リフィンの弱点
加湿器って、超音波で水蒸気にしてるんすねー
リフィンと対峙する事になったグレンとアストレアであるが、怒ったリフィンを捕らえるのには困難を極める事になる。
「「湧き上がる水柱!」」
「ごぉっ!?」
グレンの足元から大量の水が勢いよく放出され水の勢いに抵抗できなかったグレンは3メートル程上空に吹き飛ばされる。
どうにか受け身を取ろうと空中で体勢を整えるグレンだが、時既に次の魔法がグレンを待ち構えていた。
「「無慈悲な大洪水!」」
「くそっ! ぐぅぁぁあ!?」
大量の水に押し流されるグレン、火魔法を使っても押し寄せる水の前では無力でリフィンを傷つけずに捕まえるには使用する訳にもいかず、かといってグレンの身1つでは容赦なく襲い掛かる水波に対して何も出来なかったのであった。
「リフ、私と同じ魔法使えるのね…」
『まぁぶっちゃけオレらはシズル様に教えて貰っただけで、1人で使えるようになったリフは凄いと思うけどな』
「確かにね…無慈悲な大洪水!」
「「氷の覆壁!」」
アストレアはリフィンの真上から大量の水を放出する。 しかしリフィンも使うその技は対処法を編み出していたのかリフィンを覆う氷の壁によってあっけなく防がれ、さらにアストレアが出した水を次の魔法によって再利用される。
「「白煙の濃霧!」」
ブワァァァと水が白い霧へと変化していく、リフィンを中心とした場所から白い濃霧がどんどんと広がって行きアストレア達はリフィンの姿を見失うのであった。
「なっ!? 私が出した水を利用するなんて」
『レアはさっきの水を出す魔法しか使えないもんな』
「まぁ付け焼き刃だしね…でも私にはコレがあるわ」
『やめろ、リフをぶった斬るつもりか?』
「…あぶないあぶない」
アストレアは藍刃丸に手をかざすもリフィンを真っ二つにする訳にはいかないので使う事すら許されず、タキルの静止によって自分が何をしようとしていたのか思い出し冷静になると顔を青くした。
『オレの雷帯びる羽根も氷の壁があるから意味がねぇ』
「さて、どうやって捕まえ___」
「「瞬間凍結!」」
「やばっ!?」
アストレアの周りに漂っている霧を凍らせたのか、服や皮膚の上から霜が張り付いて動きを阻害しようとしてきた。 なんとか上空へと逃れたものの、リフィンの引き出しの多さにアストレアは嘆いた。
「ちょっとリフ! 多彩にも程があるんじゃないの!?」
「「…私は日々独学で魔法の勉強をしてるの、魔法学校でも職場の研究所でも水魔法に興味を持つ人なんて居なかったから苦労したよ…ぐぅたらのお姉ちゃんとは違って」」
「ぐぅたらって…」
「「そしてお姉ちゃん達にとって私は今スピリットデーモンに操られてるようだし、今のうちにストレス発散するのも良いかなって思っただけ…氷の平原!」」
上空にいるアストレア達からは見えないが霧の中の地面は凍っていき、上を歩けばツルツル滑るようになってしまった。 これによって我武者羅に霧の中を進んでいたグレンは歩行するのも困難となる。
『うわぁ…リフちゃん圧倒的だね』
『本当にスピリットデーモンとやらに操られているのかな?』
『そうだとしても、そうじゃないにしてもちょっとやり過ぎだとウチは思う』
『だよねぇ…』
『仲間に手を出すなんて駄目だよ、飼い主が暴走したらペットが___』
『___!』
『___っ!』
リフィン達が仲間同士で戦う様子を静観していたポコとディクトは、リフィンに念話が漏れないようにジェスチャーして意思疎通を図り、戦闘を止める為に動いたのだった。
「「そこにいるのは分かってるよグレン…氷の覆壁!」」
「っ!?」
リフィンは発生させた霧に魔力を流しており霧の中に居る者を見つけるのは容易だった。
魔力がかき分けられる場所、即ちグレンが居るであろう場所にドーム状の氷の壁を展開し、さらに中で剣が振れないように小さめにそして分厚めに設定して閉じ込める。
ガンガンと氷を中から叩く音が聞こえたがビクともしなかったのか反応はすぐに消えた。
『タキル、今リフは何したと思う?』
『さぁ? 分かってるって事はグレンの気配を感じなくなったくらいだ、もしかしたらさっきの氷の壁に閉じ込められたかもしれねぇ』
『タキルの魔法は?』
『…オレの魔法もリフを傷つけるから無闇に出せねぇが、霧を吹き飛ばしたり隙があれば雷帯びる羽根で痺れさせ動きを止められる筈だ』
『良いわね、霧を吹き飛ばしたら強行突破よ!』
『あぁ!』
リフィンは考えていた、霧の外に居るターゲットをどうやって捕らえるのかと。 相手は実の姉とタキルという風魔法を使用するようになった元ペット、姉が脅威とはなるのはやはりあの鋭い剣でありグレンのように氷の壁に閉じ込めようとも軽くスライスされるであろう。
そして風魔法を使うタキルに関しては情報が少ないので同じ風魔法を使うロルタプやユリネ、プラムを思い出して対処法を考える。
「「アレさえ無ければ多分いける」」
『追い風!』
色々な情報を整理し、どう動いて行くか決めた所でタキルの風魔法によって霧が吹き飛ばされるのであった。
