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(水)魔法使いなんですけど  作者: ふーさん
4章 蒼きツバサ
65/138

ヌツロスムントの城下町

あけましておめでとうございます!

今年も(水)魔法使いなんですけど をよろしくお願いします。


一度だらけてしまうと、ずっとだらけて更新が止まる作者です。

書こう書こうと思っても進まない(;ω;`)

 アストレアの部屋、夜


『本当に言葉で説明してくれた通りだったな…』


 タキルはアストレアの仕事を1日見ていたのであったが、伯父のシリウスに水を出す程度の仕事しか見れなかったのであった。

 飲料水や料理に必要な水をシェフに渡しただけで残りの仕事はトイレや衣類の洗濯、お風呂の水を入れるくらいで1日の仕事が終わってしまった。 もちろんそれらは全部伯父のシリウス専用である。


『私は一応貴族だしかなり恵まれているほうだわ…明日は外で酷使されている一般水魔法使い達を見てきたらどう?』

『そうだな、明日はそうするとしよう』

『そこの大きい窓は塞がれたけど、そっちにある崖側の小さい窓からなら出入り出来ると思うわ』


 先日、シリウスの土魔法によって大きい窓が潰されてしまったが部屋にはまだ小さな窓が1つ残っていた。

 その小さな窓の下には高い崖があり、地平線まで見える広大な海が見渡せるようになっている。 その小さな窓はアストレアの身体が抜けれる大きさではあるが、抜けた後に真下に落ちてしまえば命はないであろう事が用意に想像出来る。

 しかしタキルであれば容易に通り抜け可能であり、飛べるので落ちる心配も無い。


『お、ここからなら普通に出入り出来るな』

『ついでにどんな様子なのか教えてくれると助かるわね』

『了解した』

『…リフから届けられたのがタキルで良かったわ』

『ん?』

『無駄に忠実で話し相手としても文句ないわ』

『なんだそりゃ…まぁオレにとってリフは家族みたいなものだからな、もちろんレアもな』

『…そう』


 いままでずっと1人でこの部屋に篭っていたから少し寂しかったのかも知れないわね、タキルがやってきてまだ2日目だけど気楽に会話が出来るなんて嬉しい事だわ…リフには感謝しないとね


 アストレアは屋敷でもほとんど居ないような扱いをされており、使用人達は腫れ物を触るような態度で接してくるし、伯父のシリウスに至っては道具扱いされているのだ。

 唯一(ゆいいつ)仲の良い妹のリフィンがまだヌツロスムントに居た頃はちょくちょくやってきて話をしたり勉強を教わったりしていたのだが、アルモニカに旅立たせてからはずっと1人だったので寂しさを感じていたのだ。

 しかしそれも早いうちにリフィンから幸運(タキル)が送られて寂しさが薄れてきている事にアストレアはしんみりと感じ、夜更かしせず早めに就寝する事にした。


『お風呂も済ませたし、今日は寝るわ』

『じゃあオレも明日に備えて寝…ちょっと待てぇーい!』


 服を脱ごうとボタンを指で外そうとしていたのだが、タキルから止めが入った。


『…何よ』

『オレが鳥籠に入って布被せるまで待て! 脱ぐな! 心臓に悪いからやめろ!』

『………』


 アストレアは無言で鳥籠に入っていくタキルを見つめて、そのあと布を鳥籠に被せた。


『良し、じゃあおやすみ!』

『…』


 今朝、自分の裸を見てタキルが悲鳴をあげていた事から羞恥への耐性がないのであろうと判断したアストレアは、薄く笑いながら魔石ランプの照明を落とし、服を脱いで寝る準備が整うと乱雑に鳥籠からタキルをつかみ取りそのままベッドの中へと入っていくのであった。


