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31話

大分時間が掛かってしまいました。

申し訳ありませんでした。


「大丈夫か?」


 取り合えず話し掛けてみる。


 4人でコボルトの群れに圧されるって事はレベルも十代前半位か?


「はい、倒れた仲間も間に合いました」


 うん、誰が喋ってるか判らない。


「間に合ったなら良かった」


 全身から血の臭いがするし、ベタベタと気持ちが悪い。


 顔の左辺りがジリジリと傷む。


 多少はダメージを受けたらしい。



 腰に括り付けた皮の水筒をひっくり返して頭から被る。


 返り血を洗い流して手拭いで顔や手を拭く。


 うん、サッパリした。


 さて、コボルトを大量に倒したが、ドロップの扱いはどうしたものか。


「さて、ドロップなのだが、俺が倒した奴は貰うが構わないか?」


「あ、いや命の恩人だし、俺達が倒したのも譲る、安いコボルトのドロップで申し訳無いが……」


 あ、コバルトは安いドロップ扱いだったか。


 むしろ俺には有難い申し出だ。


「そうか、なら有り難く受けよう、済まないが集めるのを手伝ってくれるか?」


 あれ? コバルトが売れたら金貨に届くんじゃないか?


 うん、なかなかホクホクだ。悪くない。


 受け取ったドロップは銀貨72枚とコバルトが57個、十分な数だ。


 所持金が金貨1枚銀貨66枚77枚に成った。


 やはり銀貨100枚で金貨1枚らしい。


 コバルト顔料も二袋作れる量が確保出来たのは有難い。


 如何せん、モンスターを大量に狩るのは地味に面倒だ。


 数を集めるもしくは、数をこなすのは時間が掛かるからだ。


 さて、街に戻ってコバルト粉を作って売りに行こう。


 ドロップを受け取るとさっさと街に向かって歩き出す。


 と後ろから声を掛けられた。


 繰り返しの礼と名前を聞かれた。


「リュート、ソロだ」


 向こうが恩義を感じてくれるならワザワザ拒否する意味はない。


 ましてや根無し草の異邦人の俺はどこで困るか分からない。



 道々エンカウントするモンスターを倒しながら街に戻ってきた。


 街の広場で道具を広げてコバルトを砕いていく。


 一袋50個のコバルトを粉にして、出来た二袋を荷物袋に入れて、ガラス工房に向かう。


 ガラス工房では新しい青ガラスの商品が飛ぶ様に売れるらしく、


 コバルトの値段を上げる変わりにもっと沢山届ける様に依頼される。


 結局一袋45枚で、二袋を売った。


 次いでネイルボアの肉や毛皮をそれぞれ肉屋と防具屋に売り払う。


 所持金は金貨2枚と銀貨56枚に成った。


 今日のノルマのネイルボア退治は完了したから、次のモンスター情報と武器更新の下調べに武器屋に向かう。



 武器屋に入って店番の男に声を掛ける。


「武器のメンテナンスと、そろそろ武器の更新を考えてるんだが」


 腰から片手半剣を鞘ごと抜いてカウンターに置く。


「いらっしゃいませ、砥と新しい武器ですね?


 親方を呼びますので少しお待ちください」


 そう言うと店員は剣を持って奥に消える。


 少しすると店主が奥から現れる。


「大分飛ばしてるみてえだな、剣の磨耗具合が早すぎるぜ」


 ドット絵にしか見えないから分からなかっただけで、


 刃毀れしていたらしい。


 自分で確かめるには刃に指を当ててなぞるしか無い。


 うん、指が切れそうだ、二日に一回は砥に来よう。


「そろそろ武器の更新を考えてるんだが、ネイルボアの次は何が良いだろう?」


 少し間を置いて店主が答えた。


「ネイルボアの次ならポイズンモスだな、鱗粉が毒って厄介な蛾だ」


 ふむ、状態異常系モンスターか、毒耐性のアイテムとか有るのかな?


「必須アイテムは何か有るか?それと今の剣より強い武器が欲しい」


「ポイズンモスの毒を防ぐアイテムは無い、毒消し位だな。


 次はダマスカス鋼の武器だがお前さんの好みの片手半剣は無いぞ、有るのは細身のロングソードだな」


 ロングソード、刃渡り1m身幅は10~15cmの直剣。


 叩き付ける様に切り付ける、西洋剣の定番中の定番。


 ダマスカス綱、木目調の鋼やクロム綱が折り重なる合金と複合材の中間的金属と言われている。


 残念ながら現代では製法が逸失してしまい再現不可能な金属だ。


 木目調の金属と言う不思議な金属の為に憧れる人間の多い代物だ。


 靭性と耐久性は鋼より上と言う性能を誇る。


 確かにこれなら今までより楽な戦いが出来るかも知れない。


 鋭さも硬さも上がる。


「いくらだ?」


「銀貨50枚だな」


 少し高い気がする。


 現代では手に入らない代物だが、


 こっちでは現役だとしたら付加価値は特にない筈だ。


「こいつの下取り込みで35枚」


「刃溢れした剣だぞ?」


「あんたが研いだ代物だ、それとも問題有るのか?」


 ギリッと何か音がしたが気にせず銀貨35枚をカウンターに置いて剣を受け取る。


 しかし、値切り交渉のあしらいの下手な店主だ。


 これからも通う事にしよう。


「ついでだから、バックラーも新調するか」


 その足で防具屋に向かう。



「バックラーを新調したいんだが、何か有るだろうか?」


 店内の店員に声を掛ける。


 何種類か試して、表面に革内側の木を硬い素材で作った物にした。


「しかし、随分軽いな?」


「はい、これは乾燥させると加工も満足に出来ない木を使ってますから」


「乾燥させる前に加工するのか?」


 何の木だか気になるので聞いたが知れないらしい。


「伐採したら水に浸けておかないと鋸の刃が入らないって話です」


「それは暖かい所の木じゃないか?」


「はい、暖かい、海辺でしか自生しないらしいです」


 うん、マングローブか? だがそこまで固い木でも無かった気がするが。


 この世界、地球じゃないのか?本当は?


 そんな事を考えながら店を出る。


 今日はダマスカス鋼の武器を手に入れた。


 軽くて頑丈な盾も手に入った。


 大体の所は満足だ。


 残念ながらダマスカスの木目は俺には見えないが。


 凄く悔しい、複製じゃないダマスカス鋼の武器なんて博物館物だ。


 だから俺は怒りを込めて言う。


 でも、ドット絵!

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