闇の神の祝福を受けしモノ
めちゃ強ぇ・・・(ネタバレ)
ここまで強くする必要あったのかな?
ほのぼのまだですか・・・
黒く揺らめくオーラを纏った腕の生えたタイラントワイバーンの正体は、シックの話によれば闇の神に祝福されしモノだという。
原因は特に分かってはいないが死する時に怨念が強いとこうした事が起きるらしく、シックやロディ達が見るのは2度目だというのだ。
元々のタイラントワイバーンの青白く輝いていた鱗や皮膚は今や漆黒に染まっていて、元の綺麗な身体とは見る影もなく淀んだような光沢の無い色だった。
生えた翼に関してはコウモリのような禍々しい形をしていて闇のオーラで形を固定しているのか実体は無さそうに見えた。
そして異常に発達したようにも見える禍々しく生えた両腕は、人間の腕に近い造形をしていたのであった。
「コロス…コムスメ…コロス!!」
「っ!?」
「グギャァァァアアアアア!!」
黒き翼竜はリフィンに狙いを定めると揃わない両翼を羽ばたかせ猛スピードで迫る。
リフィンは狙われた事によるショックや恐怖からか、反応が遅れてしまいその場で立ち尽くすしか出来なかった。
「させるかっ!!」
「ジャマダ!」
「ぐぁっ!?」
「嬢ちゃんは俺の後ろに下がってろ!」
「チレ!」
「ふんんんっ…ぐわぁあ!!?」
グレンが横から迎撃するように大剣を振るって黒き翼竜へと攻撃するが大剣ごと掴まれて払い飛ばされ、ロディがリフィンの前に出てかばってくれたが圧倒的体格差により受け止める事は叶わずロディも吹き飛ばされてしまった。
「シネ!」
『石の壁!』
一気に肉薄する黒き翼竜はリフィンを掴もうと腕を伸ばしたのであったが、ポコの土魔法である石の壁によってなんとか防がれる。
「絶対仕留めろ! 野に放って良い魔物じゃねぇ!」
「俺が相手だバケモノ!」
「覚悟!」
「これは骨が折れるかも知れんわい!」
「水の聖女に恩を返さないとね!」
「俺もリフちゃん守るっすよ!」
『なんでリフちゃん狙ってるのか知らないけど、ウチが守るからね!』
『僕の後ろに下がって!』
『ウジュジュジュ!』
「みんな…」
黒き翼竜がリフィンに狙いを定めているのは明白、そしてこのようなおぞましいバケモノを野放しには出来ない為、いくら凶暴化していようがここで討伐しなければならないのであった。
「火や風魔法はほとんど効かねぇ! 物理系魔法で攻めろエドモンド!」
「隆起する岩石!」
「ムダダ」
エドモンドが黒き翼竜の足元から大きな岩石を隆起させて攻撃していく、しかし翼を持つ黒き翼竜には通用せず翼をはためかせて上空に飛ぶとリフィン目掛けて急降下した。
リフィン達もそれに迎撃する様に魔法を放つ。
「氷塊弾!」
「光の三叉槍!」
「石礫の弾丸!」
「追い風っす!」
「グギャァァアアアッ!!」
上空にいる黒き翼竜に向かって投射系魔法を放ち、ロルタプが追い風で速度を上げると見事胴体や翼に直撃し体勢を崩したのか地面へと墜落した。
「…今だっ!」
「急所を狙え!」
「分かってるっすよ!」
「待て早まるな!」
「っ!?」
「「ぐぁああ!?」」
墜落した黒き翼竜に畳み掛けようとしたエドモンド、マシュー、ロルタプだったが高速で振られた尻尾のなぎ払いが彼らに直撃し凄い勢いで吹っ飛ばされる。
「無慈悲な大洪水!」
「フハハハ! キカヌワァ!」
リフィンも物理系なら質量で押せばなんとかなると考えて大量の水を放出する無慈悲な大洪水を唱えたのだが、黒き翼竜はあろう事か生えた両腕で向かって来る水をかき分けながら進んで来ていた。
それほどまでにこのバケモノは異常であったのだ。
