318話 未知なる孤島-合流①
久方ぶりの投稿。
調子を取り戻すのと更新ペースアップのために暫し文字数を少な目で投稿します。
「やっと解放された……」
エスパニア陛下の説明というか説得は夜半まで続いたのであった。答えを保留したまま仮活動拠点のそばまで送ってもらったのである。
あっちは睡眠不要なうえに肉体的疲労もないのだが僕らは普通に疲れるし睡眠を必要とする体なのである。そのあたりをご理解いただきたい。
隣りを見れば瑞穂も眠そうなのか欠伸をかみ殺している。無駄とは思いつつ彼女の意見を聞いてみた。
「樹兄さんが選んだのなら私はそれに従うだけ」
そして返ってきた答えは想定通りのものであった。もうちょっと自分の意見をもってもいいと思うのだけどなぁ……。
そう思いつつ歩く事一限ほどすると篝火が見えてきた。しかしなんか違和感を感じる。
平静にしたいたつもりであったが僕の微妙な雰囲気を感じ取ったのか瑞穂も警戒し始めた。
立ち止まり観察すると違和感の正体は僕の想定より篝火の数が多いのだ。不在時に何かあったのだろうか?
警戒しつつ歩を進めると大量の巨大昆虫の死骸が転がっている。よく見れば解体された痕跡があるようだ。という事は僕らを襲った迷宮から溢れた奴らという事かな。
更に歩を進めると溶解した多脚戦車などもあり、それなりに被害が出ているようだ。
死亡者とか出ていないと良いのだけど。
後はザイドリック級は無事だろうか? あれが破損すると色々困ってしまう。
そんな事を思いつつ先へと進むとようやく艦尾ドック式格納庫が見えてきた。開閉扉は開いており明かりが漏れている。こんな時間に作業をしているのか作業音が鳴り響いている。
「樹、無事だったか!」
作業を監督していた健司が僕らに気が付き走り寄ってくるとバシバシと遠慮なく肩を叩く。
僕はと言えば、「悪い悪い。道に迷っちゃってね」と苦笑いで応じる。
「朝になったら捜索隊を出そうかって話になってたんだよ」
「ホント、悪いね。まさか【迷いの森】
に嵌るとは想定してなかったよ……」
当初は単なる孤島と思ってたしねぇ……。
「野郎ども、樹が帰ってきたから休んでいいぞ!」
健司の号令と共に船員らは「お帰りなさい」と口々し部屋へと戻っていく。
「あとで特別賞与でも出さないとなぁ……」
そう呟き、確認したい事を思い出す。
「そういえば、戦闘があったみたいだけど……」
そう言って艦内格納庫の奥にある整備台に懸架された一騎に目が行く。
「長節蟷螂蟲が襲ってきてね。撃退はしたんだがな」
僕の視線を追って破損した愛騎を見る健司がそうボヤくのだが……。
「重量級の装甲を溶解とかとんでもない相手だなぁ……とは言っても健司が無事で何よりだよ」
率直な感想である。操縦槽周囲の装甲も所々が溶けている事から健司の身を心配するが、見た感じだと問題なさそうだ。
長節蟷螂蟲って西方で恐れられている奴だろうに……。西方に行きたがるやつが少ないのも頷ける。討伐するのに騎体が必要だが重量級があの様だとな。騎体の維持費が馬鹿にならないからね。
「負傷者とかはどうだった?」
船員達の雰囲気から恐らくはすぐに回復できる程度の事だったと予想する。
「何度か巨大大雀蜂の襲撃があったが幸いな事に普段の訓練の賜物か軽傷者が数人出た程度だったぞ」
帰ってきた回答は予想の範疇であった。
「取りあえず俺ら休もうぜ。瑞穂ちゃんが寝落ちしそうだ」
そう言って僕の横に目線を移す。釣られてそちらを見れば立ったままうつらうつらと舟を漕いでいる瑞穂が目に映る。
「それじゃおやすみだ」
健司はそう言うとひとりさっさと歩いていく。そんな健司を僕は呼び止める。
「起きたら大事な話がある。居間で待機な」
「わかった」
健司は振り向きもせず手をひらひらとさせ歩いていった。
「さて、部屋に送っていくよ」
僕はと言えば瑞穂の手を引き明日の朝にどう説明したものかと思案する。
そう言えば和花はどうしているんだろう?
仕事が一段落しました。
もっとも超絶ブラック勤務が普通のブラック勤務になっただけですが……。
モチベーションが落ちてきているので一話1500文字前後でなるべくペースアップしようかと思います。




