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(水)魔法使いなんですけど  作者: ふーさん
2章 進化する水魔法
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バニーマン強襲

バニーマン「ようやく出番か・・・待たせたな!」

 夕方になった。

あれからタキルとポコの活躍によりバニーマンを少しずつ誘き出し、同じ手段で仕留めて討伐したバニーマンは15匹でそのうち7匹は真っ白なバニーマンだった。

 夜になると大半のバニーマンが活動を開始する為、夜までには真っ白なバニーマンをあと3匹確保しておきたいリフィン達であったのだが…


「もう少しで10匹、夜になると危険だから次で最後にして残りは明日に持ち越しかな」

「そうだな、しかし今日を逃すと異変に気づいたバニーマンが単独行動をしなくなるかも知れん」

「たしかに…これだけ仲間が減ってたら流石に気が付くよね」


 リフィンは山積みされているバニーマンの山を見つめる。 そこには少しピンクに染まっているバニーマンの山があった。

 真っ白のバニーマンは倒したあと全身を氷漬けにしている、血液を凍らせて解体時に血液が毛皮に付着させない為である、念の為にピンクに染まってしまったバニーマンも1匹氷漬けにしており、それは解体時の検証用としておいてある。

 バニーマンは魔物とはいえ、ある程度の知性を持っていて集団で行動する生き物だ。 テリトリーを警戒していたバニーマン達が急に姿を消し帰ってこなくなるだけでも、昼間に巣で寝ていたバニーマン達は何か異変があったと理解する筈なのだ。


「タキル達が帰ってきたらピンクのバニーマンを処理してくる、留守は任せた」

「わかった」


 半日同じ作業をしていたらかなりの回数魔法を使用していた、水を出したり氷に変化させたりと、何度も魔法を使ったのであまり魔力が残っていないリフィンであった。 あと数回使えば魔力切れで倒れてしまうかもしれないと、自分でも自覚できるくらい疲労が溜まっているのかそろそろ切り上げたい頃合いだった。


 タキル達は今もバニーマンを(おび)き寄せる為に渓流の奥まで向かってもらっている最中で、グレンはピンクのバニーマンの血抜き作業をしていた。 リフィンは全身真っ白のバニーマンを凍らせたところなので、魔力回復を待つと同時にグレンの血抜き作業を眺めていた。


「グレンは慣れた手つきでやってるけど、凍った死体の解体作業とか出来るの?」

「流石に経験はないが、毛皮部分を凍らせて作業するのもありだろう、タヌキだったら綺麗に捌けると思うぞ?」

「ポコは捌いたら駄目!」

「バニーマンなら良いのか? 勝手にやってきて勝手に殺害し、食料として狩るのではなく、毛皮の服を作る為だけに俺達は(むご)たらしい死を振りまいた…こいつ等にとって俺達はただの殺戮者(さつりくしゃ)なんじゃないのか?」

「…それは」

「そんな甘い考え方するようなら冒険者辞めろ、食うか食われるかの世界で俺は今まで生きてきたんだからな」

「…」


 そう、リフィン達はバニーマンからしてみれば殺戮者のようなものなのだ。 タヌキというバニーマンにとって美味しい餌をちらつかせて誘い出し、着いた場所は処刑台という罠をセットされた死地…そしてリフィンという殺戮者に狩られるという事だ。 バニーマン側からしてみれば迷惑極まりないばかりである。

 バニーマンは良くてタキルやポコは駄目なんていうのはリフィンの我が侭であり、エゴだ。 偶然タキルやポコと仲間になって情が出たのかも知れないが、飢饉の時はペットとして飼っていたものを食べる事さえよく聞く言葉なのだ。

 そんな難しい事と捉えて深く考えているリフィンにグレンは「すまない、少し言い過ぎたな」と別の話をリフィンに吹っ掛けた。


「ポコの赤いスカーフと白いパンツ、あれが無ければ今頃誰かの胃の中だったかも知れんが、あれはリフが考えたのか?」

「…あれはタキルの案」

「ほぅ…どうやって会話しているのかは分からないが、少し知性を持ち合わせた動物のようだな」

「…そ、そうね、タキルは小さいから何も身に付けない方が良いと思うし、そのままにしてる」


 何気ない会話でさえも、リフィンやタキル達の事を詮索してくる鋭いグレンにリフィンは少し狼狽する。

 今の会話でタキルの事が少しバレてしまった、ポコが食料にされないようにスカーフを着ければという考えを持つ鳥なんて居ないに等しいのに、それをタキルの案だとついうっかり答えてしまった。

