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可愛い後輩の隣人さん  作者: 堺川天馬
20/30

20話 人の個性はそれぞれ

またもや一ヶ月近く投稿出来ずにすいません……。そのせいかちょっとスランプ気味でございます。阿呆ですね。

それでは本編をどうぞ!

「わかんねぇ……」

 天莉さんが部屋にお泊まりするというハプニングがあった翌日の放課後。

 今日は天莉さんがクラスの用事で珍しく一緒に下校出来なかった為、俺は折角だし暫く顔を出していなかったバスケ部に行くことにした。その為、今はバスケ部のいる体育館に訪れている。

「何をそんなに考え込んでいるんですか?」

 床に座り、一人唸っている俺に声を掛けるのは早乙女光弥先生だ。先生は放課後でも相変わらずの白衣姿である。

「結城殿の事だからどうせ人間関係でござるよ」

 そしてもう一人、オタクでお馴染みの霞ヶ丘慎である。彼も俺と同じように隣に座り、彼の商売道具のスケッチブックにひたすら鉛筆を走らせて夏コミの原稿を製作している。

「どうせとか言うなよ。まぁ当たってんだけどさ」

 因みに何故俺達帰宅部がバスケ部の所にいるかというと、実は俺達はバスケ部の準マネージャーでもあるのだ。

 まぁ、準マネージャーというのは聞こえを良くしているだけで簡単に言ってしまえばただの助っ人。時にはプレイヤーとして、そしてまた時にはマネージャーとして活動したりする。だが、俺達は正式な部員でもマネージャーでも無い為、勿論試合には出場出来ないしベンチで観戦することも禁止だ。あくまでも練習にだけ参加する形だ。活動する時は不定期だがな。準マネで参加するのだって強制じゃないから、参加したい時にバスケ部に来て参加する感じだな。

「ふ~む、人間関係ですか。少し気になりますね。もしや、『いじめ』ですか?」

「まさか」

 俺は首を横に振って否定する。すると先生は安心したように息を吐いた。

「では何ですか?」

 俺は先生に昨晩の天莉さんの寝言について言うか迷った。けどこのまま一人で考えるのも限界があるので、ある程度はぼかして助言を頂くことした。流石に先生に『女の子と一緒のベッドで寝ました』なんて言うわけにもいかないし。

