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(水)魔法使いなんですけど  作者: ふーさん
4章 蒼きツバサ
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黒き片翼

ほのぼのって、なんだっけ?

いつ終わるんコレ


4万PVありがとうございます!

「なんとか間に合って良かったです」

「いや本当に助かった、リフィンの魔法が無ければ死んでいた」

「ですね、そしてあの巨体を凌ぐ程の硬度が無ければ同じ事だったでしょう…流石は水の聖女」

「あはは…ただの水魔法使いなんですけどね」


 リフィンがディクトに乗って山の頂上に登りきった頃、1頭の巨大なタイラントワイバーンが落下してくるのが見え、その落下先にシックとクリスがいたので慌てて氷の覆壁(アモンジト・ヘイス)をシック達がいる座標に展開した。

 本当に展開するのがギリギリでコンマ1秒でも遅れていたら間に合わなかった。

 とりあえず間に合えたので良かったのだが、戦闘はまだ続いているのである。


「うぉぉぉおおお!!」


 足が凍り付いて動けなくなったタイラントワイバーンにグレンが1人で突撃していく。

 身動きの取れないタイラントワイバーンは向かって来るグレンに火炎ブレスを吐くが、グレンはすかさず横に(かわ)して側面から攻撃するようにシフトしていき、凍った足元の方までたどり着くと大きくジャンプして大剣を振りかぶった。


「グゥォォォォオオオオ!?」


 かなり効いたのだろうかタイラントワイバーンが悲鳴をあげた。

 それもそのはずグレンの大剣はタイラントワイバーンの翼の付け根を半分程深く食い込んでいて、そこから大量の血が溢れ出てきており、翼の方は既に半分もげそうになっていて()れているのであった。


 その一連の動作を見せ付けられた黒剣の集い(ブラックギャザリング)はグレンには負けまいと全員奮起する。


「良い所見せようと頑張ってるじゃねーか!」

「よし! 俺等はロルを助けるぞ!」

「「「「おぉ!」」」」


 ロルタプを追う雌のタイラントワイバーンを討伐するためシックが細かく命令を指示していき、リフィンはグレンをサポートするため凍ったタイラントワイバーンの方を対処する事にした。


『ウチもやるよ! 石礫の弾丸(ストーンバレット)!』

『僕は…自重しておくよ』

『また教えるからね!』

『うん!』


 ディクトはまだ水魔法の有効な攻撃方法が無いため見学だ。

 グレンがタイラントワイバーンの吐く火炎ブレスに苦戦していると、痺れを切らしたグレンがリフィンに命令する。


「リフ、頭を凍らせろ!」

「うん!」


 片足を凍らせ翼の付け根を抉っているとはいえまだ油断ならない強敵だ、確実に仕留める方法をリフィンとグレンは選択する。


『ディクト!』

『任せて! 水生成ウォーター!』

瞬間凍結(リフリジェーション)!」

「ゴボガァァァァアアアア!?」

「もう一撃食らえ!」

「ゴボボォォォオオオオ!?」


 タイラントワイバーンの頭にディクトが水をぶつけ、リフィンは凍らせるよう魔法を放った。

 タイラントワイバーンも必死に抵抗して口から火炎ブレスを吐き頭部に襲いかかる水を蒸発させようとしたのだが、生憎(あいにく)火は水に弱く物量の差でもリフィン達の魔法の方が圧倒的であったので、簡単に水に覆われてしまい徐々に頭部の水が凍っていくのであった。

 グレンもタイラントワイバーンが飛翔されて逃れられると面倒なので、傷が深い翼の付け根にもう一度斬撃を与えると翼の切除に成功したのだった。


「ゴ…ガッ!」

「これで終いだ」


 凍って動かなくなったタイラントワイバーンはしばらく苦しそうにもがいていたが、次第に身体が動かなくなるとグレンがトドメの一撃としてタイラントワイバーンの心臓目掛け大剣で何度も深く斬り裂いた。

 ブシャアアアと吹き出す心臓を流れていた血液、返り血を浴びないように巧みに大剣で捌いていきタイラントワイバーンの身体が全体的に力が抜けていくのを確認すると、グレンはリフィンに勝利の宣言をするのであった。


「よし、討伐完了だ…ありがとなリフ」

「…どういたしまして」

「GYOOOO!?」

「「「「「「おおおぉぉぉ!!」」」」」」


 もう一頭のタイラントワイバーンの悲鳴が響き渡り、リフィン達はそちらの方を見ると黒剣の集い(ブラックギャザリング)達が包囲して追いつめ、シックがトドメの一撃を放っていたところであった。


「あっちも無事に倒したか」

「…うん」

「リフ、お前のおかげで戦局が変わり、皆助かった…礼を言う」

「…うん」


 2頭のタイラントワイバーンを倒したというのに表情が優れないリフィンの顔を見て、グレンはまたかと小さくため息をつきリフィンに近づいていく。


「また可哀想とか思ってないだろうな?」

「…大丈夫そういうのじゃないから、このタイラントワイバーンを退治しなければジルット村の人達に危害が出てしまうから仕方無い事だと割り切れてる…でも」

「…割り切れないか?」

「…ううん、もし仮の話なんだけどね、私と私の大切な人がこうやって襲われて殺されたらって思うと凄く悲しくて…私なら幽霊になって殺した奴を死ぬまで呪い続けるかも知れない、そいつが憎ければ憎い程」


