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319話 未知なる孤島-合流②

 瑞穂(みずほ)を寝かしつけて自室に戻ろうと通路に戻ると――。


「お帰りなさい。心配しましたよ」

 そう言って微笑むアルマが居た。少し眠そうな表情(かお)にも見える。

「心配かけたようで申し訳ない。……それにしても、まだ起きていたの?」

 と返したのだが、よくよく考えればなぜ彼女が僕らに同行しているかを考えれば僕の安否を気にするわな。

「そりゃ、一行を率いる者が何も告げずに不在になれば誰でも心配しますよ」

 そう言ってちょっと怒って見せる。高位の審議官(スタドトラット)たるアルマに予備準備なしに戯言や隠し事は通じないからなぁ……。


 そして日本(やまと)帝国人らしく具体的に何がとは明言せずに謝罪する。それに対して「判っていますよ」と返すと本題に踏む込んできた。

「今まで何をしていました? まさか瑞穂(みずほ)ちゃんと……なんてことはないですよね」

 最後は冗談っぽい言い回しであったが目だけな本気であった。

「理由は分からない。何故か周囲の偵察をしなければと思い始めて……」

 軽い気持ちであったのは間違いない。なんせ水着姿で装備すら碌に持っていなかったのだ。瑞穂(みずほ)を伴っていたので迷う事もないだろうという過信もあったかもしれない。そういう事を話した。


「…………それで【迷いの森(メイズ・ウッズ)】に捕まったと?」

「うん。それも伝説に言われる真の闇森霊族(ダークエルフ)が施した【迷いの森(メイズ・ウッズ)】に捕まっててね。流石の瑞穂(みずほ)でもどうにもならなかったよ」

 真の闇森霊族(ダークエルフ)という単語に知識欲が刺激されたのか一歩踏み込んできて身を乗り出すように話を続けてと無言で促してきた。


「期待しているところで申し訳ないけど、直接会ったわけじゃないんだ」

「それじゃどうしてそれが分かったの?」

「この孤島の主にして僕らをここに誘い込んだ者から聞いた」

「ここは単なる無人島じゃないと?」

「うん。とある事情で大地から切り離された浮島だよ――」


 続きを話さそうとしたところでアルマの人差し指が僕の唇に触れる。

「待った。話が長くなりそうだし恐らくは長い話を二度もさせるのも悪いかな……疲れてるところ引き留めちゃってごめんね」


 そう言うと踵を返し「おやすみなさい」と自室へと戻っっていく。


 確かに同じ話を何度もする手間は省けたとは言える。だが彼女は高位審議官クァタオー・スタドトラットとしての勘で立ち話で片付けられない何かを感じ取ったのかもしれない。


 僕も寝るかと自室に戻った。




 そのまま寝るかと思ったのだが、どうしても気になる事があり調べ物を始めてしまった。今日の疲労の大半は肉体的な疲労というよりは精神の疲れだ。僕も瑞穂(みずほ)死を超越せし者(ノーライフ・キング)たるエスパニア元陛下の無詠唱魔術(テルガン・ギャルダー)精神魔術(チャーム)を警戒していたのである。

 気が付いたら精神誘導されているなんて可能性である。警戒していれば無詠唱(テルガン)でも精神に干渉してくることは分かるのである。


 だが、その形跡はなかった。では僕は何故森に無警戒に近い状態で偵察に出たのだろうか?

 心当たりがあった。


 呪文書(リフ・シラフー)をパラパラと捲り目当ての魔術を探す事八半刻(一五分)

「――あった……。これだ」

 それは精神魔術(チャーム)に属する魔術(ギャルダー)であり、僕らが苦手というかあまり積極的に習得していなかった分野であった。


 その魔術名(ギャルド)を【操虜呪レピティッション・プリズナー】と言う。

 以前にアルマに施されていた【相愛刻(リエゾン)】の親戚のような魔術である。刻印魔術(カーブル)でもあり、刻印(カーブ)の施されたモノの効果範囲に入ると何故かそこへ向かいたくなり術者(キャスター)の意に添うようにべらべらとあれこれと語ってしまったり言われたことを鵜呑みにしたりしてしまうのである。魔術(ギャルダー)の警戒を始めた時にはすでに影響下にあるのだから分かるわけもない。


 完全に僕を狙い撃ちしていたのだ。


 やはり皆に相談すべきと判断は正しかったという事だろうか…………。


社長にやる気(仕事の)をポッキリと圧し折られた事もあり予定よりは早め目投稿で来たかな?


久しぶりに仕事を忘れて遊んだ気がする。

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