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(水)魔法使いなんですけど  作者: ふーさん
5章 願い歩む者たち
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告白

リア充○ね!

 ここ最近、朝から晩までずっとリフの事しか頭に無かった。


 小さな身体1つでアルモニカやエルトト村、そしてジルット村の人々の為に無償で水を提供し、水魔法使いやその他住民にも水に対する意識改革となる説法を広め、村に活気を与え多くの人に笑顔をもたらすリフの姿に俺は心惹かれていた。



「…私は、姉や他の水魔法使い達を助けたい、それは前から1つも変わっていない」



 アルモニカの地下水路を出てから俺に言ってくれた台詞だ。 あの時はリフの心意気に素直に尊敬したが行動に移すのはもっと後だと俺は思っていた。

 しかしリフが行動を起こしたのは予想以上に早かった。 アルモニカ周辺を中心とした干ばつが発生すると自己犠牲も(いと)わず自ら水魔法使いである事を(おおやけ)にし水を提供していった。

 タイラントワイバーン討伐の依頼のついでに立ち寄ったジルット村でも水の無償提供や、水に対する意識改革を広め村を湧かせた。


 この世界は広く、多くの水魔法使い達を助けるなんて途方も無い話で、いつかどこかで(くじ)けてしまうのではないかと心配で仕方が無かった。

 冒険者になってまだ大きな怪我とかは負っていないようだが、常にリフの味方をする存在が動物達だけというのも気になった。

 これは俺の推測だがリフの目的が水魔法使い達を助けるという事は分かっている、しかしリフの性格上自分の目的の為に他人の都合を無視して巻き込むのは控えているのではないかと俺は思ったのだ。


 だから俺は好きなリフの味方になろうと時間を共にした…していたかったのかも知れない。 少しでも長くリフの傍に居続ける為に取った行動をいつの間にかしていたのだ。


 そして黒き翼竜(バケモノ)に食われそうになりリフの怯えた表情を見た時の絶望感、焦燥感なんてのはもう感じたくはない…寿命が縮む。


 そしてリフの中にスピリットデーモンが宿って暴走している今、どうにかしてリフを傷つけずに救う方法を俺は考えた。 武器や魔法は論外だ、それ以外で俺に出来る事と言えば何だ?



 すぐに答えは出て来なかったが氷の檻に閉じ込められてしまった俺に一筋の希望が照らした。



「うぉん!」『助けにきたよ!』

「お前、ポコか!?」

「わふっ!」『いえす!』

「助かった、地面を掘って移動したのか…そうだ! リフの足元付近まで掘れるか?」

「くぉーん!」『おっけーい!』


 どうやら霧の中ではリフに居場所がバレてしまうようであったが地面までは感知出来ないのか、または地面の中までは対応しきれないのか分からないが勢いよく地中を魔法で掘って進んで行くポコの後ろを俺はついて行き、どうにかしてリフィンの背後を捕らえる事に成功した。


「リフッ!」

「えっ、なんでグレンがんんっ!?」


 そして俺は無策のまま、なるようになれとリフの唇を奪った。


 リフとキスをするのはこれで3度目…アルモニカで水を提供した日と今回の遠征に出発する前の時だ…ジルット村では警戒されて未遂に終わってしまったが…

 よく考えれば、俺を受け止めて欲しい、そして俺を受け入れて欲しいという一方的な気持ちだけの端から見れば迷惑極まりないわがままで自己中心的な行為ばかりだが、俺の本心でもあった。


「ん”ん”ーーっ!?」


 唇が柔らかくて鼻腔をくすぐる良い匂いがする、ちょっと酒の香りも混じっていてそれがまた俺の脳を刺激させた。

 欲しい、リフの全てが欲しい…愛おしくて(たま)らない、リフになら全てを捧げようと本気で思えた。


「んむ……んっ……」


 だからリフ、早く正気に戻ってくれ!




◆ ◆ ◆ ◆ ◆




「…んぁ」


 グレンの長い接吻(キス)からようやく解放されたリフィンであったが、今度はガバッと抱きつかれてしまった。

 真っ赤に頬を染めその場で固まり目の焦点があわないリフィン、抵抗する以前に立っている力すらも抜けたのだがグレンに支えられる形で立ったままの状態で居られたのであった。


「俺がお前を助ける! お前の精神が(むしば)まれ()もうとも俺が絶対に救ってやる!」

「んぅ…」

「お前が黒き翼竜(バケモノ)に食われそうになった時なんか! 俺は自分の未熟さを思い知らされた! お前の味方になるって誓ったのに! 俺はお前を助けてやる事が出来なかったんだ!」

「…」

「もう二度とそんな事が起きないように俺がお前を守る! リフ! お前を守らせてくれよぉぉぉおおお!」


 目に涙を浮かべながらリフィンをギュッと抱きしめるグレン、だが実際はスピリットデーモンはリフィンの精神を(むしば)むなんて事はしておらず、キスされた時の快感によってスピリットデーモンはリフィンの身体から完全に抜け出していたのである。


