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(水)魔法使いなんですけど  作者: ふーさん
3章 アルモニカの冒険者
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久しぶりの再会

進まねぇ・・・進まねぇよぉ!?

まぁこんなもんだよね?(適当)

 Fランクになって数日が経った。 薬草採取などおさらいとなるクエストをこなしつつ、リフィンの腕は薬のおかげで全快していた。


 今日も張り切って依頼をこなす日だ。 宿屋<あけぼの亭>で支度を済ませた後、そういえばまだカレンちゃんを見ていないなーって思って女将のカイラさんに聞いてみると「いま裏で水の納品をさせているとこなの、初めてさせる仕事だから手伝おうかと言ったら怒られちゃったわ…」と言っていたので少し見学して行こうかなと思い宿屋の裏に回ってみた。


「んぬぅぅぅぅ…おっも!」


 リフィンの目の前には自分より大きな水が入ったタルをなんとかして運んでいるカレンちゃんが居た。

 タルを少しだけ傾けて回しながら器用にタルを移動させているカレンちゃんであるが、額には脂汗がダラダラと流れており、かなりの力仕事なのであろう顔がもう真っ赤になって火照っていた。


「ふんぅぅぅぅ…!!」


 なんという底力、同じくらいの体格のリフィンでも同じ事をやれと言われたら流石に「無理です」と言っていたであろう仕事を、年下のカレンちゃんは頑張ってこなしているのだ。

 流石に見ているだけなのも気が引けるので手伝おうとカレンちゃんに声をかけようかとした途端、カレンちゃんはタルにかける力を入れすぎてタルがゆっくりとカレンちゃんを押し倒すように傾いて行くのが見て取れた。


「えっ? ちょっやばっ!?」

「危ない!」


 すかさずリフィンはカレンちゃんの身体を抱きしめて手前に引っ張って救出する。 しかしタルは完全に横転して中に入っていた水が大量に飛び出してしまった。 幸いカレンちゃんがタルの下敷きにはならなかったものの、納品したばかりの大量の水が使い物にならなくなってしまったので顔を青くするカレンちゃんであった。


「あぁぁぁぁ!?どうしよどうしよ!?」

「カレンちゃん、怪我はない?」

「私は大丈夫ですけど、大切な水が駄目になってしまいました…」

「うん、とりあえずタルを起こしてから、カイラさんに報告しようか」

「…はい」


 カレンちゃんはそう呟くと、タルを立たせて重たい足取りで宿屋の中に入って行った。 絶対怒られると悟ったカレンちゃんの絶望的な表情は流石に見るに耐えなかったリフィンは、こっそりタルの中に水魔法で水を注いでおく。


 流石に水魔法の力が上がっているのか、タルの中身を水いっぱいにするのはほんの一瞬で終わったので、カレンちゃんに続いて宿屋の中に戻ってみるとカレンちゃんが女将のカイラを前に言葉を出せない状態にあった。


「おかあさん…その…」

「どうしたのカレン?」

「…ごめんなさい」

「なにがあったの?」

「…それは、えーっと」

「…なにかイケナイ事でもあったの?」

「………」


 中々本題に入る事が出来なさそうなのでリフィンが間に入ってカレンちゃんのサポートに入る事にしてみた。


「あ、カイラさん、カレンちゃんがタルの水を運ぶの手伝って欲しいそうですよ?」

「っ!?」

「…あらそうなの? 重たかったんだったら素直に手伝ってって言えばいいのに」

「ちっちがっ!?」

「さっき1人で大丈夫って啖呵切っちゃったから恥ずかしくて言えなかったのね、ごめんね気づかなくって」

「カイラさん、私も手伝いますから教えてくれますか?」

「えっ!?」

「…じゃあお願いしようかな」


 リフィン達3人は宿屋の裏に回ってタルが置いてある所に向かう。カレンちゃんの足取りだけはまだ重たかったが現場につくと、タルの中には溢れんばかりの水がたっぷりと入っているのを確認するとリフィンに顔を向けて驚いていたので、リフィンは口に人差し指を当てて、し〜っとしてやり過ごすことにした。

