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(水)魔法使いなんですけど  作者: ふーさん
2章 進化する水魔法
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釣れたのはオークでした

バニーマン「やっと俺たちの活躍が・・・ってなんでサブタイトルがオークなんだよ!?」

作者「ヒーローは遅れてやってくるものなんだぜ?」

バニーマン「なん・・・だと!?」



作者「実はこの作品、今日で丁度1周年になります。 まぁ約1年はプロットとか設定とか書いていたので全然お話進めていなかったのですが、1年前のあの頃を思い出すと何故だか不思議な気持ちでいっぱいです。 はい、言葉に表せません・・・はい」

 翌朝、昨日の疲れも少し癒え、朝食を取り早速バニーマン討伐に向けて準備を進めるリフィン達の姿があった。

 渓流の近くまでたどり着いたリフィン達は拠点を設営していた。 拠点から少し離れたところに1本だけ高くそびえ立つ巨木があり、リフィン達はその巨木周辺に小さな落とし穴を作っていた。


「完成だな」

「…うん、上手くいくかはやってみないと分からないけど」


 浅い落とし穴が完成した。 その落とし穴の底には水が入った大きめの鍋が入っている、至ってそれだけだ。

 上に網をかけて砂をまぶしてカモフラージュする事も無く、深くもなければ大きくもない、どこからどう見ても地面に鍋を()めて水を入れただけである。

 足で踏めば膝下まで埋まるだけですぐに抜け出せる事も容易、たいして何の役にも立たないのだが今回はそれを活かす方法でバニーマンを捕らえるのだ。


「タキル、ポコ、お願い」

「ピョルリ!」『任せておけ!』

「わふ!」『らじゃ!』


 まずはタキルに上空からバニーマンを探してもらう、発見したらポコが囮となって逃げてきて貰ってここで待ち伏せする算段だ。

 タキルとポコに声をかけると行動を開始して渓流の中に入っていった。


「考えたな、タキル達を使ってここまでバニーマンを誘き寄せるとは」

「…あの子達なら出来ると思うけど、無理そうなら帰ってくるように言ってある」


 グレンは現在、巨木の枝の上に登っており、ここまで来たバニーマンを上から強襲するために身を隠していたのだ。


「しかしかなりお前に懐いているな、躾は出来ているようだし知性を感じさせる動物達だ」

「まだ出逢って1週間も経っていないけど、私はタキルとポコに出逢えて良かったと今でも思う」

「そうか、良い仲間は大切にしてやれ」

「…うん」


 グレンの柔らかい言葉に、リフィンは少し動揺する。 普段とげのある言葉ばかり発していたグレンが仲間を思いやるような言葉を使ったからだ。

 あまり人との付き合いは無いグレンがタキルやポコを賞賛したのだ。 意外と動物は好きなのかも、とリフィンは心の中でそう決めつける事にした。




● ● ● ● ●




『大空って最高ーっ! いやーめっちゃ気持ちいいわ! いつかは空を飛びたいと思ってたけどそれが叶うなんてオレはマジで幸せだぜーっ!』


 リフィン達と別れ、タキルは渓流の上空からバニーマンが見渡せるように一気に上昇し高度を上げ、下を眺めながらゆっくりと滑空していた。 周辺に鷹や鷲が飛んでいないので気楽に大空を舞う事が出来、人生初の大空を飛ぶという体験、景色、感動を楽しんでいた。


『しっかしバニーマンって白色だろ? 全然そんなもの見えないんだよなー………ポコ、もう少し奥に入り込んでみるか?』


 地上を見下ろしても白い物体などは全く見えないのである。

 眺めても眺めても見えるのは緑色、生い茂る木々やコケが一面に広がっていて、辛うじてタキルを地上から追跡しているポコがチラチラと見えている程度であった。

 リフィン達の居る場所から少し離れるが渓流のもう少し奥に移動しようとポコに聞いてみたのだが、タキルの真下にいるポコから悲鳴とも言える念話がタキルに伝わってきた。


『ひぎゃあぁぁあああ!?』

『ど、どうしたポコ!?』

『大久保さんに見つかったぁぁぁああああ!!』


 タキルは真下に居るポコがリフィンの居る方角に向かって必死に逃げているのが確認できた。 無論それを追いかけるオークの姿も辛うじてだが確認できる、オークの皮膚の色が緑だったようで木々の葉っぱと保護色になっておりタキルには判別出来なかったようである。

 どうやらポコを食材として見ているのか、猛ダッシュで逃げるポコを大きな巨体が棍棒を持って振り回しながら追跡していた。


 ”オーク”

 イノシシと人間を掛け合わせたかのようなブタ顔と太った体型をしており、ゴブリン同様緑色の皮膚を持つが体格はそれに比べ巨体、雄の個体がほとんどであり異種交配が可能な魔物で危険度はランクDだ。

