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(水)魔法使いなんですけど  作者: ふーさん
3章 アルモニカの冒険者
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ケルピーを急襲

男子って子供ね・・・(鼻ほじ

『水が不味い、力が抜けていくような…馬生1ヶ月、ここで滅ぶか新天地に行くか…』


 気付けば僕は知らぬ間に泉の前に居て、なんの情報も無いままこの森に転移したのだと思う…慣れない体勢に違和感を感じ泉に映った自分の姿を確認してみると、見慣れない馬がそこにあった。 全体の色は水色で、たてがみや尻尾は青白い、身体の下半身は少し鱗があるのか光沢が見える。 幸いな事に魚の尾ではなく足が4本あるので普通に歩けるが、その気になれば下半身を尾に出来そうな気もした。


 そして不可解なのが人間だった時の記憶をはっきりと覚えている事だ、僕は元々サラリーマンをやっていたごく一般の人間だったのだが、なぜ今僕は気色悪い馬になっているのかという事だ。 夢ならば早々に覚めて欲しいものだが現実とは無情なものなのだね…もう1ヶ月も野生の馬ライフを過ごしているのだ。


 しかしこの世界は僕にとって興味を惹かれるものばかりだった。 やってきた当初は絶望するしかなく打ちひしがれ黄昏(たそがれ)るしか無かったのだが、僕は魔法が使えるようだった。 言っても使えるのは水魔法だけで飲み水を出したりするくらいしか出来なかったが、最近使えるようになった霧を発生させる魔法を使って他の魔物から隠れるように今は過ごしている。


 食べ物はどうしているかと言うと、馬なので草や葉っぱ、木の実を食べてれば問題ないし水も自前で出せるから特に困らない。 強いて言うくらいなら食欲が旺盛で既に泉の周辺の草花を食べ尽くしてしまった事や出した水が不味いくらいか…



 そんなある程度快適な生活をしていたのだが、1つ困った事があったのだ。

 自分以外に話す相手が居ない環境が思ったよりも寂しかったのである。 僕は元々サラリーマン、妻子は居なかったが大手で勤めていたため金はかなり持っていたので寂しくなればキャバクラに行き可愛い娘達から元気を貰ったり、付き合いが長い友人達とも定期的に遊んでいたので1人だけで過ごす生活は正直かなり堪えていた。


 何度か緑色の身体をした人型の生物、ゴブリンなのかオークなのかは知らないけどそいつらが僕の所に来てくれたのだが、僕を見るなり怯えたり、襲ってきたりしてきた。 襲って来た奴は後ろ足で蹴って返り討ちにしてやったが、やはり馬だからか…人間の様に会話が出来ないとなると伝えたい事が伝わらないので、そいつらとは仲良くなれずにまた襲われるのも鬱陶しいから殺して食べてやった。 あまり美味しくはなかったけど…


 そして孤独の状態が続くとストレスを感じたのだろう、僕はいつも水魔法で飲み水を生成するのだが、それが不味く感じたのだ。 いくら魔力を練っても改善される事はなく生成すればする程、水が不味くなっていくのだ。 そして今朝、魔力量が減っているような気がして焦りを感じた。

 魔法で生成した水が不味いので泉の水を飲んでみたのだが泥臭く濁っていた。 泉というより沼と言った方が適切な感じがする。

 ここにやってきた頃の泉はもっと美味しかったような気もしたが今となっては確認のしようが無く、ただ己の身が滅びるまでここに居る事を選ぶか、新しい新天地を目指して森を出てみるか考えていたとき、張っていた霧が揺らめいて人間らしき生態反応を僕は察知したのだった。 