「嘘…」
リフィンの水魔法が途切れて目の前にやってきたバケモノにシックとクリスが立ちはだかる。
「前にコレと相対した時はオーガだったな…」
「はい…もう二度と遭遇するのはごめんでしたが、また対面するとは思いませんでしたね」
「あの時逝った3人の顔が脳裏に浮かんでくるぜ!」
過去にシック達は闇の神の祝福を受けしモノと戦闘を繰り広げた事があるのだろうが、その時の恐怖や地獄を乗り越えたシック達でさえ冷や汗が浮かんで見える程で、相当危険な敵なのだと語っていた。
「ジャマスルナ!!」
「微力故の悔恨!」
「光の三叉槍!」
身体能力を飛躍的に上昇させたシックが黒き翼竜の懐に潜り込んで腹部を突き刺し、クリスが放った3本の光の三叉槍が黒き翼竜の両腕と尻尾を上から貫通させた。
「うぉぉおおっ! いつまで寝てるロディ!」
「ずっと起きてるぜー!」
どこからかロディが突然現れ、黒き翼竜の背中に飛び乗ると両翼を押さえた。
『僕は尻尾にのしかかるよ!』
『ウチは翼をズタズタにしてやる!』
ディクトは重い体重を活かして尻尾の付け根辺りを押さえ、ポコはジャンプして背中に飛び乗ると爪で翼を切り裂き始めた。
「ハナセッ!? ワズラワシイッ!」
「水の玉! 水の玉! 水の玉!」
「ゴガッ、ガボッ、オ、オノレ…ッ!?」
「僕が首を押さえる! ジェームス!」
「ワシが気絶させるわい! どりゃああああ!!」
火炎ブレスを阻止する為にリフィンは口を狙って水を流し込んでいき、クリスが首を押さえて頭を固定し、大きな槌を持ったジェームスが頭を叩き潰してダメージを与えた。
そしてこの中でも破壊力だけはピカイチに光る武器の持ち主が得物を携えて現れた。
「ゴハ…ッ!?」
「今だっ!」
「やれっ!」
「いっけぇ!」
「でぇぁぁぁああああああ!!!!」
リフィンに恋慕する赤髪の男が、リフィンを狙う禍々しき黒き翼竜の首を狙って力一杯大剣を振り下ろした。
ドゴォォォォォオオオオオンッ!!!
「うぁっ!?」
「ぐっ!?」
「がはっ!?」
「っ!?」
「くそっ!?」
『うわぁぁ!?』
『ぎゃーっ!?』
グレンが渾身の一撃を繰り出し、勢い良く振り下ろされた大剣が首に触れる直前
黒き翼竜は身体中に纏っていた黒いオーラを一斉に放出し、周りにいたリフィン以外の仲間を全て吹き飛ばしたのだった。
オーラを解放した黒き翼竜は後ろ足だけで立ち、その場で高らかに声をあげリフィンに絶望を与える。
「グギャァァァァァアアアアアハッハッハッハッハッハ!!!!」
「そんな…」
吹き飛ばされた仲間達は衝撃が強かったのかすぐには動けないようで全員辛うじて息はあるが、もはや満身創痍でマトモに動けるのはリフィンだけであった。
殺される
という結末が脳裏によぎった。
グレンや黒剣の集い達が束になっても勝てない相手にリフィン1人で敵う筈が無く、得意な魔法でさえ効かないとなれば逃げ道も無かった。
「マズハ、オマエカラダ…ドウシタ? コワクテナニモ、イエナイノカ?」
「…ぁ…ぇて…」
『うじゅじゅじゅ!』
『おねがぃ!』
二足歩行で歩く黒き翼竜は既にリフィンの目の前まで来ており、いつでもリフィンを捕らえられる距離まで近づいてきていた。
「コロスマエニ、ブザマナ、カオヲミセロ」
生えた腕でリフィンの顎がグイッと持ち上げられる。
膝がガクガクと震えまともに息が出来なくなり過呼吸状態に陥るリフィン、すると帽子の中からスライムのライが飛び出してきて黒き翼竜の目に張り付いたのであった。
「うじゅるうじゅるどろどろー!」
「ナンダッ!? オ”オ”オ”ォ”ォ”ォ”!!!」
ジュ〜〜〜ッ!
