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アルケオン 第二章 「感情の色を探して」  作者: れんP


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53/60

愛という名のぬくもり

「アルケオン 第二章 感情の色を探して」


彩葉たちの活躍から、十年――。

世界は大きな戦乱もなく、静かな平和を取り戻していた。


日本・大阪府大阪市。

その街に、一人の守護者が存在していた。


イラストから生まれた守護者――ユズ。


絵を描くことを愛する彼女は、

しかしひとつの欠落を抱えていた。


それは――

“色で感情を表現できない”こと。


どれだけ描いても、そこに宿るはずの“想い”が分からない。

色が、ただの色にしか見えないのだ。


そんなある日、ユズは一体の想霊と出会う。


苦しみの上位想霊――

感情体「サファリング」。


感情から生まれる存在である彼女は、

ユズの“欠落”に興味を抱く。


そしてユズもまた、

“感情とは何か”を知るため、彼女と共に歩むことを決める。


タブレット端末を手に、

二人は旅に出る。


喜び、怒り、悲しみ、愛――

さまざまな感情から生まれる“想霊”を探すために。


これは、色を知らない守護者が、

“感情の色”を探し出す物語。


そして――

世界に隠された、新たな異変へと繋がる物語でもあった。

首里城近くの開けた場所。


 


柔らかな風が吹き、草木が揺れる中で、ユズたちは“愛”の上位想霊と対面していた。


 


濃いピンクの髪を揺らす少女——ラブは、にこやかに手を振る。


 


「ん? あ、こんにちは〜」


 


「あ、はい、こんにちは。イラストの守護者『ユズ』です」


 


 


ラブはぱっと表情を明るくする。


 


「ユズちゃんね!私はラブ!愛を司る上位想霊の感情体!ラブだよ!」


 


 


そして、仲間たちへ視線を向ける。


 


 


「よよよ?そっちは久しぶりだね、そしてそっちははじめましてだ」


 


 


プライドが優雅に微笑む。


 


 


「久しぶりね」


 


 


サファリングも短く頷く。


 


 


「ん、久しぶり」


 


 


マーダラスは軽く一歩前に出た。


 


 


「はじめまして、私はマーダラス、だよ」


 


 


ラブは満面の笑みで答える。


 


 


「うん!はじめまして!!」


 


 


 


その瞬間——


 


ラブの周囲にいた動物たちが、ユズたちの方へも近づいてきた。


 


 


小鳥が肩に止まり、小さな動物が足元に寄ってくる。


 


 


「え、えぇ……!?」


 


 


ユズは驚きながらも、そっとしゃがみ込む。


 


 


動物たちはまったく警戒せず、むしろ甘えるようにすり寄ってくる。


 


 


ラブが楽しそうに笑った。


 


 


「ふふ、みんな優しい子が好きなんだよ」


 


 


「優しい……」


 


 


ユズはその言葉を反芻する。


 


 


ラブは少しだけ真剣な表情になった。


 


 


「ユズちゃん、いろんな感情に会ってきたでしょ?」


 


 


「……うん」


 


 


「じゃあ、どうだった?」


 


 


 


問いかけは、とてもシンプルだった。


 


 


けれど——


 


ユズはすぐには答えられなかった。


 


 


苦しみ、怒り、悲しみ、好奇心。


 


 


どれも強くて、時に怖くて。


 


 


でも、確かに必要なものだった。


 


 


「……全部、大事なものだって思った」


 


 


ラブは優しく頷く。


 


 


「うん、それでいいよ」


 


 


 


ラブはそっと手を胸に当てる。


 


 


「愛ってね、特別なものじゃないんだ」


 


 


その声は、とても穏やかだった。


 


 


「誰かを守りたいとか、大切にしたいとか……そういう気持ち全部が“愛”」


 


 


 


風が吹き、周囲の木々が揺れる。


 


 


ラブの言葉は、まるでその風のように、自然に心へと入り込んできた。


 


 


「でもね」


 


 


ラブの表情が、ほんの少しだけ曇る。


 


 


「愛は、ときどき……自分を壊しちゃうこともある」


 


 


 


その言葉に、場の空気がわずかに変わる。


 


 


マーダラスが静かに目を細める。


 


 


「……守るために、か」


 


 


ラブは小さく頷いた。


 


 


「うん。大切なもののためなら、なんでもできちゃうから」


 


 


 


ユズはその言葉を聞き、胸に手を当てる。


 


 


温かい。


 


 


けれど、その奥に——


 


 


ほんの少しの痛みも、確かにあった。


 


 


「……ラブ」


 


 


ユズは一歩前に出る。


 


 


「あなたのこと、もっと知りたい」


 


 


ラブは一瞬驚いたように目を見開き——


 


 


すぐに、柔らかく微笑んだ。


 


 


「うん、いいよ!」


 


 


 


愛という感情の本質へ。


 


 


ユズの新たな一歩が、静かに踏み出される——

ここまで読んでくれてありがとうございます。

次回もお楽しみに

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