みんなとこれからも ※イラストあり
次から4章です。
タキルとリフィンの姉の話になります
あと下手ですがイラストあります。
リフィンが虹百合や黒剣の集いと水を提供してから半月が経った。
皆と力を合わせて水の提供を10日程続けていると、ようやく恵みの雨がアルモニカ一帯に降り注いで街中の人々が歓喜に湧いた。 農作物など少し被害を受けたが持ち直せる程度で済み、国からの補助金も出るようで復興には時間がかからないそうだ。
10日もあったので住民達の水への信仰心や大切さを広く伝える事も出来た。 それにリフィンの教えを真摯に受け取り積極的に試した水魔法使いの魔力量が増えているという噂も広がり、アルモニカの住民達の水魔法使いに対する考え方が少し見直されたのである。
もちろんリフィンは大々的に紙面に取り上げられた。 彼女が居なければ被害はもっと増え続けていたかもしれないという話もあちこちに広まっていった。
実際に水魔法使い達はポーションを飲み続けて限界まで酷使されていたのでリフィンが現れなかったら魔法が使えなくなる人が大勢出た可能性が高かった。
その後リフィンはエルトト村の水不足を解消したという功績も情報屋にスクープされて誰かが口にした「水の聖女」という二つ名で呼ばれる事になってしまった。
「水の聖女は流石に名前負けしてますよね…」
「うふふ、リフちゃん大活躍だったものね…アタシもあの時毎日水を貰いに並んでたのよぉん?」
「それは気が付かなかったです…」
冒険者ギルド、アルモニカ支部
街を歩く度に「水の聖女」と言われジロジロと見られ、子供達に追いかけられればグレンとの進展を聞いてくる始末、注目されるのに慣れてないリフィンはエルザが居る受付のカウンターテーブルに肘をついてため息をついた。
氷も作れる事が知れ渡り多くの水魔法使い達がリフィンに教えを請う者も続出、街を歩けばあっちこっちと引っ張りだこで冒険者ギルドで依頼を受けたくても個人依頼が殺到、断る事も出来たのだがお願いされれば断れない性分なので説法を説く事に、
唯一逃がれる手段としてグレンと一緒に行動しておけば押し掛けてきた人達も気を遣うのか寄って来なかったのである。
「依頼があるって嬉しい事じゃない…ちょっと本音を言うけど、氷も出せる水魔法使いなんて貴重な人材を危険度が高い魔物退治の依頼なんかに行かせたくないから嬉しい限りだわぁん」
「エルザさんまで…」
「そんな事しないから大丈夫よ、もっともリフちゃんのランクがFなのが幸いだわぁ」
「まだ駆け出しですから仕方ありません」
「ちなみにもうEランク昇格試験が受けれるからいつでも言ってねぇ」
ギルドも今回のリフィンの頑張りを評価してくれて功績ポイントが上限に達した為、いつでも昇格試験を受ける事が可能とのこと。
「しかし順調に噂が広がっていってるわね、流石ガダイスキのお嬢様といったところかしら?」
「プラム様だけは本当にいつかやり返してあげます…っ!」
リフィンが水の聖女だと情報屋に吹聴しているのも、世間にグレンと付き合っているだの広めていたのはやっぱりプラムだったようで、噂が広がるのも時間の問題でアルモニカに住むほとんどの人にもう知れ渡っているのである。
噂を流している犯人がプラムだと分かり直接抗議しに行ったのだが、拘束魔法で捕まって色々とセクハラをされたあげく泣かされてしまった。
怒ってガダイスキ邸に乗り込んで行けば、号泣しながら逃げるように去って行ったリフィンの噂も今では広がっている始末。
いつの日か復讐できる機会があればそれを逃す事はしないだろうと心に誓うリフィンであった。
「そういえばタキルはいつ頃帰ってくるのかしら?」
「…ちょっとまだ分からないんですよね」
「そう、たしかお姉さんのところに預けているのよね、もしかしてヌツロスムントなのかしら?」
「はい、なのでまだ分からないのです」
「それは少し寂しいわね」
「姉が向こうで1人ですから、タキルの存在から寂しくさせてはないと思います」
「うふふ、お姉さんが大好きなのね」
「はい!」
優しくて面倒見が良い姉の事だ、タキルの事もちゃんと可愛がってくれているに違いないとリフィンは思っていると、ギルドの入り口から冒険者がゾロゾロと入ってくる音が聞こえた。
