表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
24/678

幕間-1

非常に短いです。

視点は和花(のどか)さんになります。

 疾走する魔導従士(マギ・スレイブ)は暴れ馬かというほど激しく私たちの身体を揺さぶり続ける。

 私たちは落ちないように必死に荷台に掴まりながらこの激しい中で舌を嚙まずにしゃべり続ける先生に関心しつつ耳を傾けていた。

 細かい事情は聞き逃したけど要約すると、あの町の狂乱は戦争による狂気ではなく人為的なものであろうと言うのが先生の見立てのようだ。それにしても先生はこの激しい揺れの中でよく舌を噛まないものだとどうでもいい感想を抱いていた。


 時速にして40km/hほどで半刻(一時間)ほど走り続けた頃には(すめらぎ)御子柴(みこしば)の二人は完全にぐったりとしていた。何度も吐いていたけど恐らく夕飯の中身は全部リバースしてしまっただろう。


 自力で動く気力もない二人を先生が荷台から降ろし寝かせた後に(いつき)くんと何やら話し込んでいる。



「二人とも大丈夫? 飲めそう?」

 私はといえば(すめらぎ)御子柴(みこしば)の荷物から水袋(ビーコット)を取り出し二人に差し出す。

「悪いな」

「ありがとう」

「どういたしまして」

 二人が水を含み一息ついたところで爆弾を落とす事にした。


「二人とも()()()?」

 あえて大丈夫のところを強調した。


「助かった。落ち着いたよ」


「身体のほうはでしょ? 精神(こころ)の方はどうなの?」

「「…………」」


 僅かばかり逡巡しゅんじゅんしたのちに(すめらぎ)が口を開いた。

「何のことだよ」


「町で人をった時に平然としてたけど二人とも実は結構()てたでしょ?」


 沈黙が支配したがこの沈黙こそが答えただと思う。

「おっかしいなー。バレない自信があったんだがねー」

「俺も迫真の演技キリッだとおもったんだけどなー」

 (すめらぎ)に続いて御子柴(みこしば)も白状する。(いつき)くんは気が付かなかったけど、精霊使い(シャーマン)としての私には精神の精霊(バイム)いわゆる人の感情の動きがある程度は読めるのだ。

(いつき)には内緒にしておいてくれよ。でないと平静を装った意味がないからな」

「そうそう」

 ここは二人を立てて(いつき)くんには内緒にしておこう。

「うん。わかった」

 (いつき)くんは覚悟が足りない。

 優しいのだろうけど、それが通じるのは法や秩序がしっかりと整った日本(やまと)帝国だったからだ。

 必要なら手を下す覚悟がなければこの世界では生きていけない…………先生もそう言っていた。


 果たして私には割り切れるのだろうか?

 いや…………目的のためには割り切らないといけない。

 私は酷い事をしようとしているのだから…………。


「落ち着いたみたいだし、私は行くね」

 そう二人に告げると(いつき)くんの元へと歩いていくのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