「ふにゃぁぁあ〜〜」

「グレン…もう出たよ」

「っ!?」

「…多分、グレンが彼女をテイムしたと思う」

「…は?」

「あぅ…」


 リフが訳分からない事を言ってきた。 リフからスピリットデーモンが抜け出し何故か俺の近くに居るがそんなことよりリフの憑依が解けて嬉しかった俺は、もう1度リフを強く抱きしめた。




◆ ◆ ◆ ◆ ◆




 グレンを意識するようになったのはアルモニカで水を提供する前日だったと思う。


 ディクトの馬小屋を作るのを手伝ってくれた時に頼りになるなぁって感じて、馬小屋が完成してお礼を言うときは凄く恥ずかしかった。

 そのあとガダイスキ邸でプラム様とアルモニカの人達に水を提供する事を決め、グレンがそれも手伝うと言ってくれた時も私は顔を赤くした覚えがある。


 そして水を提供していき、魔力が尽きかけポーションを使おうとしていた私に言ってくれた言葉「お前が大事だ」という言葉で私は恐らくグレンの事が好きになってしまった。


 好きかどうか分からないとか長い事意地張っていたけど、私はグレンが好きだと認める。

 だって軽い女とは思われたくなかったし恥ずかしいから可能な限り避けたかったんだけど思い返してみれば、グレンを最近意識したり目で追っていたような気もするのだ。

 アルモニカでグレンとの仲を(うわさ)され話の内容に妄想し、グレンと二人で居る時は彼なりに優しくされて顔を赤くした。

 積極的にアプローチをかけて来る時も私はグレンの人と(なり)、中身を見ていた。 彼は少し自己中心的で恋愛に関しては不器用なんだなと思った。 いきなりキスしてくるキス魔だし、ロマンチックの欠片も無いくらい恋愛下手だった。

 私に対して何度か失礼な事も言って来たし、少しサドな気質もあるのか容赦ないところもあった。


 そんなグレンだけども、一番私の中でグレンを好きになれたきっかけは、私が水魔法使いだという事や私のやるべき事を言った時に言ってくれた言葉かもしれない。



「敬意を払うに値する」

「お前は俺が認めた水魔法使いだ!」



 あれは私を対等に見てくれた言葉だと思う。 その時の報酬は半分にしてくれたし、その後も対等に接してくれた。

 その程度の事なのに、存外私はそれが嬉しかったのかも知れない…私の苦悩や頑張りを見てくれたのは今までお姉ちゃん以外だと彼が初めてかもしれない、その時はまだ良い奴としか見てなかったんだけど、キスされて「俺はお前の事が好きだ」とか言われたらそんなの…好きになるよ!


 お姉ちゃんが黒き翼竜(バケモノ)を倒してからグレンに元気が無いなとか思って気にしてたら、私を守りきれなかったとかで落ち込んでいたとかで、子供か!って思ったけど、そんなの嬉しいに決まってるよ!


 あぁ、もう私は彼に(ほだ)されてるんだなぁ…



 …あの時の返事をグレンに返そう、私の素直な気持ちを




◆ ◆ ◆ ◆ ◆




 ゆっくりと抱きしめた腕を緩め、お互い見つめ合うように視線を交わすとリフィンから声を出した。


「私、グレンの事嫌い」

「っ!?」

「誰にでも突っかかっていくところ…身に覚えあるよね?」

「…あぁ」

「私の意思を無視してキスするところ…ロマンの欠片も無い人前とか、今もそう」

「…済まない」

「そして人の話を聞かないところ…だからこんな時間にこんな所まで来てる」

「…そう、だな」

「支配欲ありすぎなところ…私はモノじゃない!」


 グレンが待っていたリフィンからの返答は、拒否の返答だった。

 あの時リフィンの意思を尊重すると言った手前、グレンはその場で(うつむ)き身体を震わせながらもリフィンの返答を素直に受け入れる覚悟を決める。


「分かった、謝罪させてくれ…お前の前にはもう___」

「でもそれ以上に!」


 グレンが抱きしめていた腕を解こうと緩めるが、逆にリフィンから強く抱きしめられた。


「っ!?」

「私はグレンの事、好きなの…私を対等に扱ってくれた事とか、手伝ってくれた事、気を遣ってくれた事、好きって言ってくれた事や守ろうとしてくれている事…そんな人あなたが初めて」

「…」

「私はこれからも水魔法使い達や多くの人々を救いたい…それでも私に手伝ってくれる?」

「あぁ、リフの為なら喜んでするさ」

「…ありがとグレン、大好き!」


 声を震わせながら本当の気持ちを言いきったリフィンは、半分泣きながらグレンの胸にしがみついた。

 それに驚愕したと同時に歓喜に湧いたグレンは自身の胸にすっぽりと収まるリフィンの頭を優しく撫でるのであった。




● ● ● ● ●




「私は認めなぁぁぁぁぁぁあああああああい!!!!」


 バリィィィイイイン!!!


 とリフィンが展開した氷の覆壁(アモンジト・ヘイス)をぶち壊してアストレアが飛び出してきた。

 だがしかし、少し遅かったのかリフィンが背伸びをしてグレンにキスをする瞬間を目の当たりにしたアストレアは発狂する。


「嫌ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああっ!?」

あーこれは妊娠出産ダブルピースエンドだわ(白目)

書いててムズムズした。私には心臓マヒ案件


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