暴れる翼竜
戦闘描写難しいんだってば!
なんで長くなるかなぁw
思いがけないクリムゾンエイプ達の襲撃と、1頭でも厄介なタイラントワイバーンが番いとなり同時に対処しなければならなくなってしまった。
ある程度時間が経ったら雄の方は戻って来ると思ってはいたが、こうも早く戻られると一気に戦況は厳しいものとなる。
オスが戻って来る前にメスを片付けておく必要があったのだが、まさか土魔法を使用してくる個体で容易に近づく事が出来なかったのであった。
黒剣の集いのリーダーであるシックは2頭のタイラントワイバーンと数匹のクリムゾンエイプをどう対処するか判断し、即座にメンバー達に命令する。
「ロディとグレンは雄を足止め! クリスは猿共を駆除! ロルはブレス対策! 残りの者で雌の方を仕留めるぞ!」
「「「おう!」」」
グレン以外の黒剣の集いのメンバー達は各自それぞれの役割分担があるのか、指示が出るより少し先に行動を開始していた。
唯一の癒し手である司祭のクリスはクリムゾンエイプ達を妖杖でなぎ払っていきながらも各メンバーの様子をチラチラと見て状態把握をしており、それを見ていたグレンは一瞬だけクリスと目が合うとコクリと頷かれたのでクリムゾンエイプの事はクリスに任せても大丈夫なのだと理解した。
「よそ見してんじゃねぇぜ! 俺等の仕事はあっちだ!」
「あいつは意外と大丈夫なんだな」
「クリスは司祭だが俺とタイマン張れるくらい強いから安心しろ・・・問題はアレだ」
クリスを見ていたグレンの肩にバシッと手を置いたロディが、番いを守りに戻って来たタイラントワイバーンを見てグレンに作戦を聞かせた。
「奴等は翼の付け根にしがみ付かれたら何も出来ん、魔法が使えないなら尚更だぜ!」
「俺もさっきのようにしろってことか」
「あくまで俺等は足止めだ、おら行くぜ!」
ロディのかけ声と共にグレン達は前方へ駆けた。
「追い風っす!」
「っしゃあ!」
後方からロルタプが放った強烈な追い風がグレン達の速度を加速させる、目の前に居るタイラントワイバーンが火炎ブレスを吐いたが風の力により直撃する事は無く、次は尻尾を振るってきたので素早くジャンプして躱すとグレンとロディはタイラントワイバーンの胴体にしがみ付く事に成功したのだった。
「ガハハハ! やるじゃねーか彼氏!」
「ふん、少しは活躍して良い所を見せないとな!」
「嬢ちゃんが生きてればな_おぉっと!?」
なんとか翼の根元の方まで辿りつきたいが、身体から引き剥がそうと暴れだすタイラントワイバーンにグレン達はしがみ付いて耐える事しか出来なかった。
「グゥォォォオオオ!!?」
「耐えろっ! 振り落とされたら踏みつぶされるぜ!」
「ぐぅ・・・くっそ!」
「グォオオオオオオオオオオ!!!!」
タイラントワイバーンの鱗と鱗の間にある隙間に手をかけて振り落とされないようにしがみ付く。
いくら暴れても引き剥がせないグレンとロディを落とすためタイラントワイバーンはその場で翼をはためかせて飛翔し、空を滑空する事で振り落とそうと空高くまで飛び上がったのであった。
「ぐっ!」
「絶対に手を離すんじゃねーぞ! 落ちたらお陀仏だぜ!」
「分かってるよっ!」
空中にて急な上昇や下降を繰り返すタイラントワイバーン、地上とはかなりの高低差があるので振り落とされてしまっただけでも命の保証は無いだろう。
グレンは高所から見る景色に恐怖を覚えながらも先程の失態を埋め合わせる為に、そして早くリフィンのところへ向かって安否を確かめる為にロディと一緒に必死に翼の付け根までよじ登るのであった。
● ● ● ● ●
「俺に続けっ! 微力故の悔恨」
雌のタイラントワイバーンと対峙していたシック、エドモンド、マシューの3人は一列に連なるように陣形を整えると一斉に走り出した。
「GYAOOOO!!」
「黒の消滅!」
正面から撃って来た土魔法は闇魔法で打ち消してそのまま突っ込んで行く。
次はお得意の尻尾攻撃か?と読んだシックであったがタイラントワイバーンは大きな口を開いてその巨体を活かした突進攻撃を繰り出した。
「GYAAAAAAAAAA!!」
「残念だがそれも効かねぇよ!」
シックの闇魔法である微力故の悔恨は使用者本人の身体能力を飛躍的に上昇させる魔法で、避けるのではなく正面から迎え撃ったのであった。
シックは腰に提げた刀身が黒いロングソードを構え、タイラントワイバーンの口を目掛けて真横に振りかぶる。
ガィィィイイイン!!
