人間の勝手な理由で
バニーマン「え、俺死ぬの!?」
今回のは表現力が低過ぎてどうにもならなかった
そして難産でした。
伝えたい事がまじで難しいですはい
奇妙なタヌキを追いかけて捕まえるだけの簡単な作業だった筈なのだが、ちょこまかと動き回るタヌキに俺達バニーマンは翻弄されていたのかもしれない。
バニーマンの中でも足の速さに定評のあった仲間は、タヌキのすなかけを顔面に食らい視界を奪われ弱点である耳元で大きな鳴き声を叫ばれ白目向いて倒れた。
大きな音に弱いバニーマン達はそれだけで萎縮してしまって仲間がやられたというのに怒りどころか怯んでしまい、タヌキを追いかけるスピードが遅くなり動きにキレが無かった。
しばらくすると憎きタヌキは俺達が洗い場として使っている渓流の川に逃げ込んだ。
そこには見知らぬ人間の女がいて、タヌキはその人間をかばうように俺達と対峙した。
俺はバニーマンを統率しているリーダーなので奴等を逃がさない為、取り囲むように指示を飛ばす。
人間の女はどうやらタヌキの飼い主なのかタヌキが近くにいても驚く事が無く、逆に俺達バニーマンを見て警戒をしているようにも見えた。 まぁ大勢のバニーマンに取り囲まれたらそうなるのは必然だな…俺達バニーマンは人間の女を犯して子孫を作る事も可能だからな
人間の女は華奢で身長は低く、殴られても痛くなさそうな細い腕をしていてまだ幼く見えるが、俺の直感では魔法を使う魔術師にも見えるのだ、明らかに魔法使いですよって衣装をしており、逃げ回るタヌキより警戒すべき相手だと俺は認識した。
魔法を撃たれる前に無力化する為、じりじりと詰め寄って距離を縮めていく。
流石に全方位から迫られると打つ手が無いのか奴等に動きは無い、こうなれば先手必勝だ。 一刻でも早く仲間を奪った敵を倒すため、俺はバニーマン達に突撃の合図を出す。
バニーマン達の全方位からの突撃は綺麗なまでに同時に行われていて、これまでにないくらい完璧な突撃だった。 しかし俺はその直後、突然現れた石の壁に仲間がぶつかっていき次々と壁に弾き返されるという光景を目の当たりにした。
先程の人間の女の仕業か!? やはり魔法使いで間違いなかったようだが、こんな魔法を使ってくるとは予想すら出来なかったのだ。
俺は慌てて仲間達の所に駆け寄ると、今度は石の壁が突然爆散するように弾けて俺や他のバニーマン達に石の塊や破片が襲った。
痛過ぎる…俺の腹部に当たった石の塊はこぶし大の大きさだったが、凄い勢いで硬い物が直撃したため鈍痛が長引き息が詰まった。
俺達バニーマンは戦って自らの血で体毛を染色した場合、負傷兵扱いとなる。
俺はまだ白銀の毛の持ち主で戦闘歴も長く身体も大きい事から群れの長として任されている。 バニーマンの風習として仲間の血で体毛を染色する事は禁忌となっており、破った者は巣から追い出されるか、殺される。
大体は追放処分となるのだが追放されたバニーマンは放浪の旅に出る。 しかしバニーマンという個体はゴブリン並に弱く他のモンスターに狩られるか、人間に狩られて戻って来ない事が多いのだ。
俺は自分の身体から出血していないかを確認する、まだ戦える。 負傷兵ではないようで安堵した。
しかし爆散した石の近くにいた熟練のバニーマン達は衝撃で出血を流して気を失っていたり、当たりどころが悪かったのか既に死んでいるバニーマンも存在し、俺は怒り狂い威嚇の為の咆哮をあげる。
「バァァァアアア~~~ニィィィイイイ!!!!」
仲間のバニーマン達が死傷している。
何も分からない状態でバニーマンに生まれた俺は、言葉は一切伝わらないが身振り手振りで色々な事を教わったり、叱ってくれたり、甘やかしてくれたり、愛情を注ぎ込んでくれたのに…
俺はそれら一切を恩返しする事も出来ないまま、このまま別れを迎えてしまうとでもいうのか!?
