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硝煙と黒猫  作者: 黒雪姫
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策略渦巻く最上階

黒瑠が最上階まで上がると、そこに待ち構えていたのはコーマックただ一人だった。

椅子に座って、片手をパソコンの方に置いている。

「非戦闘員一人だけ?随分と華のない歓迎じゃないか」

「あいにく人手不足でねー」

こちらには来た意味が無いようだ。

しかし、黒瑠は違和感を覚えた。

上階にいる戦闘員が少なすぎる。

黒瑠が戦ったのは、ゼノヴィアだけだ。

そして、ここに戦闘員は見たところいない。

殺気も気配も全くない。

気配を隠しているのだとしたら、そうとうな技術だ。

自分の首がいつ切られるかもわからない状況での、コーマックのこの余裕。

何か、ある。

カチ

僅かに聞こえたのは、そんなキーボードのクリック音。

ヒュンッと風切り音がして、咄嗟に後ろに跳んだ黒瑠の鼻先僅か数ミリを通過したのは、磨き上げられた剣。

刃の部分には大きな人と泉が描かれている。

柄の部分には赤く光る宝石のようなものが見えた。

それを扱うのは、少女。

透き通って今にも消えてしまいそうな、儚い印象を黒瑠は持った。

人工の光を受けて輝くサイドだけを伸ばした特徴的な銀髪。

琥珀色(アンバー)の瞳。

上は白と青の水兵服、下は白のミニスカートを着ており、日本のセーラー服を連想させた。

「第一撃、回避。パターンを分析。…攻撃を続けます」

機械のように淡々とそれらの言葉を言うと、少女は剣を構えた。

「人間をベースに作った自信作ぅー…黒瑠を捕らえろ、M-SNOWY」

少女、M-SNOWYは感情のない瞳に黒瑠を映す。

「命令を受理」

来る、と身構えた瞬間には遅く、M-SNOWYは既に黒瑠の眼前に迫っていた。

後ろに跳んでも回避しきれない。

咄嗟にそう判断すると、正確に首を落とそうと横から迫ってくる剣を、しゃがんで避けた。

そして肌の露出した足を薙刀で思い切り叩く。

ガキィィイン

あり得ないような音が鳴った。

結果として足払いにはなり、僅かによろけさせることは出来たが隙を作るには至らなかった。

見た目は普通の人間の足…否、少しだけ違和感がある。

そこで黒瑠は舌打ちをした。

「いくら人間ベースでも、機械は機械ってことか…!ほんっと、こういうの嫌になるんだけど。製作者の悪意が見えるようだよ」

笑ってみせるが、その顔からは緊迫感がどうも抜けない。

「義肢になっててねー。人間の骨とダイヤモンドを混ぜて加工してある。リアリティあるでしょー?…言ったよね、自信作ぅーって」

「相変わらずエグいことするねえ」

軽口を叩きながら次の策、次の策を練っていく。

対抗策が思いつかない。

舌打ちしたくなったが、それではこちらが追い詰められていることを明かしているようなものだ。

余裕の表情を崩さずに振る舞う。

「このお人形さんのやけに整った容姿は君の趣味?だとしたら相当変態だね」

少しでも情報を得るため、黒瑠は戦いの合間を縫ってコーマックに話しかける。

「変態じゃないしー!ブスより綺麗な方がいいでしょー?性能は変わらないんだし」

「性能、ね」

改めてM-SNOWYを見る。

剣に描かれた絵が、頭にひっかかる。

黒瑠は必死に記憶を手繰り寄せて思い出そうとした。

「なんだったっけな」

黒瑠にしては珍しく、少し困ったような声で呟いた。

「君じゃこの子に傷一つつけらんないよー」

コーマックは心底愉快そうに笑っている。


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