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巻き込まれる二人

「それにしても、あいつら本当にどこ行ったんだ?」

「あの怪我ではそう遠くへはいけないはずですけど……」

 結局、最初にシャレにならない負傷をしているシンドーとアルトリウスを探すことになったベオウルフたちは、先ほどいた場所から十メートル以内をそれぞれ手分けして探すことになった。

 『この距離ならまだたがいに声は届くから、異常があれば大声を出して、すぐに助けを求めるよう。見つからなければ再び元の場所に戻っていろ。決して遠くへは行くなよ? 下手をするとガーディアンにかちあうかもしれんからな。そうなると現状のお前たちがソロで戦うのは厳しい』と真狩は言っていたため、まりなは周囲の状況把握に全神経を張り巡らせる。

 彼女の脳裏によぎっているのは、先ほどの板子童子との邂逅だ。

 自分を背中にかばい、人間を殺気だけで殺してしまう鬼の前に立ちはだかったベオウルフ。

 そんな彼の背中に後ろで、自分は震えることしかできていなかった。

 同じようにかばわれていた奏歌が、傍らで武器を展開しいつでも援護できるように構えていたにもかかわらずだ。

「……なんのために、私はこの一週間、厳しい訓練に参してきたんですか」

 そんな情けない自分の姿を思い出し、まりなは小さな声で自分を叱責する。

 どの訓練も結局、やりきったと言えるものは何一つないが、それでも少しでもベオウルフの迷惑にならないよう、頑張ったつもりだったのに……その結果があれでは、幾らなんでもお粗末すぎる。

――だからせめて索敵くらいは……。戦闘はベオウルフさんにお任せすることになるのですから、敵の接近くらいは察知しなければっ! と、まりなは内心で気合を入れつつ、キョロキョロとしゃちほこばった動作で、視界の効きにくい森の中、せわしなく視線を走らせる。

 だが、そんなまりなの内心などお見通しなのか、ベオウルフは苦笑いを浮かべて、

「おいおい」

「うにゃっ!?」

 カチコチに固まったまりなの背中をパンっ! と音が森に響き渡るほど強く叩き、体の固さを無理やりほぐす。

「な、なにするんですぅ!」

「そんなに固まっていたら不測の事態に苦労するぞ。緊張してないのは問題だが、緊張しすぎてもいいことはないぜ」

 俺がいるんだから、ちょっと気を抜きすぎくらいの方がちょうどいい。などと言いながら、本人自身も特に緊張を感じさせない自然体で森の中を突き進むベオウルフ。

 そんな彼の背中を追いながら、まりなはひりひりと痛む背中に触り、ほんの少し頬を膨らませた。

「もう、御役に立とうと頑張っているのに……」

「ばか、役に立つのは俺だ。お前は俺の主なんだからもっと堂々としてりゃいいんだよ。そういった態度だけは、シンドーの奴を見習うべきかもな。いや、あそこまで行き過ぎだとさすがに俺も困るが……」

 ほどほどだ。ほどほど。と、ベオウルフは言ってくれるのだが、

「……それじゃ、私はもらってばかりじゃないですか」

 まりなそのベオウルフの気づかいに、どこか不満げであった。

 世界に名だたる英雄。名前を知らないものの方が少ない伝説を残した目の前の英雄霊は、いつも自分を立てて守ってくれようとする。

――そんなベオウルフさんに、私はいったい何を返せているだろう? まりなは時々ふとそんなことを考えてしまうのだ。

 現界する魔力? それは必要経費と言っていいだろう。

 栄光? 自分には最も遠いものだ。

 楽しい時間? 無茶な訓練をして倒れてばかりいる自分の介抱をしてもらった記憶しかない……。

「私……本当にダメな主だ」

――なんでこんな私のところに、ベオウルフさんは来てくれたんだろう。

 うっそうと茂る木々が陽の光をさえぎる薄暗い森の闇が、まりなの心の中にまで浸食したかのように、まりなは一層落ち込み肩を落とす。

――あの時は勢いで断ってしまいましたけど、もしかしたらベオウルフさんはシンドーさんのところにいた方が、もっと活躍できたのかも。と、そんな考えまでまりなの脳裏に浮かび始めたときだった。