スライムの特性である物質を溶かす能力で黒き翼竜の片目を溶かした。 しかし強力な腕の力によりライは引き剥がされ遠くへ投げ飛ばされてしまった。
「キ、キサマァァァアアアアア!!!」
「無慈悲な大洪水! 瞬間凍結! 無慈悲な大洪水! 瞬間凍結! 無慈悲な大洪水! 瞬間凍結! 無慈悲な大洪水! 瞬間凍結!」
ライが作ってくれた最後のチャンスを無駄にしない為にも、リフィンは全ての魔力を使う勢いで後退しながら死に物狂いで魔法を放ち続けた。
しかし猛烈な勢いで襲いかかる水を前に黒き翼竜は後ずさりながらも必死に耐えながら前へ進み、残った片目でずっとリフィンを捉えていた。
「無慈悲な大洪水…そんな、無慈悲な大洪水! 無慈悲な大洪水!」
魔力が尽きたのか強力な魔法が出せなくなってしまい、何度魔法を唱えても虚しくリフィンの声だけが木霊するだけで、リフィンの持つ全ての引き出しは空になってしまった。
「モウオシマイカ? ナカナカ、タノシメタゾ」
「…」
「ジャマスルナ!」
「がはっ!?」
リフィンや黒き翼竜の死角になっていた場所からグレンが密かに迫って来ていたようであったが、黒き翼竜は感づいていたのかグレンはあっさりと地面に抑え付けられてしまった。
「グレンッ!」
「ぐっ、俺が相手だ…がぁっ!?」
「キサマハ、ワレノツバサト、イノチヲウバイシ、モノダナ…コノコムスメヲ、コロシタアト、モットイタブッテ、オナジトコロニ、オクッテクレル」
「さ、せるかぁぁぁあああ!!!」
殺させはしない、こいつは今この世界に必要だ! こいつが救う世界を見届けるんだ! 多くの人が必要としている! いや………俺自身がこいつを必要としている!! 薄汚い手で触れるんじゃねぇぇぇえええ!!!
「ナニ!?」
「グォォォォォォオオオオオオ!!!」
「ドワッ!?」
グレンは咆哮を放ち真っ赤に燃えながら黒き翼竜の巨体を押し上げ、リフィンを掴もうとしていた腕を斬りつけた。 切り付けた大剣は腕に刺さった状態で止まり一歩後退させることに成功する。
炎を纏ったグレンは丸腰の状態で肉薄し刺さったままの大剣目掛けて追撃をかましていく、それに黒き翼竜もグレンの攻撃に合わせて対応していく。
「ナカナカ、ヤルデハナイカ!」
「でぇぇぇぇぇぇああああああ!!!」
目の前で行われる尋常ならざる力の応酬にリフィンはその場にへたり込む、黒き翼竜に対する恐怖やグレンが助けてくれたという安堵、そしてグレンの状態を見て募る不安が一気に襲う。
「グレン…」
それもその筈、どこから力を発揮しているのかグレンは一人で倍以上体格差のある相手と渡り合っているのだ、それに魔力が漏れているのか全身が炎で纏われておりこれ以上の継続は危険だということは明らかである。 そしてその時はすぐ訪れた。
「フンヌ!」
「ぐっ!」
「ワズラワシイ!」
「がぁぁああぁぁああ!?」
「グレン!?」
グレンの息切れと共に隙を突いた黒き翼竜が生えた腕で薙ぎ払う。 ついに吹っ飛ばされたグレンはゴロゴロと地面を転がり全身に纏っていた炎も消えてしまい所々焦げていた。 それでも地を這うようにして起き上がろうとしていたのだが…
「キサマハソコデ、オンナガシヌノヲミテイロ」
「嫌だ、放して! 嫌だっ!」
「止…めろ!」
黒き翼竜はリフィンを片手で掴む、リフィンが幾ら暴れようが黒き翼竜は全く介さない。
そして食らうように大顎を開いた。
『「私のリフに手を出すなぁぁぁぁぁあああああっ!!!!!』」
リフィンが頭から捕食されそうになった瞬間、リフィンを掴む腕がスパッと切断され強烈な衝撃が黒き翼竜の横顔にヒットし、勢いのままその巨体を何者かが吹き飛ばすのであった。
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