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219話 探索初日②

 アイリーンさんの話を聞き、彼女の現在の境遇は僕らの行いの結果かと思うとやるせない心境にもなるが、僕らにとっては見知らぬ人より美優(みゆう)の境遇の方を何とかしてやりたかったし、その結果として彼女がとばっちりを受けたのだが……。


 問題の誘拐犯はここにいるのだが、まさか名乗りだすわけにもいかず、聖女と呼ばれる女性を攫っている結社(ソシエティー)にすべてを擦り付けようにも肝心の聖女(美憂)は取り返せないからなぁ……。


 その問題の聖女たる美優(みゆう)は今ごろ学院(アカデミア)でのんびりと学園生活を満喫しているのだろうか?

 イケメン枢機卿(変態)に毎夜全裸剥かれて嘗め回される事を強要されていた事を考えると素直に教えたくはないなぁ……。


 などと考えていると、「では、早速お願いがあるのだが……」とアイリーンさんが控えめながらいくつかの要求をし始めた。


 まず武器を失ったので普通の広刃の剣(ブロードソード)凧型盾(カイトシールド)を売って欲しいとお願いされた。

 これに関しては広刃の剣(ブロードソード)船員(セイラー)用のがあったのだが、凧型盾(カイトシールド)は使い手がおらず在庫がなかったので円形盾(ラウンドシールド)で妥協してもらった。安い店売りの安価な白唐檜(ホワイトウッド)製ではなく硬い黒壇(アバノス)製って事で我慢してもらおう。一応、革を張り縁は金属と鋲で補強してあるしそれなりに信頼できる品の筈だ。


 盾の形状の違いからくる使い勝手に関しては慣れてもらうしかない。


 あとは食料の供与と寝床の提供、そして問題となったのが……。



一党(パーティー)に混ぜて欲しい……ですか?」

「駄目だろうか?」

 その表情(かお)にはちょっと悲壮感が漂っている。駄目と言われれば駄目なのだが、助けてしまった以上は今回限りという条件で飲むしかないかな?

 見た感じ、遺跡調査などの技術などはなさそうだし、単独で動かれて下手にかき回されるよりかはマシだと思うことにした。

「こちらの指示に従って頂けるなら構いません」と答えておく。


 そして最後の問題は報酬と言うか分け前の問題だ。最大の問題は高額だがすぐには売却できないブツ一党(パーティー)で確保しておきたいブツがあって均等割りができない場合だ。


 彼女に必要なのは現金だろうし、最悪の場合はこちらの手持ちの現金を支払って、お引き取り願うしかないかな。


 一党(パーティー)はアイリーンを含めて六人となるが、手に入れたブツは船の経費なども含めるので均等割りは出来ないと告げておく。



 ▲△▲△▲△▲△▲△▲


「――――ってな話でまとまったよ」

 完全には回復していないアイリーンさんは寝てしまったので僕らは明日以降の打ち合わせのために再び集合していた。


技量(うで)はどうなんだ? 隣で戦うのならそれなりの技量(うで)だとありがたいのだがな」

 健司(けんじ)の質問はもっともな話だ。武器の特性上どうしても大振り(フルスイング)になりがちの健司(けんじ)の傍をウロウロされると彼の持ち味を殺してしまうのである。僕や瑞穂(みずほ)なら呼吸を合わせて行動できるけど、ハーンやアイリーンさんにそれを期待するのは難しいだろう。


「あの年齢で女性にも拘わらず聖騎士(パラディン)となったことを考えると実力はありそうなんだけど、単に美人だから聖女の引き立て役に位の感覚で採用された可能性もあるんだよね。あまり実戦経験はあるようには感じなかった」


 女性の社会進出が遅れているというか役割分担的に男が働き、女は家庭を守るっていうのが長い事定着している世界なので女性が戦闘職であり権力者層の地位に就くのは珍しい。

 もっとも戦闘職の女性の需要は程ほどあり、身分の高いものの警固に駆り出されることもある。男と違い細やかな配慮や見た目的なものを考慮されてのことだ。


 アイリーンさんの身体を見た感じでは、それなりに訓練はしていたことは窺えた。ハーンよりは技量(うで)はいいと思う。


「ここだと私はあまり役に立てないし、アイリーンさんには私の直衛をお願いしようかなぁ」

 精霊もほとんど存在せず、万能素子(マナ)も薄いこともあり、活躍の場が乏しい和花(のどか)は今回は自衛用に六尺棒(クォータースタッフ)を持って荷運び人(ポーター)である。


 ハーンを和花(のどか)の直衛として付ける予定だったが、要人警護の経験のあるアイリーンさんの方が向いていそうだ。ハーンは荷運び人(ポーター)として同行してもらおう。


「あと緊急用に全員にこれを支給しておくよ」

 ここに来るまでに購入を頼んでおいた激安の魔法の工芸品(アーティファクト)短剣(ダガー)を一人頭五本ずつ渡していく。ハーンは[ジル]の修理中でここにはいないので僕を含めて四人だ。魔法の鞄(ホールディングバッグ)の機能が制限されているので、僕と健司(けんじ)投擲剣(スローイングダガー)と入れ替え、瑞穂(みずほ)和花(のどか)太腿鞘(サイ・シース)腰帯(ベルト)に分けて装着する。


 これには事前に【引き金(トリガー)】の魔術を仕込んであり、「爆ぜろ」と言う命令語(コマンドワード)を唱えると【自爆ファイナル・ストライク】の魔術が発動する仕組みだ。命令語(コマンドワード)日本(やまと)帝国語を用いたのがキモだ。


 魔戦技(ストラグル・アーツ)の【練気斬(リスタ)】や僕の開放(リリース)が使えない、いや、正確には使えるのだが……。

 ここぞという際に強力な一撃が欲しいために用意したものだ。魔法の工芸品(アーティファクト)短剣(ダガー)は四人で二〇本と経費も馬鹿にはならないけど、命には代えられないからね。

 本当は万能素子結晶の剣ソード・オブ・マナクリスタルが欲しかったんだけどね。あれに使う高濃度の万能素子結晶(マナ・クリスタル)は別の目的で使っちゃうので今回はあきらめたのだ。


 取りあえず今夜は早めに就寝しようと思う。見張りは船員(セーラー)達が交代で対応してくれるし多脚戦車(警備用魔像)も利用するので安全安心の筈だ。


3/8(日)連勤を止める貴重な休日だったのですが、執筆に時間を割かずに現実逃避しててANN1800とプリコネRやっとりました。


忙しくても投稿出来るように各話の文字数を少し見直してみようかと思います。

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