「実は、昔俺と会ったことのある人と昨日遭遇しましてね」

「それは良い出会いですね」

「ですが、俺はその人の事を全く覚えてないんですよ。てか面識があったことすら驚いてます。向こうは覚えているようなんですが」

「なるほどなるほど。だから悩んでいたわけですね」

「はい。向こうは覚えててくれたのに俺が忘れてるって失礼すぎると思うんですよね………」

「君は真面目ですねぇ」

 先生はニコニコと笑い、俺の手よりも一回り大きい大人らしい手で頭を撫でてきた。

「けど忘れてしまっているものは仕方ありません。思い出せるまで待つしかないですよ」

「そうは言いますが………」

「それとも今すぐ思い出さなければならない理由でも?」

「…………自分で言うのもあれなんですけど、どうやら俺は向こうからしたら意外と大きい存在みたいなんです。俺の名を呼んで涙を流すくらいに」

「だから早く思い出してあげたいと?」

 俺は無言で頷く。

「素晴らしい心遣いです。けどやはりそれは待つしかありません」

「ですが……」

「心配ありません。きっと思い出せます。その御相手には暫く待って頂くことになると思いますが、あちらも結城くんのその心遣いを理解してくれる筈です」

「そう、でしょうか……」

「そうです。だから大丈夫です」

 先生は自信満々に胸を張る。こういう謎の説得力と安心感が感じられる辺り、流石先生と言える。

「ありがとうございます」

「いえいえ。教師として当然の事をしたまで」

「時に結城殿、その相手はもしや女子か?」

「まあな」

「むむ、やはり結城殿はモテ男。ハーレムキタコレ」

「そうやってすぐに何でもかんでも色恋沙汰に繋げようとするな。中学生かお前は」

「ヒヒッ、サーセン」

 何がハーレムじゃ。んなもんリアルにあってたまるか。そんなもん存在してたら今頃この世の中色んなイケメンが夜道に刺されまくってるぞ。うわっ、想像したらゾッてした。

 嫌な想像は止めて、マネージャーの手伝いでもしようかと思った時、マネージャー達とは別の所で一人でバスケットボールを磨いているボブカットの女の子が目に入った。

 あの子は確か、一年生の九十九さんだったかな。何で一人でボール磨きしてんだ?

 俺はゆっくりと近づいて九十九さんの隣に腰掛けた。

「やっ、九十九さん」

「ヒェッ!」

 声を掛けると九十九さんはまるで幽霊にでも遭遇したかのように小さな悲鳴を上げて直ぐ様俺から距離を取った。

 ご覧の通り、九十九さんは人見知りなのだ。だから俺は出来るだけ穏やかな雰囲気で話し掛けたのだがそれでも駄目だったようだ。

「九十九さん落ち着こう。俺、準マネの結城。さっき挨拶したろ?」

「あ、あぁぁ……ゆ、ゆゆ結城、せせせせ、せん、先輩………」

 凄いテンパってるな。前髪が長くてあまり目などは見えないがきっとぐるぐると目が回ってるんだと思うな。そんなに俺怖いかな?

「ちょっと聞くんだけど、九十九さんは何で一人でボール磨きしてるの?」

「さささささっき、どどどドリンク、つくっ、作ってたん、でです、けけけ━━━」

「オーケー。一旦落ち着こう。そしてゆっくり君のペースで喋ってくれ。俺はいつまでも待つから。焦らず、ゆっくりと。な?」

 そう促すと、九十九さんは深呼吸を何度かしてから、ゆっくりと小さな唇を動かし始めた。

「…………さっ、さっき、ドリンク、作ってたんですけど、へ、下手だったみたいで」

「だからこうやって一人でボール磨きをさせられていたのか?」

「ち、違い、ます。ボール磨きは、私が言い出して………私、邪魔だった、みたいだから」

「なるほどね」

 他のマネージャーに負担を掛けないように自分から輪を抜け出したと。人思いなんだな。

「けど、寂しくないか?」

「い、いいえ。な、慣れて、いる、ので………私、いつも、一人なの、で………」

 そう言って見えた彼女の笑みには見覚えがあった。俺がいつもする自虐的な笑みとそっくりだった。

 いかんな。この笑みは女の子がする笑みじゃない。女の子はもっと可愛らしい笑顔でなくちゃ。

「わ、私、内気な性格、だから、昔から人と、話すのが苦手、で………」

「つまり君は慎重派なんだな」

「ずっと、一人、で、本ばかり、読んで……」

「読書家か。俺も本を読むのは好きなんだ。話が合いそうだな」

「人と、目を合わせると、どうしても、こ、怖くなっちゃって………」

「相手の対抗心を煽らないからこちらからは話しかけやすくて助かるけどな」

「あ、あああの!!」

「何だ?」

「さ、さっきから、わ、私を良い様に、言うの、やや、止めて下さい……」

 耳の先まで赤くした九十九さんは困ったような照れたような何とも言い難い表情で言う。

「別に良い様に言ってないよ。俺が思った事を言っただけ」

「う、うぅ~……」

「それよりもさ、君、得意な事や好き事ある?」

「と、得意な、こと?」

「うん。何でも良いから教えてくれよ。どんな些細な事でも良い。トランプを混ぜるのが上手かったり、鉛筆をカッターで綺麗に削るのが上手いとかでも良いからさ」

「ほ、本を読むのが、好き………」

「うんうん」

「さ、さ、裁縫が好き………」

「おぉ!裁縫が出来る子って素敵だと思うよ」

「り、領収書、や、ノートをまとめるの、が少し、得意………」

「良いねぇ。じゃあちょっと俺のノートをまとめてみてくれるかな?」

 鞄から地理のノートを出して九十九さんに渡す。突然ノートを渡された九十九さんはやはり困惑していた。

「いやぁ、俺ノートをまとめるの苦手でさ。ただ板書をしてるだけなんだよね」

「で、でも、私、先輩のノートを」

「これはただの確認。だからこのページの冒頭五行だけで良いから、九十九さんの好きなようにまとめてみてくれないかな?ルーズリーフも沢山あるから失敗してもオーケー。お願い出来るかな?」

