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23話

遅くなりました。

申し訳無い。

では、どうぞ。

「暫くはコバルトを集めてから、適正レベルのモンスターだな」


 一ヶ月もすれば目利きの商人から接触が有るだろう。


 赤い色ガラスの製法は暫く先の話だ。


 貴族階級かそれに似た富裕層が食い付いくまで切れない札だ。


 透明なガラスが流通し始めた時代で助かった。


 手間を考えたら、おそらく透明なガラス自体が銀貨で取引される代物だろう。


 出来るだけ早く青ガラスの製法を売ってしまいたい。


 刺されるのは嫌だからな。


 さて、今日もキリキリ狩りに励むとしよう。




 真っ先に向かった狩り場はコボルトの生息地にした。


 インベントリからブレストアーマーを取り出して装着する。


 チェインメイルは街を出た段階で着ていた。


「重ね着はやっぱり重いな。慣れたり、レベルが上がったら違って来るのかね?」


 軽くボヤいてから剣を握り直す。

 アーツを使い、一匹一匹切り伏せていく。

 足運びに馴れたのか剣を振った後の体勢に無理が無くなって来た。

 斬ってはドロップを回収、斬ってはドロップを回収を繰り返して、コバルトが百を越えた辺りで移動を

開始する。



 次はネイルボアだったか。


 かなり固いらしいから、どう闘うか。


「毛皮、筋肉、骨だけで刃の入り具合は大分違うしな」


 猪とか熊は苦労しそうだ。


 一度斬り付けて、ダメージが稼げなかったら突き主体かな?


 コボルトの生息地から林の外側を回って行くと遠くに黒い何かが見えた。


 ゆっくり近付いてみるとドットは徐々に猪の輪郭に成っていく。


「見付けた……デカイな……」


 牛より大きい、かなり怖いビジュアルだ。


 ドット絵でも判る野性生物の怖さと言うか。


「ネイルボアって事は毛皮が釘みたいって意味合いだよな……」


 深呼吸を繰り返して覚悟を決めて全力で走り寄る。

 右手の剣を強く握り直して、全体重を乗せた突きを猪の首筋に突き立てる。

 ギャリッと音を立てて切っ先が少しだけ食い込む。

「しまった! 平突きじゃ無いと刃が通らない!」

 失敗した、毛皮の流れを考えて無かった。

 剣を横向きにしないと刺さらない位硬い。

 失敗した。

 不味い、すこぶる不味い。

 近くで見るとかなりデカイ、3mは有りそうだ。

 反撃とばかりに猪の牙が下から突き上げられる。

 飛び退いたが間に合わなかった。

 牙は俺の脇腹に食い込んで弾き飛ばす。

 1m位吹っ飛ばされた。

 衝撃で息が出来ない。

 物凄く痛い。

 顔を上げると猪は突進の体勢に成ってる。

 闘牛、しかも猪の獰猛さ。

 あれ? 俺死んだ?

 冷や汗が流れる。

 必死に息を整えて、体を起こす。

 その瞬間、ネイルボアは突進して来た。

 転がる様に飛び退いて交わす。

 繰り返し何度もネイルボアは突進して来る。

 身が凍る思いをしながら何度も、

 見苦しい位に転がり避ける。

 もう、破れかぶれだ、と立ち上がると、ネイルボアの突進に合わせて俺も走り、切っ先をネイルボアの

口の中に突き込んだ。

 それと同時に俺は多分2mは飛ばされた。

 地面に叩き付けられて意識が遠退く。

 顔に触れた土と草の感触でうつ伏せに倒れたのが分かる。

 頭を振って急いで立ち上がる。

 右手に剣を持ってない事に気が付き辺りを見回す。

 見当たらない、焦りが募る。

「どこだ? どこに飛ばされた?」

 周囲を見回しても片手半剣は見付からない。

 ネイルボアの突進を警戒してモンスターを探すと、ネイルボアは地面に倒れている。


「ん? なんで?」


 と呟くとネイルボアの口に何かが有るのが見えた。


 恐る恐る近付くとネイルボアは掻き消えて俺の剣とドロップアイテムがその場に落ちる。


 右腕の痛みにうずくまりたくなる。


 右肩を抱えながら剣とドロップアイテムを回収してその場を離れた。


 周囲にモンスターが居ないか確認してから地面に座り込む。


「デカかった、死ぬかと思った…、突進系なら槍が必要だな、ついでに金属の棍棒かハンマーも買おう」


 武器とモンスターの相性も考えて、予備武器を買う事を自分に誓う。


 右腕の痛みが気になり、ステータスを開く。



 守宮龍人

 人族

 凶戦士

 LV21

 HP227/300

 MP200/280

 筋力82

 体力82

 俊敏48

 知力27

 幸運27



 レベル上がってる。


 そしてHPがかなり減ってる。


 これってかなり削られてないかな。


 骨折とか怪我ってどう言う扱いなんだろう?


 動くは動くから折れたりはしてないだろう。


 あまりの手強さに溜め息がこぼれる。


 インベントリを開いて回収した剣を取り出して腰の鞘に収める。


 ついでにドロップアイテムの確認をすると変な物がいくつか有った。


 ネイルボア・リーダーの肉、ネイルボア・リーダーの毛皮、ネイルボア・リーダーの牙。


 えっと、これはどう言う事かな?


「俺、ネイルボアの上級種と戦ってた訳か?」


 どうやら俺はテリトリー巡回していたネイルボア・リーダーに挑んだらしい。


 突き上げられた脇腹を触ると紐が切れていたがチェインメイルは無事だった。


 革鎧だったら穴開いていたかも知れない。


「凄くヤバかった、凄く怖かった……」


 俺は脱力して、地面に寝転がると空に向かって叫ぶ。


「でも、ドット絵!!」

主人公テラピンチの回でした。

防具新調してて良かったね(笑)

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