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(水)魔法使いなんですけど  作者: ふーさん
3章 アルモニカの冒険者
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メリコムの合図

怒号ぉおおおお!!

「よーし、じゃあこの作戦でいくからな!」

「仕方ないわねぇ…」


 偵察に出ていたタキル、カンナ、ウォルが帰って来た後、持ち帰って来た情報をまとめ、昼食と同時に作戦会議を済ませて各自持ち場に着いたら合図とともに作戦開始だ。

 クリムゾンエイプのおおよその数は30~40体、上空からタキルが集落っぽい粗末な建物があるのを発見していた。 そこには色んな焼きこげた動物やモンスターの遺体、白骨化している骨などが散らばっており、中には人間のモノと思われる遺体もあったという。 彼らは肉を焼いて食べる習性があり、自ら火の魔法を使う為か火にある程度の耐性があるとの事、こんなのがこれ以上数が増えたら被害は大きくなる一方であることが予測される。

 それで、彼らを一掃する手段として次の策が採用された。 題して「空から女の子が!包囲殲滅作戦」だ。 何を言っているのか訳が分からないリフィンとルコであったが、「またなのか…」と呟き毎度恒例の行事なのかシモンが呆れた顔で教えてくれた。


「…リーダーのメリコムがまず敵のど真ん中にいきなり降って来て暴れ回り、敵が混乱しているところを周りから私達が各個撃破していく感じね、作戦練ってたって言うけどほとんど練ってないようなものだわ」

「…メリコムたっての強い希望に負けた」

「ふふ、新人ちゃんに良い所見せたくて張り切るつもりよ」

「おい、それは言わない約束だろうが!?」

「いくら案を出しても大体コレになっちゃうのよねぇ…」

「今回も私の出した案が採用されなかったわ…」


 今回はリーダーのメリコムが新人に良い所を見せようと張り切ってくれるようだ。

 上からどうやって敵地のど真ん中に降り立つのかというと、ユリネの風魔法でメリコムを浮かしてから着地するらしく他のメンバーは5方向からメリコムの合図を待つのだ。 新人のルコは一人だと危険なのでリフィンと共にユリネに着いてもらう事になった。

 ユリネの強さを知っているリフィンは今回、火に耐性を持つクリムゾンエイプとは相性の悪いシモンにポコをこっそり付ける事にしておく。

 各々と別れて、作戦通りそれぞれ持ち場に着いたところで早速作戦を開始する。


「んじゃあ頼むぜユリネ」

「ふふ、分かったわ」

「メリコムさん、気をつけて」

「あぁ、ありがとよ」


 メリコムはそう言うとユリネの風魔法で空高く飛び上がり、次第に数十メートル先の方にゆっくりと落ちて行った。


ドゴォォォォォォォォオオオオン!!!


 今の音はクリムゾンエイプの作った建物が壊れた音だろう、メリコムが着地と同時に破砕音がしたような気がしたので恐らく衝突と同時に攻撃を放ったと思える。 クリムゾンエイプ達はそちらが気になって向かって行ったようでギャーギャー喚く声が聞こえてくる、まぁ自分たちが作った建物が壊されたとなれば怒り狂うのも理解出来るが…



「…合図はまだですかすかね」

「ふふ、そろそろだと思うわ」

「…」

「…」

「…」


 リフィン、ユリネ、ルコの3人、そして他の場所で待機しているメンバーもメリコムからの合図をじっと待つ、ギャーギャーとクリムゾンエイプ達の声が聞こえる中、ついに来たメリコムからの合図が炸裂する。


ピカッ!!!


「オオオォォォォォォォォォォオオオ!!!!!!!!!」


「来たわね、行くわよ!」

「は、はい!」

「すごい声ですね…」

『なんて喉してやがる』


 ピカッと目映い閃光が周囲を照らしモノクロのような世界を一瞬彩った後、メリコムからの合図が解き放たれた。

 声の主はメリコムのものであり、数十メートルも離れているのに耳を防ぎたくなる様な消魂(けたたま)しい雄叫びをあげる肺活量、声帯に驚きながらも作戦を始めるリフィンとルコ、ユリネの後ろについて行き草木等をかき分けて視界が明るくなるとメリコムが真ん中でクリムゾンエイプの群れと戦っていた。


「ふふ、じゃあ私達は各個撃破していくわよ…風纏の翔刃(ウインドスラッシュ)!」

「ホギェェアア!?」


 ユリネはメリコムに気を取られているクリムゾンエイプの死角から風魔法で発生させた飛んで行く刃を当てると、スパっと胴体が2つに別れてクリムゾンエイプだったものはゴロっとその場で崩れ落ちる。

以前リフィンが見たユリネの魔法よりも数段威力が上がっていて、あれが自分に放たれたと想像すると戦慄する。


「凄い…」

「…前より威力上がってませんか?」

「ふふ、どうかしらね? それよりいっぱいこちらに向かってきたから対処して」


 そう良いながらも次々と魔法を連発して邪魔な死体は風魔法で積み上げて行くユリネ、リフィンとルコの所に1匹やってきたが、魔法を使わずにスルーしたのでそれはこちらで対処しろと言う事だろう。 早速リフィンはタキルに妨害を頼んだ。


『タキル、援護お願い!』

『目の前グルグル作戦だな!』


「ルコさん、タキルが妨害しているうちに一気に仕留めるよ!」

「すごっ!? 了解です!」


 リフィンは杖を構えて、ルコは少し長めの剣を取り出して1匹のクリムゾンエイプに接近した。



 数分前

 ポコは今、シモンに付いてメリコムからの合図を待っていた。


「わふっ!」『やっほー!』

「あれ、なんでポコがこんな所に?」




◆ ◆ ◆ ◆ ◆




 私は、リフが使役しているポコが自分の所に居るのか理解出来ない、動物が言葉なんて喋れる筈も無く、まず会話すら成立しないのだから考えても無駄かと思うんだけど、

 リフがわざと私にポコを付けさせたの? あの子昔っから何考えてるのかよく分かんないんだよね…どう考えても普通に戦える私より、ロクに戦えない自分の事を考えてれば良いのにって思うし、もう意味分かんないんだよね、タヌキ守りながら戦う方がよっぽど難しいじゃん! っていうか昔の恨みからただの嫌がらせの可能性もあり得るから嫌だわー…




◆ ◆ ◆ ◆ ◆




 ポコは、なにやら葛藤しているシモンの様子を見るとシモンの傍に近づいて同じようにメリコムからの合図を待つと同時に先程リフィンに言われた事を思い出した。


『ポコ、お願いがあるんだけどシモンにこっそり付いてあげてくれないかな?』

『え、どうして?』

『シモンの武器は見たまんまドリルで破壊力だけなら凄いんだけど、混戦になると少し相性が悪いんだよね』

『うーん、よくわからないけど分かった!』

『あと、クリムゾンエイプは火に耐性を持つし、シモンの火魔法ではちょっと厳しいと思うから、もしもの時は土魔法を使っても構わないよ』

『結構リフちゃんお人好しだね…了解!』


 そしてメリコムからの合図があった後、ポコはリフィンの言った言葉に理解するのであった。

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