「そ、それなら、少しだけ、お時間を………」

「いくらでも時間掛けていいからね」

 九十九さんは俺のノートを受け取り、ルーズリーフにまとめ始めた。

 そして十分もしない内に「完成、しました………」とノートとルーズリーフを渡してきた。俺はまとめられたルーズリーフを見て確信した。この子は常人よりも書類をまとめるのが優れているのだと。

「す、好きな、ようにと、おっしゃったので………だ、駄目、でしたか………?」

「駄目じゃない。超読みやすいし分かりやすい。まさかこれ程だったとは」

 冒頭の五行だけで良いと言ったのに、彼女はノート四ページ分をたった十分で、たった一枚のルーズリーフに上手くまとめきった。

 これなら━━、

「九十九さん、一緒に来てくれ」

「えっ、ちょっ」

 九十九さんの手を取り、会いに行くのはマネージャーのリーダーを勤めているポニーテールをした二年の十六夜さん。

 九十九さんが内気で臆病な性格なら十六夜さんは強気で常に堂々としている性格で九十九さんとは正反対の存在だ。

 だが俺は怯まない。十六夜さんと同じくらい強気で堂々としている人をもう一人知っているからだ。そのもう一人が華京さんの事なんだが、まぁ彼女に比べれば十六夜さんなんてまだ可愛いものだ。

「十六夜さん、少し話せるかな?」

「結城くんと九十九ちゃん。どうしたの?」

「さっきまでボール磨きをしていた九十九さんに部員達のデータの整理を任せたいんだ」

「何ですって?」

「━━━ッ」

 流石バスケ部が優秀だと誇るマネージャーだ。威圧感が半端ない。それもその筈だ。彼女のデータには部員達の全てが記されている。シュート率、得意技、体格、ありとあらゆる情報が詰まった、言わばバスケ部にとって『宝』に等しい品物。それを入って間もない一年に管理を任せると言うのだ。そう簡単に「はいそうですか」の許可を出せるわけがない事は俺でも分かる。

「結城くん、いくら貴方の頼みでもそれは許可出来ないわ。あれはバスケ部にとってとても重要な物よ」

「分かってる」

「じゃあ何で?」

「何も彼女一人に全てを託すわけじゃない。ただ『まとめ』をやらせてやって欲しいと頼んでるんだ」

「それこそ駄目よ。あのデータは貴方の言う『まとめ』が一番重要なの。変に情報を書き換えられては困るのよ」

「これを見てもそう言えるか?」

 俺は自分のノートと九十九さんのまとめたルーズリーフを十六夜さんに渡す。

「これは板書のみを行ったノート。そしてこれが九十九さんがこのノート四ページ分をたった十分でまとめたルーズリーフだ」

「見たところ地理のようね。…………これは!?」

「そのルーズリーフにまとめられている内容はノートと微塵も狂いがない。かつ分かり易く、見易く、読み易い。更に四ページの内容を一枚に納める技術。これ程の業は君でさえも難しいんじゃないか?」

「た、確かにそうね。けど………」

「責任は全て俺が持つ。もし不備や誤報があったのならそれは九十九さんを薦めた俺が全て悪い。その時は俺を叱ってくれて構わないし、『二度とバスケ部に訪れない』のような要求も素直に受け取ろう。どうかな?」

