35話
あまり大量に釣って、燐粉にまかれるのも困るので、三匹ずつゆっくりと退治していく。
困った事にドロップした糸玉は燐粉で溶けてしまう。
ドロップした糸玉を手に取ると、いくつかが「溶けた糸玉」に成っていた。
「確か、蚕は蛹から蛾に成ると唾液で糸玉を溶かして出るんだったか」
リポップ前に回収しないとシルクが駄目に成ってしまうらしい。
実に採算性の悪い話だ。
ドロップするのは拳大の糸玉なので、かなりの糸が紡げるはずだが地味に手間が掛かる。
「まあ、面倒はコバルトも大概面倒だが」
小さく苦笑しながら糸玉を回収してポイズンモスのリポップを待つ。
このまま夕方までポイズンモスを倒し続けて行く。
木々の木洩れ日が弱くなった所で引き上げる事にする。
狩りの間に2回Lvが上昇した事を知らせるアラームが鳴ったので、歩きながらステータスとアイテムの確認をする。
守宮龍人
人族
凶戦士
LV25
HP210/340
MP300/320
筋力92
体力92
俊敏56
知力31
幸運31
溶けた糸玉×18、シルクの糸玉×114。
回収が間に合わずに溶けた糸玉も幾らか出てしまった。
銀貨が396枚、厄介さに見合った額だろう。
さて、シルクの糸玉で売るのと、
糸巻きにしてから売るのとどの位価格差が出るのだろう?
糸玉からシルクの糸巻き何個作れるかと、糸巻きが幾らなのかを調べるとしよう。
片手間で販売価格が倍になったら目も当てられない。
何か手を考え無ければ。
空が赤く暮れて行くのを見ながら街に戻る。
日本の夕暮れと言うか、この視界では情緒も無いオレンジとダークブルーにしか見えない。
「視界さえ普通ならな…、いや、こんな世界に居て普通も何も無いか……」
景色が楽しめない、他人の表情が分からない、当たり前が当たり前じゃない世界はやはり居心地が悪い。
シミジミと呟いた。
でも、ドット絵。