 その後、女将のカイラさんに教わって全てのタルを動かし終え、カレンちゃんはリフィンにお礼を言ってまだ残っている仕事を片付けに行った。


「ねぇリフィンさん?」

「なんでしょうかカイラさん」

「今からギルドに向かうのかしら?」

「はい、今日も頑張ってきますよ?」

「そうでしたか…少しあなたにお話があるのですが、お仕事が終わったらゆっくり話をしませんか?」

「あ…はい、わかりました…イッテキマスネ?」

「はい、いってらっしゃいませ」


 なんだろうか、女将カイラの顔が笑ってるんだけど笑ってないようにも見えるのは気のせいだろうか…

帰ったらいったい何をお話するんだろうかと少し恐怖を覚えるリフィンであった。

 …もしかして、バレてる?




● ● ● ● ●




 冒険者ギルド、アルモニカ支部


 Fランクになったリフィンは受けれる依頼が以前より少しばかり多くなったので依頼が張り出されているボードを確認するも、高ランクばかりの依頼の張り紙が埋め尽くされていて受けられる依頼が全く発見出来ず、後ろに並んでいる冒険者を待たす訳にはいかないので諦めてその場を後にし、肩を落とし落胆しながらも受付に居るエルザに何か受けられる依頼はないかと聞いたのであったが、


「…リフちゃんには申し訳ないけど、今日は無いわね」

「…そうですか」


 エルザが言う所、ここ最近のFランク以下の依頼の案件は減って来ているとのことだ。

 低ランクの冒険者の仕事のメインである溝掃除の依頼は今は国が運営している掃除業者がこなしているし、配達に関して言えば運送屋が担っている。 魔物の解体作業は孤児の子供達にやらせて仕事を与えていて、薬草採取も薬剤師ギルドが急務でなければ依頼を寄越さないからだ。

 どうしても忙しくて人員を割けない場合に限り冒険者を頼るそうで、冒険者にならなくても働き口が別にたくさんあるから最近は新しく冒険者になる人が減っているようでもあった。


「そうなると、どこかのパーティと一緒に高めの依頼をこなしてもらうしかなさそうね…」

「わかりました…ただ、冒険者の知り合いがほとんど居なくてですね…」

「それは困ったわね、グレンも黒剣の集いも今は居ないし…あら?」


 エルザに頼ってみたけど流石に詰んだかと思ったリフィンであったが、ギルドの入り口の方からザワザワと騒がしくなって来ておりギルドの入り口の扉からは人が避けるように隅の方に避けて行っていた。


「リフちゃん丁度良かったわぁん、今日は彼女らと同行させてもらいなさい」

「ま、まさか」

「えぇ、女性だけのC級冒険者パーティ、虹百合よ…それならリフちゃんも安心でしょ?」

「あ…はい」


 すると、突如入り口の扉がバァンと開きゾロゾロと7人の女性が登場し、まっすぐこちらに向かって来ていたので脇にどけて窓口を譲る。 すると彼女らの先頭にいた筋肉ムキムキの女性がリフィンを目にし挨拶してきた。


「このあいだのお嬢ちゃんじゃないか、どうだい元気にやってるかい?」

「はい、メリコムさんもお元気なようで」

「はっはっはっは! あたしはいつも元気100倍やってるよ」


 そう軽く挨拶を交わした後、メリコムはエルザに「一番良い奴を頼む」と言って依頼を注文していた。

 メリコムとエルザがカウンター越しで会話をしているのを端から見ると、まるで鏡で映したかのような絵に見えたリフィンは吹き出しそうになったが、こっそり心の隅にしまって置くとする。

