13話
主人公がドンドンと掏れて行く(笑)
「盾と鎧、どうしよう、明日にするかな?」
取り合えずスキルツリーどうするか、その兼ね合いも有る。
ステータス確認してみよう、大分上がっているはずだ。
守宮龍人
人族
LV18
HP270/270
MP250/250
筋力63
体力63
俊敏44
知力25
幸運25
「何、このスタートダッシュ……」
想像以上だった。
ゲームとしては序盤戦、レベルは上がりやすいだろう。
逆にレベルキャップの有無次第でも有る。
体は問題ない、精神的な疲れた。
無性に酒か何かで気を紛らわせ無いと駄目な気がした。
ハンターが集まる酒場で呑むか何かしないと、胸の奥が軋む。
今日の狩りでささくれた気分はなかなか落ち着かない。
こんな日は一杯二杯呑んでも意味が無い。
酒に逃げる、が正しい表現だろう。
情けない事にストレス過多なのだろう。
そして発散方法は限られて居るのだから仕方が無い。
酒場は日が沈んだばかりと言うのに賑わっていた。
ガヤガヤした音がささくれ立った神経に触れて顔を顰めてしまう。
余りの騒がしさに長居は断念して、カイル達を探す事にした。
正直、パーティー参加は考えて居ない、どう考えても折り合いと言うか、一緒に命懸けで戦えるとは思えないのだから仕方が無い。
とは言え、露骨に言う訳に行かないので、言い訳を考えなければ成らない。
カイル達は簡単に見付かった。
昨日と同じテーブルで飲み食いしていたからだ。
こんばんは、と声を掛けると全員が俺を見上げる。
俺はパーティー参加を辞退する旨伝えるとカイル達は驚いて座る様に促される。
面倒だが仕方が無い、空いた椅子に腰掛けて、参加しない理由をでっち上げた。
「既にチームワークが確立されたグループに参加するより自分で1人1人増やして行こうと思います」
「しかし、レベル4位で新人を探すとなかなか見付からないぞ?」
カイルは昨日の紹介を例に上げて来る。
カイルの仲間も同感だと頷く。
「あ、レベルは今18なので、焦る必要が無くなりました、だから大丈夫。ありがとう」
駄目だ、態度がつっけんどんに成り過ぎている。
長居すればする程悪感情を互いに抱きかねない。
さっさと出る事にしよう。
今日の狩りで神経過敏に成ってる事を伝えて引き上げる事にする。
唖然としたカイル達を残して足早に酒場を出た。
歩きながら俺は自己嫌悪に陥る。
早く出たかったとは言え、あの態度は不味い。
明日にでも謝らなければ。
行き先も無いまま歩いた。
いや、この状況が元々行き先の分からないのだから同じか。
ずっと彷徨って、暴れて、悩んでるだけか。
時間が経てば経つ程に苛立ちが増していく。
今何時だ?思わず左手を上げてもそこには時計は無い。
日が落ちて夕食の時間だろう、多分。
先ず何か食べて、酔い潰れるまで呑む。
視界に酒場だろうか?ドアから漏れる明かりが見える。
近付いて見ると男に声を掛けられる。
「お兄さん、疲れた顔してるね、良かったら呑んで楽しい時間をどうだい?」
ああ、客引きか。
たった二日なのに懐かしいと感じるのは俺の心が弱いからか?
まあ良い、呑めるなら何処でも。
誘われるがまま建物に入ると沢山の男女がソファーに腰掛けて居る。
ゲームか異世界か知らんが、ここにもキャバクラは有るらしい。
「飯は食えるか? 先ず飯が食いたいんだが」
客引きに声を掛ける。
「焼いた肉か腸詰めならご用意出来ますから」
案内されたソファーに腰掛けて飯とワインを頼む。
葉巻と香水と汗のむせ返る様な匂いが充満している。
視覚以外は本当にリアルなファンタジーだとつくづく思う。
シニカルに笑いながら感心していると声を掛けられる。
「いらっしゃい、良いかしら?」
見上げると赤い髪と赤いドレスを着たドット絵の女が居る。
「良いも悪いも無いだろう?」
トレーをテーブルに置くと密着する様に女は座る。
「初めて見る顔ね、旅人なのかしら?」
「ああ、昨日来たばかりだ、街の名前すら知らない」
「変な旅人さん、何処に向かって旅をしてるか分からなくならないのかしら?」
さも可笑しいと笑いながら女は杯を渡してくる。
多分、頼んだワインだろう。
受け取るとさっさと杯を口に付けて煽る。
ワインは酸味と苦味しかない若いのか安いのか迷う味だ。
実際、今は呑めたら何でも良い。
隣では多分苦笑いしてるだろう声で女は乾杯と杯に口を付ける。
「私はエミリー、旅人さんは?」
「リュート、迷子だ」
左腕に女の柔らかな感触と体温を感じながら思う。
「でも、ドット絵!!」
色っぽい話に成りませんでした、
ごめんなさい。
次こそは…。
ヒロインに成るか未定(笑)
しかし、主人公嫌な客だなぁ(笑)