プロローグ
「以上が鑑定結果です。お望みの水流操作をお望みの場合はだいたい金貨3枚分の魔石の購入が必要ですね。どうされますか?」
「是非、お願いする」
「分かりました。では、一刻ほど後に受付でお受け取りください」
一礼しながら出ていく年かさの男性を見送るとセドルスは必要な魔石を記すと隣に控えていた職員に手渡した。職員が退出していくのを目で確認すると秘書が近づいてきた。
「セドルス様お疲れ様です。本日の分はこれで終了となっています」
「あっそうなの? じゃあ、今日は帰る」
秘書の男が運んできたお茶に口をつけながら買い物に行こうと意気込んでいるとすぐさま制止の言葉が入った。曰く、書類仕事があるから帰さないと。仕事しろと。冷静に告げる秘書にセドルスは嫌そうな顔をした。
「書類って……。フィー、あれはお前に任せるっていっただろ? このイーニア商会の代表はお前なんだから」
「お言葉ですがセドルス様。確かに代表にならないかとの打診は受けましたが、私はその話をお受けしたつもりはありません。それに、セドリス様の【鑑定】のスキルがなければ代表などとてもなれませんよ。あと、私はあなたの従者です。そこの所忘れないでください」
「お前は昔から硬いなぁ……。分かったよ、今日の分こなす。じゃあ、執務室にいくぞ」
はい。お供しますなどと後ろに付いてくる秘書の視線を感じながらセドリスは溜息をついた。なんでこんな事になったんだろうと。