 そんな2人を眺めているとメリコムの後ろに居た2人の女性がリフィンに向かって言葉を発して来た。


「ふふ、お久しぶりね」

「やっぱりリフィンだ」


 そこには学生時代、リフィンを虐めて楽しんでいたユリネとシモンがリフィンの目の前に現れたのであった。


「お久しぶりです、ユリネ先輩に…あなたは誰でしたっけ?」

「はぁ? あんなに可愛がってあげたっていうのに私の事忘れたっていうの!?」

火槍(ドリル)がギュインギュイン鳴ってるイメージが強くて貴女の顔がドリルにしか見えなかったのかも知れません…申し訳ないですシモンさん」

「っ!? 覚えてるじゃないの!?」

「ふふ、火槍(ドリル)でお尻を狙って攻撃するなんて破廉恥な行為が何故失格にならなかったのか今でも不思議だわぁ」

「あれは不可抗力だったのよ!」

「公衆の面前でスカート捲ってくる先輩もどうかと思いますけどね…」

「ふふ、あれも不可抗力だったのよ?」


 少しクセ毛のある緑色の髪をサイドテールで結んでいる女性がユリネ、リフィンと同じ様な魔法使いの恰好をしておりローブや杖には魔力を増幅させる為のルーンが織り込まれている。 これでもかと主張する爆乳が目障りでもぎ取ってあげたいくらいだ。 使用する魔法は風属性で性格は少々サディストである。


 ピンク髪ショートで赤みがかった鎧をがっちりと着こなし、背中にはドリルのような物がついた槍を持つのがシモン、学生時代にリフィンに面白可笑しくイタズラをしていた同級生でもある。 完璧なまでのまな板なのでリフィンは己と比べ内心勝ち誇る。


「っていうか、なんで冒険者になってるわけ? 頑張ってエリートコースに進んだのにもったいなくない?」

「まぁ…色々ありまして」

「ふふ、噂では聞いてたけど本当に鳥とタヌキとスライムをテイムしてるのね…」

「私の大事な仲間達です。 この子達が居ないと私は冒険者としてやっていけない気がする程ですね」

「ふぅん、うちのカンナのシルバーウルフ程じゃなさそうだけど、このタヌキは結構モフモフしてそうね…触っていい?」

「…嫌がらない程度でしたらどうぞ」


『ウチの意志は?』

『嫌だったら念話でお願い…』

『まぁいいんだけどねー』

『オレは撫でてくれないのか…?』


 シモンがポコを「よーしよしよし」とポコのモフモフを堪能する。

 ポコはされるがままぬいぐるみになったように動かなくなり、それを見たタキルがポコに嫉妬する。

 リフィンが気を遣ってタキルの頭をちょんちょんと撫でると幸せそうな表情をして『ふえぇ…』と言って気持ち良さそうにしていた。


「ねーこの子なんて言うの?」

「ポコ」

「おーポコか! この子頂戴?」

「駄目です」


『絶対嫌だよ!』


「えーいいじゃんタヌキの1匹くらいくれても」


『ムカッ…リフちゃん!』

『うん、忠告しても駄目なら許可する!』

『らじゃ!』


 いつまで経ってもポコを離そうとしないシモンに、リフィンとポコは念話で合図を確認しておく。


「…そろそろポコを離さないと反撃くらいますよ?」

「いやいやそんな事無いって! だって今ぬいぐるみみたいに大人しく___痛ったぁああ!?」


 リフィンが忠告しても離そうとしなかったのでポコが反撃としてシモンの腕に軽く噛み付くと、ピョンと飛んでリフィンの後ろに隠れた。 シモンの腕には噛み付かれた痕があったが、出血もしておらず痛かっただけだったようですりすりと擦って痛みを和らげていた。


「…だから言ったじゃないですか」

「なによぉ! ちゃんと躾けておきなさいよね!」

「躾けるどころかポコとは意志疎通出来ますし、噛み付くよう命令したのは私ですけどね」

「おのれ魔物使い(テイマー)め!」

「貴女はいつも度が過ぎるのですから、もう少し自重したほうが良いのでは?」

「う、うるさいわねリフィンのくせに! パンツ破るわよ!?」


 リフィンは昔からシモンをあしらうのは得意だったが、こと戦闘においては負け続けていたためシモンが大きな顔をしてマウントを取る事を今まで許していたのだが、今は分からないので対等に接するリフィンであった。

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