誰が悪い? 敵の戦力を見誤り、間違えた指示を出した俺か? いや違う…俺達の縄張りに侵入してきたこいつ等が悪いに決まってる。 何の為にここにやって来たのかは知らねぇが、俺達を害する者どもは何があっても許しはしない!
帰って来ない仲間がどこに連れ攫われたかも分からねぇ、こいつらが何者なのかも分からねぇ、勝てるかどうかも分からねぇが、俺は仲間達の仇を取る為に立ち向かう事にした。
戦闘は素人同然だが鋭い爪と前歯がある、刺し違えても俺はこいつ等を殺す為に全力を注ぎ込む。
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バニーマンがリフィン目掛けて飛び込んでくる、左腕でポコを抱いたままそのまま後方に下がりながら右手の杖でバニーマンを払おうとすると、バニーマンは杖を掴んで身を乗り出してリフィンに迫る。
リフィンは杖を手放して躱そうとするも、バニーマンの方が動きが速かったのかバニーマンの長い腕がリフィンの右腕を捕らえ、体勢を崩したリフィンは地面に押し倒される。 掴まれた腕にはバニーマンの鋭い爪が少し食い込んでおり、強く抑えられているせいか右腕は動かせなかった。
バニーマンは空いていた右手の爪でリフィンにトドメを刺そうと迫ったが、そう簡単にやられるリフィンではなかった。
「水の玉!」
質量のある水の塊がバニーマンの胴体を直撃する。 ポコを抱いていた左手からなんとか水魔法を繰り出すことに成功した。
水の勢いに耐えきれなかったバニーマンは後方に吹き飛ぶが体勢を持ち直すとすぐにまたリフィンに襲いかかる。
「バニガァァァアアア!!!」
「間に合え、冷却!」
「ガッ!?」
水の塊を全身に浴び、びしょ濡れの状態のバニーマンに凍らせる魔法を使う、濡れているところは凍ったが、完全に凍らす事は出来なく、身体の一部を凍らせられてしまったバニーマンはぎこちない動きを繰り返して凍った部分を振り払おうとしていた。
ゆっくりと立ち上がったリフィンは追撃をお見舞いしようともう一度バニーマンに向けて手の平を向けるとバニーマンの背後から背の高い人影が姿を現し、バニーマンの耳を強引に掴んで耳元でこう叫んだ。
「だぁ”ぁ”ぁ”あ”あ”あ”っ!!!」
耳元で大声を出されて白目向いて力なく倒れるバニーマンに、リフィンは驚いていた。 現れたのはグレンだったが予想外の方法でいとも簡単にバニーマンが倒されるとは思いもしなかったのである。
え、そんなので倒せるの!? と、
「リフ、バニーマンの効率的な倒し方を知らなかったのか?」
「…今のが?」
「だな、こいつらは大きな音に弱いから耳元で大声出せば失神するのは常識だ。」
「…初めて知った」
「まぁ冒険者なら常識だが、男を見るとすぐ身を隠すから出来る機会は無いに等しいがな」
「…じゃあ罠作って凍らせてたのも」
「ほぼ無意味だな、リフの策が案外強引で面白かったから乗ってやったまでだ。」
「…どっと疲れた」
今までの苦労はなんだったのか、無意味に魔力を消費していた自分が馬鹿らしくなってきて軽くため息を吐いたリフィンにグレンの肩に居たタキルが話しかけて来た。
『リフ、急に飛び出していくからびっくりしたぜ』
『ごめん、ポコが心配になったから』
『ポコがぐったりしているが…死んでないよな?』
『今は気を失っているだけ、結構無理して逃げていたようね』
『そうか、とりあえず無事で良かったぜ』
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倒れている30体近いバニーマンはほとんどがピンク色をしており、真っ白なバニーマンはリフィンを襲ったバニーマンだけだった。
拠点に戻り、先程グレンが失神させたバニーマンを縄で厳重に縛っておく、残りの魔力は少なく緊急時用に温存して置くためだ。
バニーマンの巣はタキルが場所を特定していた為グレンに伝えると、「残り後2匹か…今日は暴れ足りないから行ってくる」とグレンがソロでバニーマンを狩りに行った。 リフィンも同行すると申し出たが休んでおけと言われてしぶしぶ受け入れる事にした。
リフィンは晩ご飯を済ませて食後の時間を満喫しているとポコが意識を取り戻す。