 十六夜さんは腕を組んで考える仕草を取る。

 考え初めて五分。俺はもう駄目かと思ったが十六夜さんは俺を一瞥してから物凄く大きな溜め息を吐いて言った。

「………………はぁ~~、分かった。負けたわ。貴方がそこまで言うんだったらデータは彼女に任せようじゃない」

 思わずガッツポーズが出た。結構無理矢理なアタックだったが上手く行った。その事がとても嬉しかった。

「じゃあさっそくやろう。俺も色々教えるから安心して作業してくれ」

「待ちなさい」

「ぐえぅ!」

 いきなり後ろから襟を掴まないでくれよ。変な声出ちゃったじゃんか。

「データはまた今度で良いです」

「じゃあ九十九さんの今日の仕事は?」

「ドリンク製作の練習をして貰うわ。バスケ部のマネージャーならドリンクだけでも作れるようになって貰わないと」

「いじめるなよ?」

 俺の言葉に十六夜さんは心底不服そうに睨んできた。おぉ怖い怖い。

「失礼ね、いじめないわよ。九十九ちゃん、早くあちらに行ってドリンクの作り方を教えて貰いなさい」

「は、はい!」

 九十九さんは俺達に軽くお辞儀してからそそくさと他のマネージャー達と混ざりに行った。

 最初は結構慌ててたが次第に馴染めていった彼女を見て、取り敢えずは大丈夫そうだと俺は安堵の息を吐いた。

「随分とあの子を庇うのね」

 十六夜さんは九十九さんを眺めながら言った。

「別に。ただ寂しそうだったんでね。ちょっとだけ手を差しのべただけだよ」

「それにしては必死に見えたけど?」

「俺はいつでも必死だよ。こと他人事に関してはね。君の方こそ、最後は心折れてくれたじゃん」

「まるで私が強情な人のような言い方ね」

「強情とまでは思ってないけど、人には厳しい人だと思ってた」

「失礼ね、私個人に関わる事だったらさっきみたいに厳しくしないわ。データに関しては部活全体に影響するからいい加減に扱って欲しくなかったのよ」

「なるほどね」

「それに私だって一年生とギクシャクしたままでは嫌なのよ。貴方みたいに普通にお話してみたいわ。ちょっとは私にもお世話させなさい」

「あっ、今デレたな」

「うっさいわよ」

「ひでのぶっ!」

 急にお腹殴るの良くないと思います。誰の名前か分からない嗚咽出ちゃったじゃないですか。ツンデレ発動するならもっと別の場所でしてください。俺はツンデレ嫌いじゃないですけど痛いのは嫌です。