『ぎゃぁぁぁあああ!?』

『…おやすみタキル』

『寝れるかーっ!』


 全裸のアストレアに掴まれながら寝れる筈も無く、眠ってる間に握りつぶされると死ぬのではと恐怖を感じつつも艶かしいアストレアの姿にムラムラして、結局タキルが寝れたのはそれから3時間程してからの事であった。




● ● ● ● ●




『じゃあ街の様子を見てくるからな』

『お昼までには戻ってきなさい』

『おう』

『…いってらっしゃい』


 タキルはヌツロスムント王国の城下町を空から探索する事にした。

 アストレアのスケジュールを聞いたら今日はほとんど暇らしく、伯父のシリウスは王城にて会議があるとのことで屋敷には既に居ないようであった。 その隙にタキルが自由に情報収集を行うのである。


『まずはマップ把握からだな…屋敷はデカいし目立つから帰れない事はないだろうが何処になにがあるのかわからないとな』


 グラシエル家の屋敷はかなり高いところに位置していて裏手側には崖と海が広がっていた。 近くに見える一番高いところに王城と思われる城がそびえ立っていて、他にも高いところに大きな建物がいくつか見えた。

 他の低いところは城下町がずらっと敷き詰められており、王城から離れていけばいくほど質素な家が目立つようになっていた。


『アルモニカの建物は白で統一されてた感じだったけどここは赤が多いな、王国のシンボルカラー的な何かかな…ん、なんかあそこらへんが騒がしいな』


 赤茶色の壁や屋根をした建物の割合が多く、ヌツロスムント王国の国旗と思われる赤い旗がちらほらと見える。

 タキルはとりあえず水魔法使いがどこにいるのかと探していると、王城からかなり離れたとある場所に人だかりが発生しているのが見えたのでそちらに向かう事にした。


「おらぁ水だせや奴隷共!」

「誰のおかげで飯食えてるのか分かってんのかおい!?」

「ひぃぃぃ勘弁してくれぇ! これ以上水を出したら本当に魔石が壊れちまう!」

「これ以上は無理なんじゃ、少し休憩を挟ませてくれ」

「てめぇらは水を出す事しか価値がねぇんだ! ずべこべ言わずにさっさと出せやおらぁ!」


 恐らく水魔法使いの奴隷達であるだろう、ムチで叩かれ足で蹴られながら必死に水魔法を行使している姿を見たタキルは呆然とするしかなかった。


『ひどいな…』


 しばらく上空からその場面を観察していると、水魔法使いの奴隷の1人は魔力が無くなったのかあるいは本当に魔石が壊れてしまったのか魔法で水が出せなくなったようで、そのままどこかへ連れ去られて行ってしまった。

 それを見ていた他の奴隷達も怯えながら言われるがままに水魔法を行使し続けていて、意識を失うまで酷使され続けるのであった。


『想像以上だな…水魔法が信仰されなくなるのも納得だわ』


 タキルは他にも上空からヌツロスムントの城下町を見て飛び回り、一般の水魔法使い達や奴隷の水魔法使い達の観察を続けた。


 観察して行く内に1つだけ分かった事があり、奴隷の水魔法使い達は倒れるまで水魔法を行使したら建物の中へ持って行かれて意識が戻るまで休憩させてくれるのだそうだ。

 一般の水魔法使い達の方は魔力回復のポーションを携帯しているようで、休憩の都度少しずつ服用しているようであった。 ポーションの相場がどれくらいするのか知らないタキルであるが、ポーションを持つ者とそれを持たざる者の差があまりにも大きいと感じたのであった。


『…すぐ近くに海や川があるっていうのに、水魔法で出した水しか使いたくないとは贅沢なもんだな』


 この世界の人間のほとんどは水魔法で出した水しか飲まない。 海や川の水は不純物が多すぎるため避けられ、水魔法があるので自然の水を濾過してから飲もうという考えは全くといってないのである。

 どうしたものか、とため息をついたタキルはお昼前になりそうな時間だったのでレアの居る屋敷に戻る事にしたのであった。

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