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33話

かなり時間が掛かってしまいましたが、

まだまだ続きます。

これからもよろしくお願いいたします。

 腕の中で何かが動く気配で目を覚ました。


 どうやらアンが動いたらしい。


 温かい体温を感じて身体が完全に目覚める。


 寝返りをうってアンがこちらを向いたのが呼吸音で分かる。


 部屋は真っ暗だが、窓枠から微かに明かりが入っている。


「おはよう」


 起きてるのが分かっているアンに声を掛ける。


「おはようございます、リュート様」


 何気無くアンの頭を撫でながら尋ねる。


「寝れたか?」


 腕枕されながらイビキをされては寝るに寝れない気がした。


「はい、グッスリと。その……沢山可愛がって頂いたので。あのリュート様、当たってます」


 その後少しだけ可愛がってから身仕度を整えて娼館を出る。



 先ず、解毒のポーションを買い込んで、回復のポーションも買い足す。


 以前の蜂の毒は受けずに済んだが、今回は鱗粉だ。


 吸い込まない様にマスクか何かが必要だろう。


 雑貨屋に入り綿の布切れを数枚購入した。


「後は何が要るかな?毒は鱗粉だって話だから、洗い流す水か。」


 革の水筒を二つ買い足す。


 一旦広場に戻って水筒を満たしてから狩りに向かう。


 道すがら出会うモンスターを倒しながらターゲットのモンスターを探す。


「切っ先が拳一つ分短くてやりにくいな……」


 短い分、剣速は上がったが、間合いの違いが地味に影響する。


 半歩、より踏み込まなければ有効打に成りにくい。


 つまりは最適化した動きの再構築が求められる訳だ。


 失敗した。


 早まった。


 ダマスカス鋼に冷静さを無くしていた。


「……うん、帰ろう、無理するだけ意味がない」


 今考えるのは「生き残る為の選択」だ。


 踵を返すと街に一直線に戻った。



 街に戻って真っ直ぐに武器屋に飛び込み。


「店主は居るか?」


 扉を開けながら店主を呼ぶ。


 都合良くカウンターに店主が居たらしい。


「なんだ?まさかいきなり折れたなんて言わないよな?」


「折れちゃ居ないが、死活問題だ。昨日下取りに出した剣は有るか?」


「有るには有るが、なんなんだ?」


 苛立たしげに問い返して来る店主に答える。


「切っ先拳一つの違いがデカ過ぎた。


 慣れる前に死にそうだ」


「違和感の無い武器更新なんて無いぞ」


 呆れた様な声に反論する。


「違和感が重さなら良い、間合いの違いは致命的なんだ、俺には」


 遠近感に自信が持てない俺には見過ごせない誤差で違和感だ。


「で、武器を前に戻してどうするんだ?」


 不機嫌そうな店主が言葉を流して言い募る。


「ダマスカス鋼の片手半剣を注文したい」


 噛み合ってる様で噛み合って無い返事をしてカウンターに腰から外した剣を置く。


「モンスター、何匹切った?」


 鞘から剣を抜きながら訊ねてくる。


「ゴブリン3とコボルト1だ」


「骨傷すら付いてねえ、歪みもねえな…」


「ダマスカス鋼で片手半剣を注文して、どれだけ懸かる?」


 少し考えてか間が空いてから答えが返ってくる。


「最短で3日位か、細かい注文さえしなければな」


「それで頼む、こっちは下取りで」


「分かった、半額の銀貨16枚だ、依頼は前金で39枚だな」


「ん?50枚じゃ無かったか?」


「お前が値切り倒したんだろうが!!」


「でも定価は50枚だろ?」


 若干苛め過ぎたかな?と思いつつ突っ込んでみる。


「勘弁してくれ…」


 店主に泣きが入った、やり過ぎたか。


「俺が悪かった、17枚で良い」


「……引きつつ捩じ込んで来やがる…お前もうハンター辞めて商人に成りやがれ……」


 品物の質を確認出来ない俺には無理な話だが、実際顔料で稼いでるのは事実だ。


 ある程度プール出来たら赤硝子も着手したい。


 恐らく硝子工房では俺が持ち込むコバルトを銀か鉄だと判断して試しているはずだ。


 コバルトは元々銀と混同されていたから、まだ大丈夫だろうが。


 赤硝子の顔料は黄金だ。


 流石に一目でバレるだろう。


 となると先に赤硝子の塊を造る以外に情報遮断する術が無い。


 硝子工房を個人で抱えて出せる利益は計り知れないが、一人で出来る範囲だとそこまででも無いだろう。


 暫く青硝子で硝子工房が潤ってから製法を売るのが間違いが無いだろう。


 兎に角今は剣の話だと頭を切り替えて銀貨を並べる。


 下取りに出した剣は下取り価格に銀貨1枚上乗せ、ダマスカス鋼の片手半剣の前金に22枚をカウンターに置く。


「はぁ……ほらよ」


 盛大に溜め息を吐いて店主は下取りに出した剣を差し出す。


 剣を受け取って店を出る。


 多分今頃憎々しく俺を見送ってるだろう。


 小さく笑いながら思う。


 でも、ドット絵!!

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