「おい、主? 何ボーっとしているんだよ?」

「え? あっ! す、スイマセン! 少し考え事をしていまして……」

「むぅ」

 どうやら考え事に集中しすぎていたらしく、まりなの歩調は乱れ、歩くのが遅くなっていたらしい。

 前を歩いていたベオウルフとの距離は少し開いてしまっており、あのままベオウルフが気づかずに進んでいたらはぐれていたかもしれない。そう思える程度の距離は開いていた。

「ここは戦場だってあの女軍人が言っていたろう? 俺はあんたの生命線である武装なんだから、あんまり離れるなよ?」

「そんな、武装だなんてっ! ベオウルフさんは私の大切な仲間ですっ!」

 どうしてそんなこと言うんですかっ! と、まりなはベオウルフの言葉に思わず大きな声を出してしまった。

 そのことを失態だと彼女が思った時には当然取り返しなどつくわけがなく、

「って、あっ! す、スイマセン……私なんかが生意気なこと言って」

 慌てて頭を下げるまりな。だが、そんなまりなにベオウルフは笑って、

「ほら、お前はやっぱり俺が選んだ主だよ」

「え?」

「いくら英雄の魂を持った亡霊だっつっても、俺達はシンドーが言うとおり、所詮は魔術師の魔力に頼らないとこの世にいられない儚い存在だ。道具扱いされても仕方ねぇ。寄生虫みたいな存在とまで言われる時もある。でもお前は違うだろう?」

「ベオウルフさん……」

「さっきみたいに仲間と言って大事にしてくれる。俺にとっちゃ、あんたが俺の主である理由はそれだけでいいし、あんたを守ってやりたいと思うし、あんたの力になりたいと思うんだ。だから、くだらないこと考えてないでアンタは俺の主だと胸を張って立ってりゃいいんだ」

 わかったか、ボンクラ主。と、ベオウルフはひらひらと手を振った後、また前を向き歩き始めた。

 そんな彼の背中をまりなは少しの間呆然と見つめた後、

「もう、幾らなんでもボンクラはひどいですよ!」

 小さく抗議の声を漏らしながら、顔にはうっすらと嬉しげな笑みを浮かべて、前の背中を追いかける。

 その歩みには、先ほどのような悩みは感じられない、迷いのない第一歩を踏み出しながら。

 だが、その第一歩が踏み出された時だった。まりなが通り過ぎた草むらが、がさりと音を立てて揺れたのは。

「え?」

――なに? と、まりなはその音に思わず振り返り、草むらの方を見て固まる。

 風が通り過ぎた音かとも思ったが、それにしてはあまりに音が大きすぎる。

 まるで草むらの中にいる生き物がうごめいたかのような音。

 ベオウルフもその音に気付いていたのか、いつのまにか引き抜いていたフルンティングを構えまりなの前へと進み出る。

「下がってろ主。あの大きさの草むらに隠れられるってことは大型じゃないだろうが……下手をしたら人間サイズはあるかもしれん」

「は、はい!」

 ベオウルフの忠言を、まりなは素直に聞き聖杖を構えながら一歩、二歩と草むらから離れる。同時に聖杖に魔力を込め自分が使える数少ない魔術――《付加(エンチャント)魔術》をいくつか発動できるように用意しておいた。

 味方を強化する魔術の中では基礎中の基礎といわれるこの魔術は、正直初等部で習う程度の簡単な魔術でしかないのだが、落ちこぼれのまりなはこれを発動するだけで精いっぱいだ。