「うぉぉぉおおお!!」
「流石リーダー!」
「隙アリ!」
タイラントワイバーンの口にはシックの黒いロングソードがくわえられており、突進してきたタイラントワイバーンの巨体を人間の膂力とは思えない力でガチリと受け止めたのだ。 その隙にエドモンドとマシューがロングソードでタイラントワイバーンの中でも比較的柔らかい胸部や首などを斬りつけて行った。
「GYAAAAA!!」
「ぐはぁ!」
「シックさん!」
「やれぇ! 今がチャンスうがぁぁあああっ!?」
「くそっ追い風じゃ意味ねぇっすね…クリスさん!」
黒いロングソードをくわえたタイラントワイバーンはその場で土魔法をシックに浴びせる、胸や首が斬られて痛みが走るがそれでも自身の頭を抑えている人間は退かなかったので火炎ブレスをそのままお見舞いし、シックは炎に包まれてしまうのであった。
それを後方で見ていたロルタプは風の力で炎を返そうにも噴射腔のすぐ傍にいるシックを守るのには無理がありすぎた。
「また無理をしたのですか…僕が回復魔法をかけます、エドモンドとマシューは同じ所を攻撃してください!」
「リーダーは任せた!」
「頼むっす!」
「…」
クリスの指示で胸や首など同じ所を斬りつけたエドモンドとマシューだったが、頭を押さえていたシックがダウンした事により翼をはためかせて上空に逃げたタイラントワイバーンは、火炎ブレスと土魔法を同時に展開してくるのであった。
「GYAoooOOO!!」
「追い風っす!」
「炎は返せても岩石は無理があるか!」
火炎ブレスはロルタプの風魔法で相殺出来るものの、大量に落ちて来る岩石の塊には対処出来ない。
「うわぁ…これは俺が狙われてるっすね」
「GYAoooOOO!!」
何度も風魔法で火炎ブレスを跳ね返されているからであろう、風魔法を使うロルタプに狙いを定めて岩石を落としてくるタイラントワイバーンは、火炎ブレスと一緒に地上に居る人間共を押しつぶす為体当たり攻撃をしかけた。
「ちょっ! これは危ないっすね…追い風っす!」
走りながら落ちて来る岩石を躱していき火炎ブレスが来れば風魔法で返して行くロルタプ、巨体に押しつぶされそうになってもなんとか躱していっているが岩石の雨と巨体が突進してくる状態では反撃なんて無理に等しかったのである。
「くそっ、どうしたら!?」
「…石礫の弾丸!」
「火炎爆発じゃわい!」
ドガァァン!!
なんとかこの状況を打開しようとしてエドモンドとジェームスがそれぞれ魔法を放ったのだが、それに気付いたタイラントワイバーンは身を翻して躱されてしまった。
「こらぁーっエドワードにジェームスのじいさん! 俺に当たってるっすよ!?」
「すまんすまん、わざとじゃないんじゃあ!」
「オレはエドモンドだ」
火を吐く翼竜に火魔法が効く訳もなく鋼鉄の様に硬い鱗を持つので焼け石に水で、むしろロルタプに被弾してしまったのか怒られてしまったエドモンドとジェームスであった。
そしてクリスの回復魔法が終えたのかシックが復帰してきて戦況を確認した。
「足と胸、そして首にダメージが入ってる筈だ。 あとはどうにかしてそこに一撃をくわえる事が出来れば倒せる・・・猿共はあらかた片付いたし、ロディとグレンが身を挺して片方を足止めしてくれているからなんとかなる!」
「ですね、では早速僕から仕掛けるとし___」
「みんな避けろぉぉぉおおおおお!!」
「っ!?」
ドゴォォォォオオオオンッ!!
