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(水)魔法使いなんですけど  作者: ふーさん
3章 アルモニカの冒険者
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泣き土下座

いつも読んで下さる方、ありがとうございます

 モニカ共和国、城塞都市アルモニカ、冒険者ギルドアルモニカ支部にて


「そんな、私はクリムゾンエイプを倒してすら居ないのに報酬は均等だなんて」


 虹百合と一緒に冒険者ギルドに帰還したリフィンは、クリムゾンエイプの討伐と魔石換金で得られた報酬を均等に山分けという提案に反対していた。

 何故なら今回のクエストでリフィンは魔物を1匹も倒していないばかりか、戦闘においてもそれ程までに貢献していなかったにも関わらず、メリコム達は報酬は山分けでいいと提案してきたのだ。


「いいんだよ、新人が細かい事を気にするんじゃないさ」

「ふふ、ルコの面倒を見てくれたようだし」

「私もポコに助けられたからね、良いんじゃない?」

「タキルも一緒に偵察してくれたしね」

「ウォフ!」

「…ご飯、美味しかった」

「リフさんは、私の目標です!」

「しかし…」

「皆それぞれ思うところがあるって事よ、これ以上グダグダ言うなら絞めるわよ?」

「うぅ…」

『良いんじゃないか貰っておいて』

『ウチも良いと思うよ、平等に扱ってくれてるって事だし!』


 10対1でリフィンの負けであった。

 ポコの言うように平等に扱ってくれるならそれはとても有り難いことだし、今後も気軽に接してくれるかもしれないのだ。 リフィンは皆に感謝して提案を受け入れる事にする。


「皆さん、ありがとうございます! また一緒に行くときがありましたら今回よりも働きますからその時はお願いします!」


 そうして報酬は山分けとなり、虹百合のメンバーと別れた後、まず一旦宿に帰って荷物を置きに帰ったのであった。




● ● ● ● ●




「はい”ぃ”・・・私”でずぅ”〜、私”がや”り”ま”じだぁ”ぁ”」


 リフィンは宿屋<あけぼの亭>の自室にて、女将のカイラに向かって泣きながら土下座をしていた。


数分前


 まだ陽が昇って間もない頃に、宿屋<あけぼの亭>に帰って来たリフィンは洗濯物を干していたカレンちゃんに挨拶して自室に帰還した。

 リフィンが帰って来た途端にカレンちゃんが顔を青くしていたのを見ておらず、自分に近づく静かなる雷にも気付きもせず、暢気(のんき)に荷物の整理をふんふんと鼻歌を歌いながらこなしていたのであった。

 リフィンが宿に帰って来て、青い顔をしていたカレンはガクガクと震えながら母親であるカイラに報告、カイラは「うふふ」と笑いながら身重の身体を動かしてリフィンの居る部屋に向かった。


コンコン


 リフィンの居る部屋に誰かがノックする音が聞こえる。


「女将のカイラです、少しよろしいでしょうか?」

「はーい、どうぞ!」(カイラさんか、どうかしたのかな?)


 リフィンは何か用事でもあるのかなと、何の気無しに返答をした。 カイラの美しい声が怒気を孕んでいるとも知らずに…


ガチャ…


 ゆっくりとドアノブを捻る女将カイラ、キィーーと扉を開く音と共にゆっくりとカイラの笑っていない笑顔がリフィンの目の前に姿を(あらわ)す、それを見たリフィンは昨日のカイラの顔と台詞(セリフ)を思い出すのであった。



『少しあなたにお話があるのですが、お仕事が終わったらゆっくり話をしませんか?』



「はっ!?」


 気付いた時にはもう遅く、カイラがリフィンの肩を両手でガシッと掴んでグイと顔を近づける。 笑顔なのに笑ってない、そんなカイラの顔がリフィンの目の前にあった。


「昨日の水タルの件で少しお話がしたいのですがよろしいでしょうか?」

「あ…あの…近っ」

「時間、ありますよね?」

「…はい」


 半ば強制的に同意を求められたリフィンは肯定しベッドに座らされると、カイラは椅子に座って話を繰り出して来た。


「リフィンさん、単刀直入に聞きますけど、あなたは水魔法使いなのかしら?」


 ドキリとするリフィン、いきなり正解を言い渡され何故バレてしまったのかというより、あの時のリフィンの行動は悪巧みやら悪事を働く等という事とは逆に、良い事をしたつもりでいるのであるが、何故こんな脅すように(すご)まれているのか到底リフィンには分からなかったのだ。