 数多くの女騎士を喰らい、時には喰われる事もあるが、多くの女性から嫌われている魔物で、嫌いな魔物トップ3に毎年ランクインする程にまで有名。

 彼らの肉は脂が乗っていて美味とされるが、性格は至って凶暴で残忍な殺戮を好む危険な戦士なので、女性がオークと遭遇したら即時撤退をおすすめする。

 逃げ切る事に成功すれば幸運が訪れるとも…逃げ切れればの話だが…


『マジかよ!? 大久保さんじゃねーか!?』

『いいから助けてよぉおお!?』


 ポコが必死に逃げているが、足の速さはあまり変わらないのか距離が開かない。

 逃げるポコには焦りが表われているが、オークは嬉しそうに食材を追いかけていてスタミナ切れを全く感じさせずまだまだ追いかけるのには余裕があるようだった。


『援護するからリフのところに逃げろ!』

『だずげでぇ”ぇ”ぇ”ぇ”! 怖いよぉおおぉぉおお!!』


 タキルはインプの時にも使った”敵の目の前をぐるぐる回る戦法”でオークを妨害する。

 しかし暴れ回るオークにはあまり有効ではなかったのかタキルには目もくれずにポコを追いかけ回していて、逆に危険と感じたタキルはオークから距離を取った。


『くそっ駄目だ、もう少しでリフと合流出来るからもうちょっと頑張って逃げろ!!』

『ん? バニーマン来た?』

『リフちゃんヤバいの来た! 大久保さんだよぉおお!!』

『誰それぇ!?』


 念話が伝わる範囲まで逃げれたのか、リフィンの念話が聞こえてきた。 しかしリフィンにとってはバニーマンではなく大久保さんがやってきているという情報に驚く。

 ポコが必死に走っていると、目の前にリフィンが見えてきて安堵するポコであったが、それが間違いであったとタキルとポコは思ってしまったのだ。


 女性の敵であるオークを、リフィンの目の前に連れてきてしまったという事を


『お、オーク!?』


 慌ててリフィンとは違う方向に逃げたポコであったが、リフィンというタヌキよりも美味そうな獲物を見つけてしまったのかそのままリフィンに向かって走り続けるオークは、真っ青な顔をしたリフィンを捕まえようと腕を伸ばす。


「っ!」

「ブフォォォォオボボボボボボ!?」


 咄嗟に姿勢を低くして捕まらないように(かわ)そうとしたリフィンだが、オークの頭上から落ちてきた赤い影がオークを取り押さえていた。

 どうやら木の上に隠れていたグレンがリフィンに迫るオークに強襲したようで、グレンはオークの頭部を掴んで落とし穴の中にある水の入った鍋に突っ込んでいた。 オークはもがき苦しんでいたようだが、グレンがそれを離さない。


「今だ!」

「うん! 冷却(フリーズ)!」


 リフィンは鍋の水に向かって冷却魔法を発動する。 鍋に頭を突っ込んだオークは凍っていく水から逃れる事が出来ず、終いには頭部と氷が合体してしまった。

それでも暴れるオークにグレンでも危険と感じたのか一旦距離を取る、しかし頭部全体に張り付いた氷を砕く事が出来なかったオークは酸欠状態となり動きがだんだんとゆっくりになっていき、数十秒後には窒息してしまったのかピクリとも動かなくなってしまった。


「とりあえず、傷つけずに討伐することは可能だな」

「…うん、まさかオークが来るとは思いもしなかったけど」


『うぇぇんリフちゃん怖かったよぉぉぉ!!』

『ポコ、あれは私でも怖い…』

『すまねぇポコ、上空からではオークの皮膚が保護色になってて発見出来なかったわ』

『うわぁぁぁぁぁぁぁん!!』


 リフィンに抱きつくポコと、そばに降り立つタキル。

リフィンはポコを慰めていると、リフィン達を見ていたグレンが感心したような表情で呟く。


「…動物に任せるとまるで魚釣りだな、何が釣れるか分からん」

「つ、次はちゃんとやるって言ってるから、ははは…」


 実はオークと遭遇して必死に逃げてきただけなんです、とグレンに伝えたかったポコだが、リフィンが苦笑いを抑えているのを目にし名誉挽回しようと心に誓うポコだった。


『タキル、バニーマンは見つかったの?』

『あーそれなんだが、白い生物は今のところ確認出来なかったぞ? もう少し進んでみようかと思ってるんだが?』

『うーん、わかった…川付近に居るかも知れないから、お願いしてもいい?』

『それは早めに言って欲しかったな、まぁ任せておけ…ポコは見つかるまで待機しておいてくれや』

『もう大久保さん嫌ぁ!』


『オークが1匹居れば周辺には100匹居る』と言い出すポコに、タキルは『ゴキカ○リかよ』とツっこむも、それを信じたリフィンの顔は青くなっていった。

 とりあえずタキルだけにバニーマン捜索をお願いして、リフィン達は無駄な体力を使わないように巨木付近でタキルの帰りを待つ事にした。

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