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14話

キャバクラにこんな客来たら困るだろうな~(笑)

 暫くして飯が届いた。


 茶色い塊と茶色い塊と茶色い塊だ。


 多分、パンとステーキと何かだ。


 何かってなんだよ、マジで……。


 器に触れたらスープボウルだった。


 ブラウンシチューかなんかだろう。


 もう、気にするのに疲れた。


 ステーキを切り分けてパンと食べて、シチューで流し込む。


 旨いは旨いが、やはり見た目が伴わないと抵抗感は拭えない。



 食べ終えてゆっくりワインを呑みながら一息吐くと、エミリーと名乗ったホステスが話し掛けて来る。

 大分気を使わせたらしい。


 まあ、快談しながらの食事って雰囲気でも無いし、気にしない事にする。


「リュート様、先ほどの迷子とは一体?」


 ストレートに突っ込んで来た。


「一所に長居出来ない質でね、街を転々としてるだけだ」


「一人旅かぁ、羨ましい」


 エミリーは小さく呟いた。


「そんな良い物でも無い、根無し草が人恋しくて街に立ち寄って、居場所を作れずまた旅に出る、の繰り返しだ」


 記憶喪失とか田舎者設定が面倒で適当に並べた嘘だ。


 突っ込まれても困る。


 ワインを飲み干して、ウィスキーを頼む。


 エミリーは立ち上がるとカウンターに杯を置いて、タンブラーを持って戻って来る。


 ふとカウンターの上を見上げるといくつものドアが見える。


 宿屋もやってるらしい。


「なあ、泊まるとしたら幾らに成る?」


 傍らに腰掛けてくっついてくるエミリーに問い掛ける。


「酒代と食事も合わせたら銀貨11枚位かしら?」


 高い、一泊11万ってどんなハイホテルだよ。


 まあ、言うだけ無駄だし、酔って宿探しは面倒だ、金も有る。


「じゃ、一泊してくとしよう」


 インベントリから銀貨を12枚出して、1枚はチップだと握らせる。


「ご用意致しますので少々お待ち下さいませ」とエミリーは慌ててどこかに向かう。


 現金な物だ、チップで口調まで変わった。



 しかし、ドット絵の女性が色っぽい声って、と俺はウィスキーを呑みながらどうでも良い事を考えていた。


 エミリーが戻って来る、何度も申し訳ないが、まあ仕事だ。


 許して貰うとしよう。


「部屋で呑む事にする。ウィスキーの瓶売りが有れば欲しいんだが」


「はい、只今ご用意致します」


 エミリーは再度カウンターに向かい、恐らくウィスキーの瓶を用意してくれているのだろう。


 エミリーが戻って来るのに合わせてタンブラーの中味を飲み干す。


 強い酒だ、味もアルコールもしっかり感じるが、何だか酔える感じがしない。


 アルコールに強くなったのか、この環境では酔わないのか判断が着かない。


「では、ご案内致します」


 エミリーはタンブラーと瓶の乗ったトレーを持って俺を促す。


 二階の奥まった部屋に通された。


 室内はかなり大きいベッドとソファーとローテーブルが見えた。


「先に湯浴みになさいますか?その方が寛げると思います」


 この宿には風呂が有るらしい。


 一日戦い通しで体を湯で拭くだけよりずっと有り難い。


「ああ、そうさせて貰うか」


 ドアを開けると確かに、バスタブが有る。


 バスタブには既にお湯が溜められている。


 先に用意にスタッフが走ったのだろう。


 ドアを閉めて着ていた服を脱ぎ捨てて手桶で温かいお湯を頭から被る。


 二度三度と被るとドアが開く音がする。


 慌てて振り向くと肌色のエミリーが居た。


「お背中お流し致します」


 宿、ホステス、全裸、湯浴み……、思い至った。


「あ、ここ娼館か…」


 色っぽい声はとても来る物が有るが、見えるのは何時もと同じ。


「でも、ドット絵!!』」

現代の日本人には馴染みない宿ですね。

中世だと酒場の有る宿と娼館が主だったそうなので、

出してみました(笑)

主人公、癒されるのか、余計に苛立つのか、

書いてて不明(笑)


本来、ヨーロッパでは入浴文化が廃れています。

それはペストの予防に皮脂が関わると考えられていたからです。

が、鼻が曲がりそうな主人公はあまりに不憫なので、

入浴文化を残しました。

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