――今度迷宮に潜る時はもうちょっとましな強化をしてあげられるようにしよう……。と内心で固く決意をしながら、マリナは目の前の草むらに集中する。

 そして、まりなたちの準備が整うと同時に草むらの中から飛び出してきたのは、

「だ、だずげでぐれぇ!」

「え!?」

「お前……シンドー!?」

 涙と鼻水で端正な顔をドロドロに汚した、行方知れずとなっていたシンドーだった。

              ◆         ◆

「どうしたんだ? ガーディアンとやらにでも襲われたか?」

 マリナにその場で待つよう指示を出しつつ、ベオウルフは草むらから飛び出してきたシンドーに駆け寄る。

 とりあえずまりなを背後に待機させたのは、シンドーが明らかに何かから逃げてきた様子であったからだ。

 近くにまだ、シンドーを追っているはずの何かがいるかもしれない。ガーディアンだとしたら知能は獣並みだそうだから、まりなとシンドーを一緒くたにして襲い掛かってくる可能性すらある。だからこそ、今まりなをターゲットになっているらしいシンドーに近づけるのは危険だと、ベオウルフは判断した。

 だが、

「が、ガーディアンじゃない!!」

「はぁ? じゃあ一体何に?」

「あ、あいつ(・・・)だ……あいつが僕を……裏切りやがったッ!」

「え?」

 その判断は間違いだった。

 シンドーの追跡者は、ガーディアンとは比べ物にならない、高度な知恵と、鋼の理性を持つ存在であった。

 得体のしれない悪寒がベオウルフの背筋を貫く。

 同時に、暴風と見紛わんばかりの暴力が、ベオウルフごとシンドーを薙ぎ払おうと襲い掛かってきたっ!

「っ! 血装の剣(フルンティング)っ!」

「ちっ。絶対勝利の剣(エクスカリバー)

 再びの邂逅。黄金の刃と、紅い刃が激突し火花を散らした。

 今回は運よくフルンティングはその斬撃に耐えきる。だが、

「ぐっ!?」

 その斬撃の隙間を縫うように放たれた具足の蹴りが、ベオウルフの体を痛打した。

「ひっ!?」

「くそがっ!」

 シンドーの隣にたたきつけられるように吹き飛んだベオウルフ。だが、彼も伊達に英雄霊になったわけではない。即座に両手を地面にたたきつけ、バク転する要領で衝撃を逃がしつつ飛び起き、二本の脚でしっかり大地に立つ。

 それを見た攻撃者――アルトリウスはさらにひとつ舌打ちをもらし、

「動くな。そいつを渡してもらう。ベオウルフ」

「べ……ベオ、ウルフさん!」

「主っ!? てめぇ……アルトリウスっ!! 何のつもりだっ!!」

 ベオウルフを蹴り飛ばした勢いで後方に下がったアルトリウスは、背後にいたまりなを素早く確保。彼女の首に籠手に守られた腕をまわしながら、その首をへし折らんと言わんばかりに締め上げる。

 明らかな人質。聖剣王と謳われ、公明正大と謳われたアルトリウスにしてはありえないその行動に、ベオウルフは困惑を覚えつつも、それ以上の怒りがこもった声を放った。

「何のつもりだ? それはこちらの台詞だ、ベオウルフ。何の疑問をはさむ余地がある。俺の用があるのはそいつだけだ。そいつさえ大人しく渡すのであれば、お前の主は五体満足で返してやる。そう言っているんだよ?」

「そんな上から目線の提案聴けるわけがないだろうが! 第一シンドーの様子もおかしい。てめぇ、いったいコイツに何をするつもりだっ!!」

「そ、そいつは僕を殺す気なんだっ!! いや、僕をおとりに使って、僕の兄にまで手をかけるつもりだ!! だ、だから助けてくれよベオウルフっ!! おまえ、英雄なんだろっ!! 困っているやつは助けないといけないんだろっ!」

