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月下氷人  作者: 千帆
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夏の贈り物

あたしは夏が好き


眩しすぎるくらいの太陽と

心地よい風


そんな中

あたしはあんたに出会った


実をいうと

夏が好きな1番の理由は

あんたに出会えたからだよ


いや、

あんたに出会えたから

夏が好きなんだ



「あ、奈央ー!!!おっはょー!!」


『あ、ぁ、おはょ。ちょっとそんなおっきい声で!!みんなみてるじゃない!!恥ずかしくないの??』


朝っぱらから元気のいい

この娘の名前は優梨


小柄で、おっきな目に長いまつげ。おまけにぱっちり二重の、誰がどう見ても可愛い女の子。

優梨は男子からかなりもてる。よく男子に呼び出されてたし


なのに彼氏をつくろうとはしない。


あたしに気つかってんのかな………




―――2ヵ月前


あたしには彼氏がいた。


まぁ、彼氏とよべるほどのもんじゃなかったけど。


メールも電話もほとんどしなかった。正しくは、してくれなかった。


結局フラれちゃった。

どうも後から聞いた話によると二股かけられてたらしい。

しかもあたしは、どっちかとゆーと、浮気相手のポジション。


ふざけんな


むかつく


だったらはじめっから

付き合ったりしないでよ


あたしばっかり頑張って

バッカみたい



………でも、好きだった


あたしは本気で

大好きだった


今も泣きそう



そのくらい

あいつのこと好きで

悲しくて、つらくて


あのときの傷はまだ

癒えてない



「奈央!?どした??」


ふと我に返ると

心配そうにあたしの顔を覗き込む優梨がいた。


「奈央、またあのこと考えてたの??」


『え、あ、うん。ちょっとね!!』


「奈央には優梨がついてるから大丈夫!!だから、つらいことあったらなんでもゆってね??」



優梨はいつもあたしの異変に気付いてくれる。

助けてくれる。

それがすごく、すごくうれしかった。


『…うん、ありがと。優梨大好き!!』


「優梨も奈緒大好き!!笑」



今のあたしには、優梨がいればそれでいい。


それだけで十分


優梨がいてくれなきゃ、いまのあたしはここにはいないよ………

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