「居た! 私のリフを返せぇぇぇえええ!!」
『待てレア!?』
「えっ!?」
『ちょぉっ!?』
霧が払われリフィンが姿を現した事によりアストレアはリフィン目掛けて急降下していき、凄い勢いでリフィンの目の前までやってきたのであったが突然地面と頭上から大量の水がアストレアを挟むように湧き出てきた。
地上からは間欠泉が湧いて出たかのように吹き出し、頭上からは滝のように落ちてきた。
寸前で気が付いたタキルであったが反応に遅れて直撃、水圧に叩きつけられたその時の衝撃によって友情の誓盟が解除されてしまうのであった。
急な不意打ちに対応出来ず少し水を飲んでしまったタキルとアストレアは地面に倒れ伏し咳き込む。
「ガポッ…ゲホッ!」
「「タキルとこの剣は預かっておくねお姉ちゃん、少しは反省した?」」
「ぐぅっ!?」
「ピィ…」
翼がびしょ濡れになりアストレアと同じく地に伏していたタキルはリフィンの手の中に収められ、もう片方の手でアストレアの腰にあった藍刃丸を没収した。
「げほっ…待ってリフ、話を聞いて」
「…ん? 話を聞かなかったのはお姉ちゃんの方じゃないの?」
「リフからスピリットデーモンが完全に抜け出さないと、私は安心出来なうごぽぉ!?」
びしょ濡れになりガクガクとゆっくり立ち上がろうとしていたアストレアにリフィンは水の玉をお見舞いした。
「こうやってお姉ちゃんは人の言う事を聞かなかったんだよ?」
「うぷっ…お願いだから正気に戻って!」
「私はずっと正気です、そこで反省し頭を冷やしておいてください…氷の覆壁!」
「ピィ! ピィ!」『レア!? おいリフやめろ!』
そうしてリフィンは実の姉を氷の壁の中に閉じ込めてしまうのであった。
氷の壁の中に閉じ込められたアストレアは絶望しきった顔でじっとリフィンを見つめながら何かブツブツと呟き、タキルはリフィンの手から逃れようと必死にもがいていた。
『あなたって凄く強かったのね…』
『ううん、私を傷つけないようにしてくれてたおかげですね』
『なんか余計わたしが恨まれそうな気がするのだけど…』
『大丈夫です、私がちゃんと言い聞かせますので安心しておいて良いですよ、幽霊さんは魔物かも知れませんが私は幻獣も使役しているので問題はない筈です。』
『さっきの青白い馬だっけ?』
『はい、あれはケルピーという幻獣で___』
『リフちゃーん!』
『っ!?』
どこからかポコが呼ぶ声が聞こえた。 しかし周りを見回してもポコの姿は確認出来ず、代わりにと言って良いのかディクトが勢いよくこちらに走って来るのが見えた。
『おのれスピリットデーモンめ! 僕がリフちゃんとタキル先輩を解放するんだぁぁああ!』
リフィン目掛けてディクトが突撃してきた。 両手が塞がっているリフィンはすぐさまタキルを解放し藍刃丸を地面に落とし、勘違いしているディクトを諌めようと正面から止めに入った。
『お願いディクト、止まって』
『えぇっ!? リフちゃん本当に正気なの!?』
『だから何度もそう言って___』
『いっけぇぇぇえええ!!』
『っ!?』
「リフッ!」
正面から走ってきたディクトを止める事に成功したリフィンであったが、背後から現れたポコがリフィンの背中にひっつき、いつの間にか氷の覆壁から脱出していたのか土まみれのグレンが同じく背後から迫りリフィンを捕まえたのであった。
「えっ、なんでグレンがんんっ!?」
「ーーーーーっ!?」ガンガンッ!!
『うわぁぁぁあああリフちゃーん!?』
『んなっ! テメェまたリフに手ぇ出しやがったなぁぁああ!?』
『…え?』
リフィンの背中にくっついているポコには分からなかったのであったが、背後からリフィンを捕まえたグレンは横に振り向いたリフィンの口を塞ぐのであった。
ガンガンと氷を叩く音が聞こえるがアストレアだろう、しかし氷の壁が厚過ぎるのか彼女の声は全然聞こえて来ない。
「ん”ん”ーーっ!?」
スピリットデーモンからリフィンを助けたい、その想いからグレンのキスはとても長く、息継ぎが出来ないリフィンは力が出せないまま抵抗出来ず藍刃丸も手から零れ落ちる、口も塞がっているので魔法も唱えられなかったのであった。
『ふわぁぁぁあああ〜っ!?』
『うっ、息が…』
リフィンとスピリットデーモンは感覚を共有しているのかリフィンだけでなく彼女の方にも効果覿面であった。
『駄目ぇ、これやばい〜〜っ!?』
『あ…う…』
『なんでキスしてきた!? なんでキスしてきたのぉぉおお!? この感触は駄目だよ卑怯だよぉぉぉおおお!?』
『んむ……んっ……』
『もう無理ぃぃ、服従しちゃうの! わたしの負け…ふわぁぁぁあああっ!?』
『………』
グレンの熱い口づけの感触に溺れてしまい力が抜けてしまったスピリットデーモンは、リフィンの身体から完全に抜け出した。
その時、彼女の胸元にテイムの印が浮かび上がったのであったが、まだ誰も気付かずにキスを続けるリフィンとグレンを皆して見つめ続けるのであった。
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