「な、何の事でしょうか…」

「うふふ、証拠ならたくさんありましたわ…カレンがタルの中身を見た時の反応、かなり床がびしょ濡れになっているのにタルいっぱいの溢れんばかりの水の量、これだけでも充分だと思いますけど?」

「き、気のせいではないでしょうか…」

「娘の反応くらい見れば分かります、何年カレンの母親やってると思いまして? 床がびしょ濡れだったのは旦那にも確認させております、これでもまだ白状しなくて?」

「…」


(やばい、詰んだ…普通にバレてる)


 苦し紛れの言い訳にカイラの気のせいで済ませたかったのであるが、それでも余裕の笑みを浮かべるカイラは決定的な証拠をリフィンに叩き付けるのであった。


「カレン、入りなさい」

「はい」

「…っ!?」


 リフィンの部屋の外で待機していたのか、カイラの合図に返事をしたカレンが2つの水が入ったコップをお盆に乗せて中に入ってきたのであった。

 コトリとお盆が机に置かれ、カレンはゆっくりとリフィンに向かって頭を下げたのであった。


「ごめんなさいリフィンさん、お母さんには勝てなかったです」

「あ、うん、気にしなくてもいいよ…えっと、その水は?」

「リフィンさんが入れたと思われる水と、普通に仕入れた水でございます。 タルは1つではなかったですからね…」


 カレンちゃんに言われて思い出す、何個かタルを動かすのを手伝った記憶も新しく、否定する事は出来なかった。


「そ、そうでしたね…」

「実はリフィンさんが冒険に出かけた後、様子がおかしかったカレンに問いただしたのですが、どうやらタルを横転させて中の水を全部零してしまったという事が分かりましたわ」

「リフィンさんすみません!」

「ぁ…」

「そこで私はリフィンさんが入れたと思われる水を少し飲んでみたのですが、普通の水とは全然味が違いましたからおかしいと思いましてね…今こうして聞いているのですがそれでも否定なさると?」

「うぐっ…」

「よければそちらの水を飲み比べてみては如何ですか?」


 もうリフィンが水魔法使いだとバレているのは確定的だ、水の味が違うのも自分が出した水とルコさんの出した水を飲み比べて味が違う事に分かったばかりでもあったので否定出来ない。 しかしそれでも何故リフィンはこうしてカイラに怒気を発っせられているのかが分からずに居たので聞いてみたのであった。


「も、もし仮にですよ? 私が水魔法を使えたとして、何故カイラさんにこんなに凄まれているのか分からないのです…良ければ教えて頂きたいのですが」

「うふふ、仮にリフィンさんが水を出してくれたとして、それはそれで感謝しているつもりですが…人を騙すように娘にジェスチャーしたりシラを切るような行動に関しては怒りますけども?」

「うぅ…」

「娘に人を騙すように教育する冒険者とは思いませんでした…申し訳ありませんが___」


 追い出される、そう理解したリフィンはベッドから飛び降り地に頭をつけた。


「はい”ぃ”私”でずぅ”~、私”がや”り”ま”じだぁ”ぁ”」

「…あ、あらあら、そこまでされる必要は___」

「も”う”じま”せ”ん”がら”許じでぐだざい”ぃ”ぃ”ぃ”」

「リ、リフィンさん!?」

「騙ず様な”真似じで…ごめ”ん”な”ざい”ぃ”ぃ”ぃ”い”」


 びえーんびえーんと自分の非を詫び続けるリフィンの姿に、カイラとカレンは言葉を失ったのであった。

実は一度泣かすと泣き止まないリフィンちゃんなのである。

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