23話 個別訓練①
文字数を抑えて投稿ペースを上げられるか?という実験のために暫く文字数少なめで行きます。
2018-11-21 サブタイから(改稿版)の文言を外しました。
無事に合流を果たし心身ともに疲れ果てた僕らは割り当てられた個室で泥のように眠った。
目が覚めたのは昼を過ぎたあたりだった。
少し遅めの昼食を食堂で取りつつ、これからの二週間の予定を聞かされる。
ざっくりとは聞いていたけど四人それぞれの長所を伸ばすために師匠の共同体である双頭の真龍から専門の人員を呼び寄せたそうだ。
昼食後はそのまま全員で座学を行うことになっている。
内容は一党での行動のイロハや手信号の復習などだ。実地は後日行うとの事で先ずは知識を頭に入れておけというスタンスらしい。
夕飯までの二刻ほどを質疑応答と状況別対処法の解説などであっという間に過ぎていった。実戦で試すのは個別訓練が終わった後の総仕上げだそうだ。
夕飯後は公用交易語の授業だった。
師匠の説明は発せられた言葉を文字として捉えてはいけないとの事だった。
文字として捉えてしまった場合、意思の疎通において認識のズレが生じるとの事だ。例として出されたのは僕らの世界でもよくあるネット掲示板の書き込みと炎上だった。文字として捉えてしまうと発言者の細かいニュアンスなどが抜け落ちてしまい真意が伝わらない事が多々あるので、注意するのは相手の身振り手振りや仕草、視線、声色などにも注意を払うようにとの事だ。尋問するときもされる際にもこの辺りを意識しておくようにとの事だった。
まだ拉致られてひと月…………きっちり勉強を始めてから二週間も経過していない事もあって、僕らの公用交易語はかなり残念仕様だ。会話は身振り手振りで必死に訴えかければ、なんとか通じそうだけど問題は文字のほうだ。師匠に冒険者がよく使う用語などの辞書を貰ったので暫くは辞書片手に依頼掲示板とか眺めることになるだろう。
もちろん懐具合に余裕があれば通訳師や代筆屋を頼むという手もある。
公用交易語の講義も終わり、後は久しぶりのお風呂に入れるとあって和花が珍しく鼻歌交じりに横を歩いている。
健司と御子柴はといえば二人で何やら話し込んでいる。混ざりたいけど昨夜の出来事で溝を感じてしまい話しかけにくい…………。
娯楽もないので早めの就寝だった。
翌朝は二の刻判に叩き起こされる。
朝食前に柔軟を行いその後は甲板の上を延々と走らされる。体力つくりのためだ。七時に食堂で朝食を取り、その時に教官役の人たちの紹介を受ける。
健司は魔戦技の効率化の訓練と戦闘訓練が主との事で教官役には上位地霊族のバルドさんが担当する。豊かな髭を伸ばし樽型の体形は如何にも僕らが知る地霊族といった感じだ。ただし種族的にはかなりの大柄な人らしい。なぜこの人が担当するのかというと健司の戦闘スタイルは大物喰い向きだから。細かい技術は力で粉砕してしまえというわけだ。
御子柴は斥候としての才能を底上げすることが今回の目的であり、大きく分けて野伏と手練師としての訓練に特化し空き時間で戦闘訓練を行うそうだ。
手練師とはゲームでいう所の盗賊や暗殺者に相当するのだが、呼び名が犯罪者臭いので冒険者組合では手練師と呼ぶらしい。教官役はちっこい女の子だった。
なんでも幼人族という種族で身長は27.5サーグほどが成人サイズらしく見た目も人族の7歳児くらいにしか見えない。御子柴が「合法ロリきたー」と小声とともにガッツポーズをしていたのを僕は見た。
和花は精霊魔法と真語魔術の他に飛び道具の訓練を行うそうだ。精霊魔法に関しては既に使えるようだけど、使える事と使いこなせる事は別物なので共同体に所属の森霊族のフランさんという小柄な女性だ。イメージしていたより耳は長くない。気になって質問してみたら僕のイメージしている森霊族は上位森霊族だと言われた。真語魔術の方は師匠のイケメン相棒であるフェリウスさんだ。両腰に長剣を差す双剣使いってイメージの強い人だけど真語魔術の達人でもある。飛び道具は後衛にとってはある意味必須技能らしい。ゲームのように魔法をバンバン使うことはできないので戦闘が多いと暇になるらしい。教師役は精霊魔法を担当する森霊族のフランさんだ。
ここで気が付いたのだけど、まだ教師役が十人もいるのだが?
これまさか全部僕の担当?
ハハ…………嘘だよね?
本当でした。
この十人は僕の戦闘訓練のために用意した人員でそれぞれ得意の得物が違うそうだ。身体の使い方自体は長年培った[高屋流剣術]で出来上がっているので少しでも今の武器に慣れさせるためにとにかく模擬戦地獄で身体に叩き込もうという事らしい。朝食後に真語魔術を習い昼食後から夕飯までを延々と模擬戦に費やすそうだ、
彼らは舌なめずりしてこっちを見ているんだが生き残れるのだろうか?
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