3月7日:ダイチ・アカツキ
ただいま!
ということで、一回停止していたブロックの作業も終わらせてきたよ。
やっぱり、回数を重ねるごとに作業時間は短縮されていくね。
このままいけば、1ブロック25日ぐらいにまで縮められるかも。
けれど、残念ながら、資源は見つからないね。
利用できる資源が見つからない、と言うべきなのかな。
一応、ボーリング作業の傍ら、探してはいるんだけれどね。でも、やっぱり見つからないし……見つかったとしても、安定していて、持ち帰ってエネルギーとして利用できるようなものは無い。そりゃ当たり前なんだけどさ。
……ということで、ブラン氏に報告がてら、僕とブラン氏とで暗い顔つき合わせて相談してたんだけどね、
最初に案が出ていた通り、セーラだけ、残すことになりそうだ。
本当だったら、皆で、と思うんだけれどね。
どうしても、作業のペースが速まらない。
これ以上はもう無理だ。物理的に仕方のない事だし、例え、僕が明日にでも全ての作業を終えたとして、それで地上に出られる訳じゃない。
僕が作業を終えて、自動化施設が動いて、動き続けて……それでようやく、だからね。
気の遠くなるような作業だよ。
それできっと、僕も居なくなる頃になってようやく、地上は蘇る。
放射線中和が一通り終わって、それでやっと、人が地上で生きられるようになる。目算だと……どうだろう。2桁にはならないな。一応、3桁前半年を目標にしているけれど。
……γやαの人はこのことについて知らされていない。
知ったら怒るだろうね。生き残れないって。
でも、それはβだって同じだ。僕らはラクリマのために死ぬんだ。みんなそうだ。地下都市に来た時から、ほとんど決まってた。
ただ……セーラを残すことは、βの、僕らのエゴだね。
多分、αやγの人達に、ラクリマ再生の計画の仔細を伝えることは無いだろう。
あったとしても、セーラの事は伝えないだろう。
僕は、ラクリマで人類が生きてきた証を消したくない。このラクリマを、死の星にはしたくない。
……けれど、セーラには酷い話だよな。それも分かってる。
全部任せて、勝手に死んでいく僕らを許してくれ、なんてとても言えないね。
でも、仕方ないね。セーラを残すことが一番合理的だし……。
うーん、すっかり暗くなっちゃったな。じゃあ、最後に明るい話題を1つ。
なんと、フナダとリュンヌさんが結婚することにしたらしい!
こんな地下だし、こんな時だからお祝いも碌にできないけれど、心から祝福するよ。
うん。精一杯、お祝いする!だから、次の遠出はフナダとリュンヌさんの結婚式の後にするよ。
さて、フナダに投げるパイの準備をしないと……材料はどうしよう?ボーキサイトとかでいいかな?