7月30日:ダイチ・アカツキ
ちょっと遠出していたものだから、前回の日記から大分間が空いてしまった。
セーラも寂しがっていたし、今後、できるだけ外出は避けたいのだけれど、そうもいかない。
困ったものだね。
さて、今日はたくさん書きたいことがあるから、前置きはこんなものにしよう。
まず、セーラについて。
彼女はすごい!本当にすごい!なんと、チェスをやるようになった!しかも、チハラに勝ってしまったんだ!
これはすごい事だよ。チェスについては、チハラがルールを教えただけらしい。つまり、戦略も何も教えずに、ってことだ。
なのにセーラは勝ってしまった!チハラは手を抜いて指していたから、って言い訳してもう一回勝負したのだけれど、二回目もセーラの勝ちだった!ちなみに三回目は僕がチハラとやったんだが、それは僕の完敗だった。ははは。僕よりセーラの方が優秀だね。
彼女の頭脳は素晴らしい。勝手に学習して、勝手に育っていく。彼女を見ているのは本当に楽しいよ。昨日できなかったことが今日できるようになっている。今日できなかったことも、明日にはできるようになっているかもしれない。
そして、今日のチェスみたいに……ある日突然、ぽんっ、とすごい事をやるんだ。これがたまらなく楽しい!
それから、次に、遠出について。
……こっちはあんまり芳しくない。どうしても、作業が捗らないね。
元々、期待薄だったけれどね。最初からかなりの長期戦を覚悟して挑んでいる訳だし……でも、それにしたって、やっぱり焦る。時間は無限じゃない。僕に残された時間だって、同じことだ。
次回からは作業用ロボットをもう数台、増やそう。あー、でもそのための資源は……。
……あー、やっぱりこの辺りはもう報告書に書いてるから、二回目を書くのは億劫だな。やめよう。
そうだな、じゃあ、楽しい事。
明日の祭の出し物について、ちょっとメモをまとめておこうかな。
まず、花火を思いついたんだよ。でも、ブラン氏に打診したら案の定却下されてしまった。資源不足だし、火を使うのはNG、だってさ。
だから、ガラスケーブルに光を通して花火を再現してみようと思うんだよ。
ホログラムやなんかと違って実にローテクなものだけれど、これなら資源不足でも十分に可能だし、このローテク具合がまたなんとも、『ノスタルジック』だと思う。多分。完成してみないと分からないけれど。
そしてこのガラスケーブル花火の一番の見どころは、エネルギーさ!
電力を無駄に使うのも多分ウケが悪いから、アナロジカルな方法で電気を生み出してやろうと思ってね。
そして丁度いい所に、γ地区の倉庫の整理が行われてね。壊れた足踏み発電機が資源に回されることになったのさ。
それを帰還してきた時、偶然もらい受けることができてね。修理したらとりあえず、使えるようになった。
……あとはこれを使って、セーラが頑張って発電する!
絶対にウケるね。間違いない。僕の分析は間違っていないはずだよ。
ああ、明日が楽しみだなあ。