『ん…あぇ?』
『お、ポコが起きたようだぞ』
『ポコ、具合はどう?』
『あ、リフちゃんさっ』
「バニィィッ!?」
ポコが起きたので具合を聞こうとしたのだが、バニーマンも意識を取り戻し、縄でぐるぐる巻きにされていてどういう状況なのか分からなかったのか、驚きの声をあげるバニーマンにリフィン達は一斉に顔を向ける。
『あ、あっちも起きた』
『どうしよ…もう魔力無いから凍らせられないんだけど』
『どうやって生け捕りしたのか教えて欲しいよウチは』
『もう一回大声出して失神させとくか?』
『え、そんなのでいいの?』
『…私の大声で失神させる自身ないし、流石に拘束しているとはいえあんなに暴れてたら近づけないよ』
『いや今更だろ…』
『分かっては居るけどね…』
「バニバニバニガァァアア!!!」
魔物とはいえこれからバニーマンに行う仕打ちを考えるとつい躊躇してしまうリフィン。
ポコとバニーマンは違うと何度も自分に言い聞かせるリフィンだったが、グレンに言われた通り甘い考え方をまだ持っているリフィンは手を下せないままでいた。
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身体の自由が効かねぇ…どこだここは、なっ! さっきの人間の女じゃねーか! くそっ、縄でキツメに縛られてるから身体が動かねぇ! おい人間! 俺をどうするつもりだ!?
…おい、ちょっと待てよ、そこら辺で吊るされている物体は…帰って来なかった俺の仲間じゃねーか!?
凍らせてやがる!? しかもよく見ると真っ白な奴だらけじゃねーか! 毛皮か? 俺達の毛皮が目的でこの渓流に足を運んだのか!? 昔こういうの読んだ事あるけど、こいつらは冒険者って奴だよな!? 喰われる為に殺されるならまだしも、毛皮の為だけに殺されるのは納得いかねぇ!
死んでたまるかよ! 殺されてたまるかよ! 毛皮にされてたまるかよ!
俺は元人間でこういう残酷な事には無縁だったのになんなんだよこの世界はよぉ!?
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酷く暴れるバニーマンにリフィンは葛藤を続けていた。
冒険者を目指した時の覚悟はバニーマン1体を倒せない程弱いモノだったのか。
ポコとバニーマンは違うとは一体何のことで、どうグレンに説明するのか。
自分は何故、躊躇しているのか。 人間の勝手な理由でこうなっているから?
今まで倒してきたゴブリンやインプ、オークは? 襲ってきたから?
バニーマンは何か悪い事した? 縄張り周辺で平和に暮らしていただけでは?
しばらくして、リフィンは1つの答えにたどり着く、それは不完全といえる答えでもあり、完全とも言える答えでもあった。
水魔法使い達を救う為にバニーマンを殺す必要があるのかどうか…
自分の目的の為にバニーマンを殺してどうなるのか…
リフィンは涙を浮かべて暴れるバニーマンの傍に寄った。
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おい、人間の女…なんで涙流しながら俺の首締めてるんだよ
おめぇはクソみてぇな世界で生きる冒険者で血も涙も無いクソったれな人間だろうが!
なんでおめぇみてぇな奴に殺されなきゃならねーんだよ…
タヌキは良くて…俺はダメなのか…?
意味わかんねーよ…
お前が泣いている意味がわかんねぇ、出来る事なら教えて欲しいんだが…無理か…無理だよな
綺麗な顔がぐずぐずにな…ってんぞ………鼻水まで、出しやが…って…
もし、次…また記憶を持ったまま、生まれ変わって、また会えたなら…
理由くらい…お…しえろ…よな…
つま…んねー理由だったら………マジで殺してやる……………覚えてろよ?
バニーマンはリフィンの手によって絞殺された。
リフィンはバニーマンの亡骸を押さえつけたままグレンが帰ってくるまで泣き叫んだ。
感想、評価おねがいします。
いつも殺される側を想像します。
皆さんはどちらですか?
養殖されてる動物とか、毛を毟られる動物とか、
される側ですかねー、する側ですかねー・・・
リフィンがポコとバニーマンは違うと認識するまでの過程が難しかったです。