「兎に角、アンタばかりに一年は取らせないから」

「取ってないさ。人聞きの悪いなぁ」

「ふん。どうだか」

「と言いますと?」

「弥生って子にも随分と好かれてるらしいじゃない」

「またか………もうそれは聞き飽きた」

「その癖して別の子にも手を出すと。女誑しかしら?」

「怒るぞ?」

「あら怖い」

 クスクスと普段とは違う緩んだ表情。彼女もそこそこ容姿が良いから笑顔がまた似合うこと。

「もういいから九十九さんについていてあげなよ。仲良くなりたいんだろ?」

「言われなくてもそうするわ」

 俺は十六夜さんと別れ、彼女はマネージャー達の方へ、俺は先生と霞ヶ丘の元へ戻った。先程までは彼ら二人だけだったのだがもう一人増えてた。キャプテンの柊哲哉だ。

「おう結城、今日来るなら来るって言えよ」

「最初は来る予定じゃなかったんだよ」

「あ~あ、来るって分かってたらお前のユニフォームも用意してミニゲーム出来てたのに」

「悪かったよ」

「人が必死こいて練習してるってのにナンパもしてるし」

「してねぇ」

 誰がナンパだ。十六夜さんみたいな女性にナンパするくらいなら華京さんや天莉さんにした方がまだマシだ。

「今の言葉、二人に伝えておきましょうかねぇ」

「おっ、やったれオトメン」

「止めて?俺逆に襲われちゃうから」

「それは自分がモテていると自覚していると捉えてもよろしいのですな?」

「霞ヶ丘も勘弁してくれ。ただでさえ色んな所から変な噂を聞くのにお前らまでそっち側に回られたら俺対処しきれねぇぞ」

 天莉さんは兎も角、華京さんにはこの前告白紛いな事をまたされたばかりだから勘違いされると困るんだよ。

「青春ですねぇ」

「アンタそれ言えば何でも片付くと思ったら大間違いだからな」

「ゆゆゆゆゆゆ、結城!せせせせせん、先輩!」

「ほえっ?」

 後ろから声をかけられた。この震えた声は絶対あの子のものだ。

「どうしたのかな?九十九さん」

「あ、あああ、あの!」

 やはり九十九さんだった。ガタガタと怯える彼女の小さな手には薄く白く濁った液体の入ったドリンク。もう作れたのか。スピードは中々悪くない。

「こ、ここここれ!よよ、よけれ、ば!のんで、ででで、くだ、さい!!」

「おお!君が作ったドリンクか。俺で良ければ味見させて貰うよ」

 快くペットボトルを受け取って早速中のドリンクの味見をした。

 正直に言わせて貰おう。超絶不味かった。

 何だこの兵器は。口の中へ注がれた瞬間全身を駆け巡る悪寒。ドロドロとしているが所々ざらついた舌触り。味は辛味と酸味と苦味と甘味のカーニバル。一瞬毒物を飲まされたのかと思った。

「…………九十九さん、これ何入れたの?」

「え、えっと………塩、レモン汁、砂糖………」

 おかしいな。材料を聞く辺りそこまで変な物は入っていない。なら何故こんなにおかしな味になったんだろうか。

「プロテイン、タブレット、栄養ドリンクに━━━」

「はいストップ!そこだねぇ!不味くなった理由はそこにあるねぇ!」

「ごごごごごめんなひゃい!!」

「あぁ待って!怒ってない!怒ってないから泣かないで!!」

 ビクゥッと飛び上がり泣きそうになる九十九さんを必死に宥める。彼女が落ち着いてきた所を見計らって優しく提案する。

「九十九さん、最初は思い付きで作らずに十六夜さんに一からきちんと教えて貰いな。そしたら美味しいドリンク作れるからさ」

「は、はい…………」

「よし。じゃあもう一回頑張って来な」

「あの、そのドリンクは………」

「俺が貰うよ」

「だ、駄目です!!捨ててください!!」

「嫌だね。折角作ってくれたんだから飲む。飲ませてくれよ」

「あっ、うぅ………こ、ここ今度は、お、美味しいの、つくって、き、来ます」

「楽しみにしてるよ」

 再び九十九さんはマネージャー達に混ざりに行った。

 俺は引き続き彼女がくれたドリンクを飲み始める。やはり不味い。

「結城くん、大丈夫ですか?」

「うぷっ……だい、じょうぶ………これくらい………」

「顔真っ青でござるよ?」

 うるせぇな。言うんじゃねぇよ。余計に気分悪くなってくるだろうが。

「良いなぁ~。俺も後輩から手作りドリンク貰いて~」

「なら飲んでみるか?」

「遠慮するぜ!!」

 そもそも後輩からじゃなくても毎日マネージャー達から手作りドリンク貰ってんだから良いだろう。

 胸焼けがしてくるのを我慢して飲み続けて残り僅かになってきた頃。九十九さんが新しいドリンクを持って来た。

「ど、どどどうぞ!!」

 有り難く受け取った。だがやはりそれも一個目と差ほど変わらない不味さだった。けどそれも含めて全て飲み干した。

 それ以降も五回くらいドリンクを飲まされたわけだが全て安定の不味さだった。だが俺もその全てを飲み干したわけだ。お陰で九十九さんは根っからの料理オンチだと発覚し、更には九十九さんは俺専属のドリンク製作者に抜擢された。勿論指名したのは柊と十六夜さんだ。解せねぇ………。

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