2歳半
2歳と半年だ。あの2歳の誕生日から半年がたった。身体がもたんわっ!
毎日毎日毎日毎日、50KMを走らされてきた。
筋肉痛も一切気にされず、前日よりタイムが悪ければ問答無用で飯抜き+外泊+次の日走る量増加。
タイムが良かったとしても、(母親目線から)手を抜いているといわれたら次に走る量が激増する。
それでいて、走る量が増えていたとしても前日よりタイムが遅かったら罰が待っている。
わかってくれるだろうか、俺の心労を。元々銀色だった髪は目立たないものの白色の髪の毛になりつつある。
ただ、最近スキルを入手したり、慣れてきたりしてきたからか、タイムは半年前の半分ほどになっている。
五時間やら六時間程度ならマラソンの選手にしてみれば遅いかもしれない。だが、2歳の子供ならいい方だと思いたい。
ただ、母さんは今日から別の訓練をするといっていた。地獄じゃなかったらいいんだが。
ようやく今日の分の100周を走り終える。この上昇ペースならもう数日すれば5時間を切ることが出来るだろう。
さて、息も整ったし、そろそろ家に戻ってもいいだろうか。いいよな。母さんが近づいてきているが、気にせず戻ってもいいよな?
それに今日は昼食の時間までに終わっているので昼食食べれるだろう。
「ルト。ちょっと待て。今日からは新しい訓練をするといっていただろう。そもそもランニングはただの準備運動だ。こっちにこい。」
いや、ちょっと待てって。飯くらい、普通に食わせてくれてもいいじゃないか。というか、ランニング50KMは断じて準備運動じゃねぇ。
くっそ。最悪だ。
・・・おい、母さん。今の時期にそれは違うだろ。
母さんの恰好は動きやすそうな運動用の服に右手に大剣。左手には何も持っていない。
対する俺も運動用の服だ。それ以外には何も持っていない。
「さぁ、ルト。斬りあうぞ。どこからでもかかってこい。もしも、私に人たちでも充てることが出来たら今日の訓練は終了だ。家に戻ってもいいぞ。あぁ、それとそこらへんに武器を置いてる。好きなのをとれ。」
母さんは手ぶりなどをしながら、俺に説明する。最後にある一方に指を向ける。
そこには、剣や槍、弓や斧などの一般的なものからハルバードやメイスなどもあり、古今東西武器展覧会だな。
あっ。モーニングスターもある。異世界にもあったのか。
ただ、どの武器も重くて、俺が扱うには大きすぎる。
唯一使えるとしたらこのナイフ類か。
持ってみると、意外とずっしりしていて、手に意外とよくなじむ。まるで、すごい長い時間使っているのかと思うほどだ。
よし、これで行こうか。
2本のナイフを両手に逆手で持ち、母さんに切りかかる。
最初から当てられるかと思ったけど、そんなことは全然なく接触する直前に弾かれてしまう。
いやいや、早すぎるでしょ?見ていたはずなのに剣の軌道が見えなかった。
さて、どうするかなぁ。あの速さならナイフ類を投げたとしても避けられるか、弾かれるかだろう。
魔法を使うといっても、そもそも使い方がわからないから、そんなことはできない。
あー。いや、これ詰んだ。今日中には絶対終わらないな。
「よくわかった。お前では、私に一太刀でも当てることが出来ない。ということで、これで訓練だ。」
どんと出てきたのは案山子。のようなもの。それには、わらのようなものがまかれている。あぁ、木の人形か。
で、これで訓練しろ、と?まぁ、母さんに当てられずずっと続くよりいいか。
「とりあえず、一万回。それが終わるまで飯はなし!始めっ!」
またかっ!また耐久レースかっ!終わらせられるよなぁ。・・・なぁ?
「あ、明日からランニングが終わってからこれを一万回するんだぞ。」