50KM
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ。」
つらい、つらすぎる。まだ、10週しか終わっていないのに、既に一時間以上かかってしまっている。
母親の顔を見る限り、途中で終わらせてくれる気はないようだ。・・・これ、死なないかな?
というか、母親がすげぇ。たった一時間で50KM完走してしまった。全身鎧と大剣と見ただけではわからなかったけれど、頭おかしい量の重しをつけてだ。
こえー。異世界こえー。いや、それでも2歳だぞ?普通はやらせないだろ…。
100周目を走り終えたときにはあたりは暗くなっていた。それもそのはず、朝食を食べたのが9時過ぎほど。そこから十時間やら十一時間やら走り続けたのだから。
あー。やばい。すごい眠い。今は7時とか8時とかだ。いつもだったらとっくに寝ている。はぁ、夕食食べたらすぐ寝よう。
やっぱり重い玄関の扉を開き、歩いてリビングに行く。
リビングに置いてある横長のテーブルには母親が待機していた。あ…れ…?ちょっと待って。ご飯がないように見えるけど。
「あぁ、ルト。帰ったのか。じゃあ、外に出ろ。」
は?終わったばっかなんだけど?といった言葉を丁寧にラッピングして伝える。
「あまり甘えたことを言うなよ?時間がかかりすぎている。今日は、外で寝ろ。」
これ以上ないほど、明確な命令形。ほかの解釈の余地はない。断れば、考えるもなく、死。
2歳の子供が一人で生きていけるわけがない。
くそっ。外で寝る以外に手段はないか。外に、物置小屋があったはずだ。今が夏でよかった。
床はごつごつしてるけど、わらがあったので一応、布団と毛布のようなものは作れた。まぁ、予想していたより全然いい結果になった。
それで、寝ることにして、結局寝た。
朝起きて、いい感じの朝だなと思った。
ただ、俺にとっては最悪の朝だ。
それは昨日の寝る前の行動のせいだ。いや、行動しなかったせいか?
思い出してほしい。昨日の運動量を。さらに昼夜の食事を。
そう。過激な運動量で昼夜の食事をしなかった。そのせいで、正常な思考もできない…。
しかも、起きた直後に母親に突入されて強制的に起こされて現在走りの準備中だ。
もう、走りたくない!
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