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(水)魔法使いなんですけど  作者: ふーさん
3章 アルモニカの冒険者
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クリムゾンエイプ

 ピカッ!!!


「オオオォォォォォォォォォォオオオ!!!!!!!!!」


 メリコムからの合図が鳴った、すぐにシモンは行動を開始し火魔法の魔力で高速回転する火槍(ドリル)を構えてクリムゾンエイプに突っ込んで行く、そんなシモンのすぐ後ろにはポコがぴったりと付いて来ていたが、それを無視して自分の戦いのみに集中する。


「ホォゲェェェェェェ!?」


 回転する火槍(ドリル)をまともに受けてしまったクリムゾンエイプは肉が抉られ瞬く間に胴体を貫通する。 いきなりの襲撃になす術も無く絶命したクリムゾンエイプから火槍(ドリル)を引っこ抜いて次の獲物を探すシモン、流石にシモンの存在に気が付いた他のクリムゾンエイプ達がいきり声をあげて次々と襲いかかった。


「火に耐性があるといってもビビらせる事が出来るなら有用よね、炎の壁(ファイヤーウォール)!」


 シモンに襲いかかって来たクリムゾンエイプ達は一瞬足を止めた。 その隙に近づいて来た数匹を火槍で串刺しにしていく、


「ちっ、引っこ抜くのに時間がかかるのが難点ね…」


 シモンの火槍(ドリル)にはすでに3匹程クリムゾンエイプがぶら下がっており、これ以上は重過ぎて振るえないので、焼き鳥の串の持ち手を通過させるように火槍だけを貫通させて串刺しにしたクリムゾンエイプを外していると、

 炎の壁の外側からクリムゾンエイプが複数、シモンに向かって火の玉(ファイアボール)を飛ばしてくる。


「ちっ!」

『うぉん石の壁(ストーンウォール)!』


 シモンの目の前にいきなり石の壁が出現し飛んで来た火の玉を全て防ぐ、シモンが戦っていた姿を見てポコはリフィンの言っていた言葉を理解し、シモンの身が危ないと判断したところでフォローを入れたのだ。


「ポコ…やるわね」

「うぉ〜ん!」『それほどでも』


 シモンの武器は長い槍の先端に回転するドリルが付いたものだ、こと破壊力だけは優秀であろうがリフィンが言っていた通り混戦になると振り回しにくくなるのだ。 どういう事かとポコは思っていたがシモンの戦う姿を見て分かったのだ。

 突き刺す攻撃を主にしていたシモンだが、普通の槍の基本動作である突き、引き、そしてまた突くという行動を繰り返すのがリーチの長い槍の強みなのだが、シモンの武器は槍の直径より大きなドリルが先端に付いており一突きするたびに貫通していき、武器自体が(やじり)のような形をしている事から武器を引っ込抜くのが難しいのだ。


「リフィンのくせに私の欠点知ってるなんて…しかもあらかじめ予測出来てたとかまじ生意気だけど、ポコには感謝しておくわ!」

「わふっ!」『どういたしまして』


 せめて小さめのドリルが付いていれば全然違ったのに、と思うポコであったがとりあえずは戦いの方に集中するべきだとシモンのサポートに回ったのであった。




● ● ● ● ●




 ユリネにクリムゾンエイプ1匹を任されたリフィンとルコは連発してくる火の玉(ファイアボール)に辟易していた。


ホゲェアァァ(ファイヤーボール)!」

『危ねぇ! もう少しで焼き鳥になる所だったぞ!?』

ホゲェアァァ(ファイヤーボール)!」

「くっ…このっ!」


 タキルとルコがギリギリのところで火の玉(ファイアボール)を躱していく、これ以上下手に近付けば被弾は免れないだろう事は予想出来たリフィンは、ルコのサポートに移行する。


ホゲェアァァ(ファイヤーボール)!」

「よっと…ルコさん、私が押さえるから攻撃お願い!」

「はい!」


『タキルは周囲を警戒!』

『おうよ!』


 クリムゾンエイプが繰り出したファイヤーボールを杖で弾いてそのまま接近して行くリフィン、ルコに声をかけて同時に畳み掛ける為に次の手を繰り出す。


「当たって!」


 リフィンはクリムゾンエイプに向かって杖を槍投げのように投擲し、すかさず懐から手裏剣を取り出して投擲し追撃する。 杖は躱されたものの、流石に立て続けに複数飛んでくる手裏剣には対応出来ず胴体を集中的に数カ所突き刺さってしまい焦り痛がりだすクリムゾンエイプ。