グレンとロディがしがみついていくら暴れても引き剥がすことが出来なく、ふいに巣の方を見たタイラントワイバーンは、番いである雌のタイラントワイバーンが胸や首から血を流していたのを目撃した。
その光景に怒りが湧いて来たのかなんとしてでも番いを守るべく、地上にいたシックとクリスの真上から火炎ブレスを吐き出しながら上空からボディプレスをして地面を揺るがすのであった。
「グゥォォォオオオ!!」
「GYAoooOOO!!」
高らかに咆哮をあげる番いのタイラントワイバーン、赤みを帯びた砂煙が舞い着地と同時に地面に叩き落とされたグレンとロディがなんとか受け身を取って地面に転がり込む。
「どわっ!」
「ぐっ・・・!」
「ロディ、グレン大丈夫か!?」
「リーダーとクリスが押しつぶされちまったわい!?」
「すまねぇ、もう少し早く言えれば良かったぜ・・・だが」
「奴等なら無事だ…加勢に来たバカが居るからな」
上空に居たグレンとロディには見えていた。 小さくても背中に大きなものを背負った一筋の蒼き希望が戦いの場へと登っている姿が、タイラントワイバーンの背中からチラっと見えていたのであった。
「はぁ? いくらなんでもあの巨体に潰されたらリーダー達とはいえ無事である訳がっ!?」
「・・・っ!?」
次第に砂煙が収まりタイラントワイバーンの足元がゆっくりと視界に映った。
そこには透明で分厚いガラスのようなドーム状の物体がシックとクリスを守っていて、よく見れば分厚い氷で出来た頑強な壁なのであった。
しかし分厚い氷とはいえ、強い衝撃を受けたためピキピキと白い亀裂が無数に走っておりギリギリ耐える事に成功したという事が理解出来た。
「どうやら助かったようだな…なんだこれは?」
「ガラス、いや…氷の壁ですね!」
「なるほど、あの子に助けられたって奴だな」
「恩を返さないといけなくなりましたね」
足元に現れた氷の壁に驚いた雄のタイラントワイバーンはもう一度踏みつけて砕こうと片足を上げたのであったが…
「無慈悲な大洪水! 瞬間凍結!」
足元が冷たい水に覆われ一気に凍り付いて行くタイラントワイバーンの足、暴れて氷を割ろうとしたのだがもう片方の足で体重を支えているのであまり無闇に動けず、翼をはためかせて飛ぼうとするも何故か思うように片方の翼が動かせず、そのまま追加の水魔法を受けて足を固定されてしまい動けなくなるのであった。
「氷の覆壁解除、今のうちに脱出してください!」
「助かる!」
シック達を守っていた氷の壁が消滅しタイラントワイバーンの足元から脱出したシック達は、未だ赤い砂煙に隠れる1人の少女、その足元のタヌキ、後ろに控える馬の影を見て驚喜するのだった。
「助かった、礼を言う」
「このご恩は必ず…水の聖女よ」
「見事」
「悔しいが、少し見直したぜ」
「格好良い登場するお嬢ちゃんじゃわい!」
「待ってたぜ嬢ちゃん!」
「リフ…無事で良かった」
「馬は魔法で保護してます、これから私も加勢しますね!」
「うぉーん!」
「ブルルルッ!」
予想していなかったリフィンの助太刀に黒剣の集いの皆は笑顔で返事を返し、グレンは少し安堵したような顔をすると落ちていた大剣を構え、足が凍り付いたタイラントワイバーンに向かって走り出すのであった。
「みんな俺の事忘れてないっすかぁ!?」
「GYAOOOO!!」
「うわーん! 泣いて良いっすか!? 泣いて良いっすよね!?」
岩石に埋もれても必死に逃げるロルタプは、未だ雌のタイラントワイバーンに追われ続けているのであった。
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