「貴様……どの口でそのようなことをっ!!」

「ひぃっ!?」

 シンドーのその言葉を聞いたアルトリウスは、凄まじい剣幕で声を荒げた。それを聞いたシンドーは鼻水を垂れ流しながら後ずさり、

「うっ!!」

「おいアルトリウスっ! お前少し落ち着いたらどうだ? それ以上主を苦しめるようなら、刺し違えてでもいまここでお前を殺すぞ!!」

「っ!!」

 まりなの拘束を思わず強めてしまった。それによってうめき声をあげるまりなに、ベオウルフの額に青筋が浮かび上がり、体からは殺気が立ち上った。

 それを感じたアルトリウスは、ここで揉めるのは得策ではないと判断したのか、忌々しげにしながらも、ひとまずまりなの首の拘束を緩めた。

「わかっただろうベオウルフ。とにかくそいつをさっさと渡せっ!! 渡さないようなら、お前の主をここで殺す。そうすれば主からの魔力を受けられず、お前は現界を維持できまい。そうすれば、俺の邪魔をすることもないだろう?」

「てめぇ……」

「さぁ早く選べ、ベオウルフ。俺とて無駄な殺生はしたくない。だがあまり時間をかけるようなら、手段を選んでやることもできないぞ?」

「べ、ベオウルフさん……」

 苦しげにうめくまりなを見て、思わず歯ぎしりをするベオウルフ。だが、ベオウルフはまりなが苦しげにつぶやいた中から、しっかりと主の命令をくみ取ってしまっていた。

 こんな状況の中でも、殺されるといわれたシンドーに対する気遣いが見え隠れする主の声を。

 そうなってしまった以上、もはやベオウルフに選択肢はない。

 なにより、

「ごめんだね、アルトリウス」

「なに?」

 今のベオウルフにとって、目の前の英雄は鬱陶しいシンドーよりも信用できなかった。

「それだけの殺気垂れ流して、シンドーを渡せば見逃してやるだぁ? 嘘つくならもうちょっと演技の勉強してから来いよ。おまけにシンドーに聞いた限りじゃ、お前はシンドーだけじゃなくてシンドーの兄にまで手を出そうっていうんだろ? そんな奴がその兄に危険を知らせる可能性がある目撃者を、黙って見逃すとは考えがたいがねぇ?」

「……」

「それにまぁ、なんだ。うちの主も同級生をこのまま見殺しにするのはしのびねぇと言っている。悪いが交渉は決裂だよ」

「……お前はもっと賢い奴だと思っていたよ」

 ベオウルフの答えを聞いた瞬間、アルトリウスはためらうことなく、まりなの首に巻きつけた腕に力を込めた。

 しかし、ベオウルフもそれを黙って見ているような大人しい男ではない。

「砕けろ、フルンティング。お前じゃ力不足だ」

 右手で握ったフルンティングを、有り余る腕力で地面にたたきつけその刀身をへし折り、

「そしてあらわれろ、|巨人が作り成した古のアールド・スウェード・エオティニスク!!」

 第二の英雄器を左手に召喚する。

 それは、アルトリウスが持つエクスカリバーと同じ両手剣ではったが、その巨大はさ規格外。

 刀身は優に3メートルはあり、出現したと同時にシンドーの喉元に刃先が添えられてしまうほどの長さがあった。

「っ!?」

「ぐっ!?」

 同時に、それを見たアルトリウスの絞殺行動も一瞬止まる。

 ベオウルフはそれを見てにやりと笑い、ゆっくりとシンドーの喉元に添えられた巨剣を動かしていく。

「これで俺達は五分の状況だ。お前はシンドーだけではなくシンドーの兄を殺すためにまだ生きないといけない。そのためには、お前の現界を維持するために魔力供給を行っているコイツを見捨てることはできない。じゃないとわざわざこいつを生かせて捕えようとする理由がないわけだしな」