 そして至近距離まで接近したリフィンはナイフを取り出してクリムゾンエイプの腕を斬りつけそのまま突撃、クリムゾンエイプの足を両腕で掴んで押し倒す。


「今だよ!」

「えいやぁああ!!」

「ホギャァァァァ!!!」


 ルコが振り下ろした剣は見事クリムゾンエイプの胴体、心臓近くを深く斬りつける事に成功する。 大量出血しながらも一矢報いようと暴れ回るが、リフィンが両足と片腕を、ルコが胴体と頭を抑えて拘束する。

 やがて飛び出る血飛沫が収まる頃にはクリムゾンエイプはゆっくりと動かなくなり絶命した。


「こ、怖かったですリフさん…」

「私も流石に近接戦は慣れないのでかなり怖かったですよ…」

「その小さい身体でよくやりますよね、うわぁ…血まみれです」

「私もです、これだけは慣れたくありませんね…討伐おめでとうございます」

「ありがとうございます、リフさんのサポートのおかげです!」

「いえいえ」


『お疲れリフ、周囲にはもう敵は居ないし…終わったようだな』

『そう、タキルもお疲れさま』

『おう』

『リフちゃーん! タキルー!』

『ポコも無事のようだな』

『ポコもお疲れさま』


 リフィンとルコがクリムゾンエイプを倒した頃、丁度他のメンバーが全てのクリムゾンエイプを討伐し終えており、メリコムは先程のリフィン達の戦闘を見ていたのだろう、リフィンとルコを褒めた。


「ルコとリフィンの戦いは良い連携だったぞ! 戦闘は素人(しろうと)とはいえ、ルコの思いっきり剣を振り下ろした勇気にあたしは賞賛を贈ろう」

「あ、ありがとうございます!」

「リフィンも冒険者を始めて間もない新人とはいえ、味方に配慮するように行動が出来るなんて大したものだ…そうだろシモン? リフィンがシモンにポコを付けてたから怪我を負わなかったようなものだしな」

「うげっ、見られてたのかよ光ゴリラに…」

「知られていましたか…」


 どこで見ていたのか、どこで知り得たのかは分からないが流石Cランクパーティーのリーダーといったところか、クリムゾンエイプのほとんどはメリコムによって倒されているらしくメリコム自身に怪我や返り血が無いのも流石と言えた。




● ● ● ● ●




 その後、クリムゾンエイプの魔石を回収し終え、帰路に立つ頃には陽が沈みかけておりオレンジ色の空が辺り一面を小麦色に照らしていた。


「後は帰るだけなんだが、ルコの足が限界のようだ…少し休憩を挟む」


 メリコムがそう言うとルコは近くの石の上にヘタリと座り込んだ。


「すみません私の為に…」

「気にするな、メンバーを気にかけるのはリーダーの努めだからな」


 ルコの足はフルフルと震えていて、今まで長距離を歩き慣れて居なかった生活をしていたルコはかなり無理をしたのだろう。 他のメンバーやリフィンもルコの状態には気が付けなかったが、メリコムはちゃんと見ていたようで流石といえる。


「ついでに山菜でも取って食うか…誰か行くか?」


 メリコムが声をかけるとリフィンとルコ以外の5人が手を挙げた。


「はーい、ウォルに高級霜降りキノコ探してもらうわ」

「ふふ、私は木の実でも取ろうかしら?」

「まだ殺し足りないのよねぇ」

「…新しい罠の実験がしたい」

「クリムゾンエイプじゃ相性悪過ぎたから暴れ足りないのよね!」


 それぞれやりたい事があるので意見を言い、そしてそれを了承するメリコム、流石にルコを1人にはしておけないのでリフィンにルコを見ておいてくれないかと言われリフィンはそれを了承する。


「行っちゃったね…」

「そうですね、私も足が疲れていましたので丁度休憩に入れて良かったです。」

「あ、喉乾いていませんか? 水魔法使いですからこれくらいしか出来ませんけど」

「…では、お願いしても良いですか?」

「はい!」


 リフィンはルコと2人きりになって思い出す。

 グレンに言われたとおり、計らずとも自然にルコと接触している事に気が付いたリフィンは、なんて運が良いのだろうと少し顔を緩めるのであった。

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