 そしてグレンはまた詮索をしてくるような発言をしてきた。


「ポコも結構珍しいタヌキだよな、普通のタヌキは臆病ですぐ逃げたり気絶したりするのに、インプと戦ったりバニーマンに追いかけられても平気そうなんだよな…」

「…そうね」


 これ以上は詮索されたくなかったので、下手な言葉を紡ぐ前に少しグレンから遠ざかることにした。




● ● ● ● ●




 タキルとポコはバニーマンの巣に近い、渓流の奥に足を伸ばしていた。

 川にいたバニーマンはほとんど誘き出してしまった。 残りはピンク色をしたバニーマンだらけだったが、先程様子を見に行ったらいつの間にか姿が消えていた。 真っ白のバニーマンを探し出す為に、バニーマンの巣と思われる上流にある岩場にタキルとポコは移動していた。


『バニーマン居ないねー、隠れちゃったかな?』

『そうだな…見つかっても厄介だし、少し慎重に移動するぞ』

『はーい』


 既に夕方になっており、西に見える夕日と雲で空が紅く染まっていた。

 バニーマンは夜行性で今日の活動はこれで最後だろうと、疲れた体に鞭打ってバニーマンを探して行くと、少し先に見える岩場周辺で白銀に輝く大きなバニーマンの姿をタキルは確認した。

 今まで誘き出したバニーマンよりも白く輝き、夕日に当てられて紅く見えるどころか、白い輝きを保ったまま腕を組んで佇むその姿はまさに強者の風格だった。


『ポコ、2時の方向に今までにないくらいの真っ白なバニーマンを発見!』

『でかしたー』

『しかもかなりデカいぞ!?』

『お、ボスって感じかな?』

『ちょっと近くに寄ってみて確認してくるわ』

『らじゃ!』


 タキルがそのバニーマンの周辺に他のバニーマンが居ないかを確認しに行く、ポコは下手に動くと見つかってしまう為にその場で止まりタキルが帰ってくるまで警戒を続ける。


 その数十秒後に群れで襲われる事になるとは、ポコはまだ思っても見なかったのである。


 タキルは夕日に照らされても白く輝く大きなバニーマンを上空から眺めていると、そのバニーマンのすぐ後ろには岩で出来た大きな穴があり、その穴の中に白い物体が動いているのを確認したので、あれがバニーマンの巣なのではと確信した。

 穴周辺には大きなバニーマン以外は何も確認出来なかったので、一旦ポコの所に戻ってあの大きなバニーマンに近づいてみる事にしてみる。


『ポコ、ここ周辺にバニーマンは居ないと思うから安全だ、例のアイツを誘き出すぞ!』

『おっけーい!』


 周囲を安全だと言われて少し気の抜けた返事をしたポコは、タキルに先導されてバニーマンに近づいて行く。

 やがてポコでもバニーマンが確認できる位置に到着すると、バニーマンもポコに気が付いたのだろうかギロっとポコを凝視するバニーマン。

 今までのバニーマンはポコを見るとすぐに襲いかかってきたのだが、このバニーマンはポコを睨みつけるだけで襲って来る事は無く警戒している。


『ありゃ? 襲ってこないね?』

『だな…あいつの後ろに巣があるからか?』

『うーん、どうしよう』

『とりあえずもう少し近づいてみるか?』

『だねー…ウチに怯えて動けないのかな?』

『それはないだろ、そうだったらとんでもないチキン野郎だぜ!』

『チキンはタキルでしょーが!』

『ウサギを数える時は1羽2羽だろ?』

『そういえばそうじゃん』




▲ ▲ ▲ ▲ ▲




 白銀に輝く大きなバニーマンが近づいてくるタヌキとその背に乗っている小鳥を警戒する。

こちらが警戒しているのは分かっているのだろうが、それでも近づいてくるタキル達にバニーマンは行動を取ることにした。

 スッと右腕をタヌキ達に向けて固まる、小鳥とタヌキはそれでも近づいてくる。

 バニーマンは疑った。 仲間が帰って来ないのはこいつ等と関係があるのではないかと…

 いつもは仲間同士で定時連絡的な行動を取るバニーマンなのだが、今日の朝から夕方までの間に連絡が途絶えている仲間が増え続けているのだ。 偶然にしてはおかしいと気が付いたバニーマン達は外に出ないように仲間に伝え、巣の周囲を見渡して見張りをしていたのだ。