「お、噂の聖女も居るじゃないか、エルザ! タイラントワイバーンの遠征にこの子連れて行くからな!」
「ちょっ、危険度が高すぎじゃないかしら!?」
「エルザには言ってないっすからね」
「嬢ちゃん、約束通り誘いにきたぜ!」
「行きます!」
B級冒険者パーティーの黒剣の集いがギルドにやってきて早々、リフィンに遠征についてこいと誘ってきた。 以前ロディ達と約束した事なのでリフィンは行く気満々である。
リフィンが黒剣の集いのメンバー達に挨拶をしていると、またギルドの入り口の扉がバァンと開かれて今度はC級冒険者パーティーの虹百合が入ってくるのであった。
「ちょっとリフィン、あんた男とっかえひっかえするつもり?」
「…不潔」
「ふふ、見た目の割に遊んでるのね」
「リフさん流石です!」
「とんだビッチなテイマーね、こんなのに負けを認めざるを得ないなんて」
「娼婦の方がお似合いかもねぇ…あ、冗談だから」
「楽しんで行ってこいリフィン!」
「ご、誤解ですからぁ!?」
彼女らにはリフィンが浮気しているように見えたのだろう、ロディ達と遠征に行く約束をした事を知らないから尚更だ。 そもそもグレンとは付き合っていないから浮気ではないとリフィンは思ったが、そんな事を言ってしまえばさらに炎上するかもしれないので口にはしなかった。
「待て、俺も参加させて貰う」
「おう! おめぇも行く約束だからな!」
ギャーギャーとリフィン達が騒いでいるところに、赤髪で背が高く背中に大剣を背負った男がやってきて告げた。
その男はすたすたとリフィンの傍にやってきてリフィンの顎をそっと掴むと、吸い込まれるように唇を塞いだ。
「~~~っ!?」
「「「キャァァァァアアアア!!!!?」」」
「おいおい、見せつけてくれるじゃねーか」
「…羨ま」
「アアアアアタシのリフちゃんになんて事を…っ!?」
「大胆っすねー」
ギルド内の雰囲気が興奮して盛り上がりをみせる、他の冒険者も一部始終を見ていたというより現在進行形でリフィンとグレンがキスしているのを見ているので、さらに悲鳴が混ぜ合わさったような歓声が上がった。
そしてゆっくりと唇が離れ、肩をグイっと抱き寄せられてグレンは高らかに声をあげた。
「先に言っておくが、こいつは俺のものだ! 手出しは出来ないものと思え」
「・・・」(プルプル)
「「「キャァァァァアアアア!!!!?」」」
なんでいきなりキスしてきたの? それも皆の前でするから余計噂が広まっちゃうじゃない、こいつには羞恥心なんて物が無いんじゃないの!? そもそも私はあんたの物なんかじゃない!!
虹百合や他の冒険者から悲鳴のような声があがり、勝ち誇ったような顔をするグレンを見てリフィンは決めた。
下を向き両の拳を強く握り、顔を赤らめて涙を浮かべながらも怒りで震え、ギルド内の掟に反するが正当防衛の為に力を行使するのであった。
「氷塊弾!」
「ぐぅっ!?」
至近距離から氷の塊をグレンの腹部にぶつけた。 2メートル程横に吹き飛び、腹部に与えられた鈍痛に目を白黒させながらもこちらを熱い視線で見つめてくるグレンにもう一度かましてやろうと魔力を練るが近くにいたエルザに止められてしまった。
「リフちゃんやめなさい、怒るのは分かるけどここでは私闘禁止よ! 今の1発だけは見逃してあげるから」
「…はい」
「ガハハハ! それでこそアルモニカの冒険者って奴だぜ! あそこで女になってたらこの業界じゃやっていけねぇからな!」
「あはははっ! グレンおっかし! 水の聖女に嫌われてやんの!」
「これはリフちゃん何も悪くないね!」
「強姦野郎なんてたたんじまえ!」
「ふふ、惚れた方が負けるのは世の必然かしら?」
「…ナイス反撃」
「今のは傑作っすね!」
「ちっ違う! 俺はただリフの事がだなっ!?」
初めて見せるグレンが慌てる表情にリフィンは嬉しさを感じた。 いつもぶっきらぼうな彼も良いが、今の様に皆で笑い合える表情をしてくれた方が楽しいと心の底から思ったのであった。
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