17話
色で主人公は(笑)
銀線の跡には赤い噴水が出来る。
片手だと剣速、両手だと剣圧が増す。
何十匹のモンスターを斬ったか、自分でも分からない。
悩んだ結果、スキルツリーは武器術と格闘術を取った。
3つ目はまだ保留にしている。
盾を取るか、回復魔法を取るか悩んで棚上げする事にした。
防御力か回復、つまり安定した戦闘継続力の確保は必要だ。
ここがゲームの中なのか、異世界なのか、夢の中なのか、まだ判らないが、少なくとも命を断つ行為の実感は感じている。
夢オチやゲームだとはっきりするまでは命として向き合おうと思う。
「まあ、序盤の雑魚扱いはさせて貰うが」
スキルツリーのお陰で剣の扱いに違和感は無い。
その内に完全に身に付けば隙を自然と突く様に成る予感もする。
ゴブリンの生息地域からコボルトの生息地域に差し掛かる。
目に付く限りコボルトは3匹でグループを作って居る様だ。
ここまで一方的な戦闘だった為、実はまだバックラーの出番がほぼ無かった。
都合が良い事にコボルトは多分小剣を装備している様なので、暫く防御練習をしてみる事にした。
左腕に固定したバックラーは肘から手首までを覆う円形のスタンダードな物だ。
裏拳の要領で向かって来る小剣を叩いて弾いて行く。
手に持つタイプの盾なら打撃にも使えそうだが、バックラーでは難しかったので弾く、逸らす使い方に成る。
コツを掴んだと思える位にスムーズに使える様に成ったので、また虐殺タイムに移行する。
3匹目を切り殺すと予想以上の大きさの断末魔の悲鳴が上がり、周囲にコボルトが集まり始める。
探したり、向かって行かなくて良い分楽では有るが、どれだけ集まるか判らないのは不安要素だ。
コボルトを1匹1匹片付けて行くが、倒す数より集まる数の方が若干多い感じだ。
一時間位か、20、30と倒し続けてもまだ集まってくる。
今はまだ余裕が有るが、もう30分も続けたら集中力も切れるだろうし、今はまだかすり傷程度が致命的なダメージに成りかねない。
一度その事実に気が付くと焦りが生まれる。
一秒でも早く倒す。
立ち止まらず倒し尽くす。
今必要なのは集まる速度より早い殲滅力だ。
視界に端に見えるスキルツリーを自然と選ぶ。
3つ目のスキルは身体術、肉体を効率良く合理的に運用出来るスキルを俺は身に付けた。
周囲に集まるコボルトを蹴り倒し、斬り伏せ、蹂躙していく。
思わず雄叫びを上げて1匹1匹さっきより圧倒的な速さで群がるコボルトを排除して行く。
片手剣、両手剣、身体術を得た俺の職業は凶戦士、手の届く敵全てを駆逐する戦闘の申し子だ。
血飛沫が舞う中で俺は咆哮を上げて戦い続ける。
「でも、ドット絵」
やっぱり主人公は蹂躙者でした(笑)