 見張りをしてしばらくすると美味しそうなタヌキがやってきた。 普段であればタヌキを追いかけて食べるのであるが今は緊急事態でそれどころではない、しかしタヌキの方もこちらに気が付いているであろうが、逃げる素振り等無く、堂々と近寄ってきているのだ。


 悩んだバニーマンは、一度その場を離れてタヌキに近寄ってみる事にした。

バニーマンが一足駆けるとタヌキは背を見せて逃げ出して行く、どうやらただのマヌケなタヌキだったようでこちらに気が付いて居なかったのかも知れないと感じたバニーマンはすぐ、もと居た場所に戻る。

 しかしバニーマンがまた周囲を警戒していると、先程逃げたタヌキがまたこちらに向かって歩き出してきていた。




▲ ▲ ▲ ▲ ▲




『あれー、追いかけてきたのにすぐに戻っちゃったよ?』

『やっぱり変なバニーマンだな…もう一回やってみるか?』

『んー、了解』


 それから2回程追いかけてきてはすぐに、もと居た場所に帰って行くバニーマン

なぜ釣れないのか分からないまま、タキル達はもう一度近づいてみる事にした。




▲ ▲ ▲ ▲ ▲




 またやって来た…タヌキがこちらを釣るように行動しているのか?

 ありえない話ではあるがそういう事と捉えても何ら不思議ではない行動をしているタヌキにバニーマンはついに確信した。 仲間が帰って来ないのはこいつ等に釣られた為だという事を。


 許せはしない、仲間を襲った者はこの手で(ほふ)る。

 ようやく白銀から薄い桃色に毛が染まる事が出来るのだ。

 それは仲間を守ったという勲章にも等しく、一人前の証なのだ。

 たとえ違っていてもただの食材になってもらうだけの事だ。


「バァァァアアア~~~ニィィィイイイ!!!!」


 バニーマンは巣で待機している他のバニーマン達を呼び出す。 標的はタヌキ、小鳥は飛んで逃げられたら追えないのでスルー、仲間はタヌキに襲われた。 と仲間に伝え、バニーマンの中でも腕の立つ者を呼び出してタヌキに突撃させる。

 その数、およそ30体

 大量のバニーマンにびっくりしたのかタヌキは逃げ出した。 突撃させたバニーマン達は怒り狂ってタヌキを追って走っていく、見張りを続けていた大きなバニーマンもタヌキを追う事にした。




▲ ▲ ▲ ▲ ▲




『いやぁぁぁ!!!?』

『めっちゃ出て来たぁぁぁ!!!?』


 正確な数は分からないが見張りをしていたバニーマンが突然叫びだすと、その後ろから湧き出てくるように大量のバニーマンが出現し、いきなりポコに突撃してきた。

 恐怖によって急に寒気を感じその場から逃げ出すポコとタキル、タキルは最悪上空に逃げれば良いが、ポコはそういう訳にはいかないので回れ右をして必死に逃げるのであった。


『無理無理無理無理!』

『これリフのところに逃げてもやばくねーか!?』

『でもウチだけじゃどうにもならないよー!』

『まぁ…グレンが居るし?』

『それでも結構距離あるよぉお!!』

『頑張れポコ、オレは先にリフに伝えてくる!』

『卑怯者! 脱兎の如く逃げる事しか出来ないウチを見捨てるのかーっ!?』

『…追いかけてるのは(バニー)だけどな』

『知るかーっ!』

『んじゃ達者でな!』


 そう言ってタキルは上空に飛んで真っ先にリフィンに伝えに行った。 ポコは追いかけてくる大量のバニーマンに捕まらないように涙を流しながら逃げ続けた。

ブクマ、評価、感想をお願いします。


してくれた方には本当に感謝です。

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