねている。

 この機械式重弩コンパウンド・クロスボウは特殊素材と滑車を用いて張力をこれでもかと言うほど高めてあり威力は折り紙付きだ。ただ構造が複雑で部品調達の面でも難儀する品なので冒険者(エーベンターリア)向けの武器ではない。

 船員(セーラー)らに弓を持たせなかった理由は、訓練時間がかかりすぎる為だ。魔導船(マギル・スキップ)の運用が主であり弓兵としてはあまり求められていない。そのため習得しやすい(クロスボウ)を選択したのだが……。


 想定以上に貫通力があり甲殻をぶち抜いてしまい当たり所が悪いとそのまま襲ってくるのである。太矢(クォーレル)を改造して行動不能指数(ストッピングパワー)の改善を図らないとダメだろう。



「休憩時間中くらいはきちんと休憩したらいいのに……」

 そんな和花(のどか)の呆れたような声で思案から戻ってきた。そう僕らは休憩時間なのであるが、貧乏性なのか魔術(ギャルダー)の勉強に耽っていたのだ。なんとなくではあるが、もうすぐ第七階梯の魔術が使えそうな手応えを感じていたからだ。


 そう第七階梯と言えば憧れの【転移(テレポート)】の魔術があるのである。

 勉強方法はほぼ暗記である。言葉そのものに力を持つ上位古代語(ハイ・エンシェント)とそれに付随する術式(グラニ)、対応する上位古代語(ハイ・エンシェント)に対してどのように万能素子(マナ)を変容していくかを諳んじられるようにならなかればならんのです。

 これを脳内だけで反復させるのである。詠唱してしまうと誤って発動してしまったり暴発の恐れがあるためだ。


 そしてある程度行けると判断したのちに呪印(タルムー)魔法の発動体(デバイダー)で補助を用いて実際に詠唱を行ってみる。きちんと成功すれば無事に発動するわけだけど……。


 これが上手くいかないんだよねぇ。


 更に僕の場合は難易度を上げて師匠のように走りながらの詠唱とかも出来るようにならないといけない訳で。

 発音が難しくちょっとでも狂うと発動しないし、ひどいときは暴発してしまう。


 そして師匠から魔術の理解度を深める課題として固有魔術(エーンスタクト)を作るようにと言われている。この世界の魔術師(メイジ)たちは過去の魔術が完璧であるという思い込みでその復元に精力を傾けており新しいものを創造しようとする意欲に乏しい。それが逆に衰退させている原因だと言っていた。


 課題を言い渡されてアレコレと思案しいくつか纏まりつつあるのだけど、最大の問題は効率化である。

 適当に術式(グラニ)を組んでも魔術は発動するのだけどそういう奴は概ね負荷が大きい。


樹さん(ボス)交代です」


 悩んでいたところ船員(セーラー)が怪物退治のローテーションが回ってきたことを告げてきた。和花(のどか)瑞穂(みずほ)を伴って甲板へと向かう。




ネットに繋がらなくなったりポンコツになった両親の面倒見たり無茶ぶりする上司に振り回されたりしてますが取りあえず生存してます。

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