「貴様……人質など、恥ずかしくないのか!!」

「それいまのお前が言うのか……」

 アルトリウスからぶつけられた抗議の声に、思わず半眼になりながらベオウルフは続けた。

「だが俺もうちの主に余計な傷はつけたくない。ましてや殺すなんて許すわけにはいかねぇ。そこでだ、アルトリウス、仕切り直しと行こうぜ?」

「なに?」

「一対一で勝負してやるよ。それにお前が勝ったらおれはシンドーを大人しく渡して、主ともども死の旅路へつこう。そしてもし俺が勝ったら、五体満足な状態でうちの主を返してもらい、シンドーのことも諦めろ」

「ふん。この我との決闘を所望すると?」

「まさか、騎士の中の騎士と謳われたあんたが……逃げたりなんてしないよな?」

 不敵な笑みを顔に張り付けながら、精一杯の虚勢をかき集めベオウルフはアルトリウスを挑発する。

 現状、シンドーの安全を確保しつつ主の危機を脱するにはこの手しかなかったとはいえ、このままアルトリウスがまりなの首をへし折る可能性が無きにしも非ずなのだ。流石のベオウルフも緊張せずにはいられなかった。

 そして、アルトリウスの返答は、

「ちっ。いいだろう。我の大本命もそいつのような小童ではなく、あの元凶たる発狂者であるしな。ここで魔力供給減を失うのは惜しい。貴様の口車に乗ってやるぞ、辣腕王」

「……そうかい」

――ひとまず第一関門は突破か。と、ほっと安堵の息をつくベオウルフ。だが、

「ならば、この森を出たところに広い草原がある。ともに決闘の場に赴く際、背中から貴様に切り付けられても締まらんしな……。我は一足先にそこへ行く。貴様はせいぜいこの俺に勝つ手段を考えながら、その屑を連れてくるがいい」

 アルトリウスはそう言い捨てると、首をへし折らんとしていたまりなを解放し、その首筋に手刀を叩き込んだ。

「主っ!」

 それによってあっという間に意識を失ってしまうまりな。その姿を見てベオウルフは思わず声を荒げるが、アルトリウスにとっては雑音と変わらないのか、特に何の反応も見せないまま崩れ落ちるまりなを抱きとめ、肩に担いだ。

「なんなら助っ人もつれてきていいが、その時は我が地面に転がす死体が増えるだけだということを……覚えておけよ?」

 最後にそんな言葉を言い残すとともに、莫大な魔力を使った身体強化を発動したアルトリウスは、脚力だけでまるでロケットのように森の上へと跳躍。そのまま弾道を描きながら、森の外へと飛んで行った。

 ベオウルフはそれを確認した後、自分に繋がっているまりなとの魔力パスを確認。問題なくそれが稼働しているのを確かめ、アルトリウスが交渉を素直に聞き、ひとまずまりなを殺すことはしないだろうと安堵する。

 そして、

「い、いったのか? あいつは?」

「あぁ……」

「は、はははは! なんだあいつ! ベオウルフなんて奴に恐れをなしたのか? あいつも案外たいしたことな……」

 脅威がなくなった途端饒舌になるシンドーの姿に、ベオウルフは思わず嘆息した。つくづくどうしようもない奴だ。と言う気持ちが、その嘆息には含まれていた。

 そして、

「おいシンドー」

「はい?」

 まだ勘違いしているらしいシンドーに、ベオウルフはにっこり笑いかけ、

「何があったかキリキリ話せ。場合によっちゃ俺の主を巻き込んだ落とし前を、テメェの体で払ってもらうことになるぜ?」

「……………………」

 いまだに自分の首に突き付けられたまま動かない巨人の剣の輝きに、シンドーは思わずつばを飲み込む。自分がいまだに危機的状況にあるという事実を、シンドーはようやく正しく認識したらしかった。

 当然、彼に沈黙という選択肢など……なかった。

遅くなってスイマセンT―T

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