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9月4日:ダイチ・アカツキ

 僕の研究は順調だ。

 この間の遠出で蘇らせた水の一部を持ち帰って、イヌカイさんに分析してもらった。

 大丈夫だってさ。ラクリマに移住してきた当初の水の状態と99.9%一致する、ってイヌカイさんのお墨付きが出たよ。やったね。残りの0.1%も、時間と共に戻っていくだろう、ってさ。まあ、その0.1%が結構長くかかりそうなんだけれど。

 ……まあ、少なくとも、これで水は大丈夫、ってことだ。

 つまり、次回以降もしばらくは水の増産だろうね。GOサインが出たんだ、躊躇することももう無い。


 ただ、次回の遠出まではもうちょっとかかりそうだな。今回の遠出、成果は存分に上がったんだけれど、どうにもコストが大きい。

 資源を持ち帰るレベルにまで研究が進めば話は変わってくるんだろうけれどね。今のところ、まだ持ち帰ってこられる資源は水が手一杯だ。

 ちなみに、持ち帰った水はチハラに持っていかれた。まあ、資源としての水には地下でもそんなに困っていないし、人間が水を飲むこと以上に有用な水の使い方なんて無いからね。

 チハラ曰く、美味かったらしいよ。『シャバの味がする』んだってさ。

 ……ちょっと、その言葉、僕は知らなかったんだけどね。意味としては、『解放感』に近いらしいよ。『シャバの味』。『シャバの味』。……よし、覚えた。

 チハラはあれでも結構、文学を嗜む奴だからね。そこのところが決定的に僕とは違う。

 彼女のそういうところは、素直に賞賛に値すると思うね。


 ちなみに、アカシヤは『とても透明な味』って感想をくれたよ。詩的だね。中々いい感性だと思うよ。

 けど……うん、まあ、水ってそんなもんだろ?

 逆に透明じゃない味の水って何だ?泥水?うーん、でもそれって、水の味、というよりは、コンタミネーションしているものの味のような気がするのだけれどなあ。

 僕の感性は今一つ、彼女達みたいに繊細じゃない所があるらしいからね。分からないのもしょうがないのかも。


 それから、ちょっと前に作った『足踏み式発電によるガラスファイバー花火オブジェ』。

 あれ、もう一回引っ張り出すことになった。

 今度、γ地区の子供達を集めてγ地区のパーティがあるんだけれど、その時、γ地区の子供達に見せてあげることになってね。

 セーラがお気に召しているみたいだけれど、1日だけ貸してもらおう。

 ……前回は足踏みしすぎて壊してしまったのだけれどね、今回はそんなヘマはしないとも。

 うん。少なくとも、酔っぱらったチハラには触らせない。うん。


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