『数は4…いや、4人と1匹かな?…』


 僕は先日やってきた人間を怖がらせてしまったのか悲鳴をあげながら逃げて行った事を思い出す。

 人間が逃げてったから…確認の為に数人寄越してきたってところかな、襲ってこなければ良いんだけど


 僕はやってきた人間達に警戒しながらも、どうにかして意思疎通が出来ないか模索するのだった。




◆ ◆ ◆ ◆ ◆




「霧が見えてきたっすね…」

「あぁ…しかしここだけ霧が発生している様にも見える」

「…霧って緩やかに移動しますけど、そこだけに留まっているはおかしいです」

「ちょっと二手に分かれて霧の周辺を確認してみようぜ」


 森の中を進んでいくと、前方に霧が発生しているのが確認出来た。 

 しばらく確認して分かったのだが、霧が一カ所だけに留まっており余りにも不自然なのでリフィン達は二手に分かれて霧が発生している周辺をぐるりと回って見る事にした。

 リフィンとグレンが時計回りに、ロルタプとロディが反時計回りに行動し、しばらく回ってみるとロルタプ達と合流したのであった。


「やっぱここだけ霧が発生してんな」

「はい、霧が一部分に集中していますので…おそらくこれは水魔法の白煙の濃霧(ディープミスト)だと思われます。」

「へぇ〜、リフちゃん良く知ってるっすね」


 白煙の濃霧(ディープミスト)は水魔法だ。 術者本人を中心に霧を発生させて近づいて来た者や霧が何かに触れた場合、魔力で操作しているものだからすぐに感知出来るというものなのだ。

 しかし白煙の濃霧(ディープミスト)を使える水魔法使いは少なく、戦闘には全くの無意味なのでこんな事を知っている冒険者はほとんど居ないだろう。

 ロルタプに物知りだと思われたようで少し焦ったリフィンだが、なんとか上手い切り返しの言葉を見つけた。


「…冒険者たるもの、魔法には詳しくないといけませんので」

「それは真理っすね、痛いとこ突かれたっす」

「ふん、とりあえずこれでケルピーである可能性が高まったな」


 グレンの一声で武器を構えるリフィン以外の冒険者達、ポコも赤いスカーフのマントを結び直す。

 しばらく霧の中を進み、およそ霧の中心付近まで近づくとリフィンはポコに念話を飛ばした。


『ポコ…私が合図したら3人を止めて』

『え、どうして?』

『霧の中に侵入し近くに居ると分かっている筈なのに、攻撃してこないのはおかしい』

『わかった、3人を止めれば良いんだね』

『うん、合図を出したらね』

『らじゃ!』



 ポコに念話を繋いだ後、リフィンは他の3人を見やる…3人とも我先にと戦闘する気だろう事は簡単に見て取れた。 今ここで指示を出しても良いが、素直に聞いてくれるかどうかは分からなかったのでとりあえずどう行動するかを見てから判断する事にした。


「それじゃ、俺の魔法でビックリさせてやるっすよ! …追い風(テイルウィンド)!」

「……ヒヒィィィィィンブルルル!?」


 ロルタプが霧を一気に風で吹き飛ばす魔法を使った。 すると視界が開けると同時にいきなり霧が払われてびっくりしたのか馬のような鳴き声と共に泉にバシャバシャと足をつき混乱する馬のような魔物が姿を現した。

 それをケルピーだと判断したグレン達はすかさず走って距離を詰めていき武器を振りかざす。


「俺が仕留めるっすよ!」

「俺の獲物だ!」

「若造どもに遅れはとれねぇなぁ!」


 やはりいきなり戦闘に持ち込む脳筋達、リフィンはケルピーの慌てる様子を一目見て判断しポコに合図を出した。


「待って! 攻撃しないで!」

「うぉーん!」『石の壁(ストーンウォール)!』


 突如グレン達の目の前に石の壁が立ち塞がった。

 現れた石の壁がリフィン達の仕業だと分かったのか、ギョロっと振り向き睨みつけられるのは流石に怖かったが、すぐに3人は大人しく後退してくれた。




◆ ◆ ◆ ◆ ◆




ぎゃぁぁあああああ!?


…あれ?



 いきなり霧が風で吹き飛ばされ、霧の操作に集中していた僕はビックリしてあたふたしていると、姿を現した人間4人のうち3人がいきなり武器を構えて襲ってきたのである。 こっちは身構える事も出来ず襲ってくる3人の人間を目の前に僕は何も出来ずに死を迎える筈だった。 先日の人間が魔物ハンターを雇って僕を殺しにきたのだと…

 って思ってたんだけど、いつの間にか石の壁が目の前にそびえ立っていて、少し横に移動してみると4人の人間はなにやら話し込んでいるようであった。

 何しゃべってるか言葉は分からなかったが、どうやら唯一襲って来なかった奥の女の子が僕の事を攻撃しないように言ってくれている事なのは、なんとなく分かってしまった。

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