 このタイラントワイバーン達は夫婦であったのだ、彼らだって生きる場所を探して家を作っていただけなのに人間のエゴで壊されてしまったのだ。

 人間のエゴで倒さなければならないのは分かっていたが、どうしてもそれを自分に置き換えて考えてしまうリフィンは悲しまずにはいられなかったのであった。


「…」


 奪う側と奪われる側。

 実はグレンも何度か考えた事があり、どうやってリフィンを元気づけようかと悩んでいたのだがあまり良い台詞が浮かんで来なかったのであった。


「あー、俺も全くそう考えない訳でもない」

「…グレンもそうなの?」

「あぁ、怒らないか?」

「…内容による」


 そんな怒らせるような内容を考えているグレンもどうかと思ったが、グレンの考えも聞いてみたかったリフィンであった。


「もしもの話だ…俺の子を孕んだリフが殺されたら、多分お前がさっき言った通りに俺は怒り狂って殺した奴を殺す、または末代まで呪うだろうな」

「…」


 さりげなく失礼な事を言って来るグレンであるがここは冷静にグっと耐えるリフィン。

 結ばれたとか最愛のとか、もう少し優しい表現を用いてくれれば良かったのだが、そういう事をグレンに期待するのも今更な感じがした。

 しかし後半の部分を考えるとそれは普通に考えられる事であり、殺した相手が憎いと思うには充分過ぎる案件であった。


「…そうだよね、憎ければ恨まれるよね」

「あぁ、だからそうならないように供養しておくべきなんじゃないのか?」

「そうする…あと今の発言には怒っているから安心して」

「やっぱ言うんじゃなかった___っ!?」




 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!!!!!!




 地響きが急に鳴りだし、山の頂上全体が上下に激しく揺れだした。


「っ!?」

「地震!?」

「の割にはデカすぎるだろ!?」

「なんだなんだぁ!?」


 黒剣の集い(ブラックギャザリング)達も揺れに驚いているのか揺れで身動きが取れないようであった。


「あれを見ろ!」


 何かに驚いたようなグレンが凍った雄のタイラントワイバーンを指差していたのでそちらを見てみると、黒い煙のようなものが何本も地面から揺らめいて出てきており、そして最も黒い煙のようなものが密集しているところは凍った雄のタイラントワイバーンから溢れ出ていた。


「…何あれ」

「分からん、とにかくヤバい雰囲気なのは理解出来る」

「おーいおめぇら! なんだアレは!?」

「仕留めたんだよな?」

「あぁ、心臓を数度斬りつけたさ…心臓が鼓動するとは思えない」

「離れていろ! アレは危険だ!」


 黒剣の集い(ブラックギャザリング)のリーダーであるシックがこの現象の事を知っているのかリフィン達の前に立って離れるように指示を出したのだが時既に遅かったのでった。


 未だ地面が鳴り響き、黒い光を纏い出したタイラントワイバーンはゆっくりと目を見開き、周りを全て吹き飛ばすかのような激しい衝撃とともに大地に足を着かすのであった。


 元々無かった筈の腕が生え、切除された翼の代わりに悪魔のような黒い大翼が生えており、頭部や足の氷は身体中に纏う黒い炎によって一瞬で粉々にされてしまった。


「アレは…想像以上にヤべぇ」


 この現象の事を知っていたシックでさえヤバいと言わせる程で、リフィンもアレから伝わる圧気と尋常ではない魔力を感知し、そしてなにより自身へと向けられる恐ろしい程の殺意を向けられて萎縮してしまうのであった。




「グゥオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!」




 リフィンじゃなくても身が竦むような強烈な咆哮をあげるソレは、まず雌のタイラントワイバーンのところに向かうと生えた腕で掴んで(つが)いの腹を食い破って(はらわた)(むさぼ)り喰らう。

 それを見ていたリフィン達は言葉を失い、ただそれを見るしか出来なかった。


『嘘っ!?』

『番いを食べるなんて…』

「…」

「嘘だろ…!?」

「なんだアレは…」

不味(まず)い事になったわい…」

「ジェームスのじいさんもアレ知ってるんすか?」

「いや、俺から言う…アレは」


 シックの方から言ってくれるようであるが、アレを知るシックでさえもかなりショッキングな光景のようで言葉を紡ぐのに時間がかかった。

 黒い翼竜と化したタイラントワイバーンは食事が終えたのか、雌のタイラントワバーンの死骸を優しく地面に置くと、ドス黒い血に(まみ)れた恐ろしい頭部をゆっくりとこちらに向けて凝視してくるのであった。


「アレは…闇の神(セメグ)の祝福を受けしモノ」




「グギャァァァァァアアアアアアアアアアアア!!!」




 またこちらを威嚇するような耳が痛くなる程の咆哮を上げ、リフィン達に襲いかかるのであった。




◆ ◆ ◆ ◆ ◆




 コロス ナニヲ? タイセツナモノヲ ウバイシモノドモ 

 ヨウヤクミツケタ ショウガイノ ハンリョヲ コロシタ ニンゲンドモガ

 ニクイ ニクマズシテ シヌコトハ アリエナイ

 ニクイ コロサズシテ ノガスコトハ アリエナイ


 ワレヲ コロシタノハ ドイツダ ワレヲ ソウシタノハ ドイツダ

 ハンリョヲ コロシタノハ ドイツダ ハンリョヲ ウバッタノハ ドイツダ


 ゼンインダ ワイショウナ ニンゲンドモ コイツラノ セイダ

 ニクイ コロス ニクイ コロス コロス コロス コロス コロス




 マズハ ワレヲウゴケナクシタ アノコムスメ


 アイツカラ コロシテクレル!!!

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