9月6日:セーラ
初めて、博士の記録の翌日では無い日に日記を書きます。
現在、9月6日0時4分です。5分程度、間に合いませんでした。
イヌカイさんから頂いた資料を元に、コンパウンドティシューの成形を行いました。
数パターン作成したので、あとは実験の経過を見て最適化を行っていこうと思います。
以前、チハラさんは「案外適当でも大丈夫だ」と仰っておられましたが、イヌカイさんは「トレースした方が確実であると考えられる以上、極力精密に造形すべき」と仰っておられました。
私もイヌカイさんの意見に賛成です。
ですから、今回のコンパウンドティシューはフィボナッチ数列に基づいて精密に設計しました。
その内のいくつかにはカオス性を付与し、アシンメトリーにしたのですが、どちらが上手く行くかはまだ分かりません。
博士ならきっと後者だと仰るのでしょうね?或いは、前者も後者も変わらない、と予想されるのでしょうか。
コンパウンドティシューの成形終了を以て、シンセティックユテレッサー内殻はひとまず完成です。
外殻を作成次第、内殻と組み合わせて内殻内N.B.Lを注入、N.B.Lを60時間程度還流して状態が安定したらいよいよ稼働可能な状態になります。
……しかし、ウォーマナイザーの整備が先ですね。調製しなくては。
その点、液体輸送装置が一式が稼働可能なのはありがたい限りです。
調べてみたら、高速液体クロマトグラフという古い形式の検出に用いた装置なのだとか。アナロジカルですね。ノスタルジックとも言えるかもしれませんが。
ハイプレッシャーレンジも生きていますから、液体輸送については既存の装置を流用できそうです。調整にもそれほど時間を要さないでしょう。
全自動化を目指すのであれば、還流するN.B.Lを随時調製する機器を作成する必要があるのですが……恐らく、今の状態ではそれは叶いませんね。
仕方ありません。私が手動でその都度置換することになるでしょう。
9月5日に、γ地区を久しぶりに訪れました。つまり、『昨日』です。数分前までは『今日』だったのですが。
そこで資源を頂いてきたのですが、その中にタブレットメモリを再生できそうな機器が見つかりました。
一時期流行したらしい、クオーツ投影型ディスプレイの小型端末です。
……当然ですが、壊れていました。元々古いものですから仕方ありませんが。
しかも下手に小型化されているせいで、修復にとても時間がかかりそうです。
小型化されていると省資源で済む点はとても素晴らしいのですが、技術が必要になる点は今の状況下においてあまり喜ばしくありません。
ブラン氏の技術が私にもあれば、と思わざるを得ません。
今日はこれで。