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アルケオン 第二章 「感情の色を探して」  作者: れんP


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28/60

優しさの裏に潜むもの、そして次なる地へ

「アルケオン 第二章 感情の色を探して」


彩葉たちの活躍から、十年――。

世界は大きな戦乱もなく、静かな平和を取り戻していた。


日本・大阪府大阪市。

その街に、一人の守護者が存在していた。


イラストから生まれた守護者――ユズ。


絵を描くことを愛する彼女は、

しかしひとつの欠落を抱えていた。


それは――

“色で感情を表現できない”こと。


どれだけ描いても、そこに宿るはずの“想い”が分からない。

色が、ただの色にしか見えないのだ。


そんなある日、ユズは一体の想霊と出会う。


苦しみの上位想霊――

感情体「サファリング」。


感情から生まれる存在である彼女は、

ユズの“欠落”に興味を抱く。


そしてユズもまた、

“感情とは何か”を知るため、彼女と共に歩むことを決める。


タブレット端末を手に、

二人は旅に出る。


喜び、怒り、悲しみ、愛――

さまざまな感情から生まれる“想霊”を探すために。


これは、色を知らない守護者が、

“感情の色”を探し出す物語。


そして――

世界に隠された、新たな異変へと繋がる物語でもあった。

ユズ、サファリング、プライドは——


 


千葉県市川市八幡にて、


 


コンパッションと八幡に出会い、


 


慈しみという感情の“色”を知った。


 


 


別れの時。


 


 


「またね」


 


 


コンパッションは、あの柔らかな笑みで手を振る。


 


 


「気をつけなよ〜。ここ、ほんとに危ないからさぁ」


 


 


八幡は楽しげにそう言った。


 


 


「はい……ありがとうございました!」


 


 


ユズは深く頭を下げる。


 


 


そして三人は、


 


八幡の藪知らずを後にした。


 


 


 


駅へと向かう道。


 


 


先ほどまでの重たい空気は消え、


 


どこか穏やかな静けさが戻っていた。


 


 


しばらく歩いた後——


 


 


サファリングが、ぽつりと口を開く。


 


 


「……コンパッションは、優しい」


 


 


ユズはすぐにうなずく。


 


 


「はい……すごく、あたたかかったです」


 


 


だが——


 


 


サファリングの言葉は続いた。


 


 


「でも……危険でもある」


 


 


「え……?」


 


 


ユズが足を止める。


 


 


プライドもちらりと視線を向けた。


 


 


サファリングは、変わらぬ調子で言う。


 


 


「慈しみは……人を救う」


 


 


「でも……度を超えれば、自分を壊す」


 


 


「誰かのために全部を捨てる……それも、慈しみ」


 


 


その言葉は、静かだったが重かった。


 


 


ユズは少し考え込み——


 


 


「……優しいだけじゃ、だめなんですね」


 


 


と、小さく呟く。


 


 


サファリングはわずかにうなずいた。


 


 


「ん……バランスが必要」


 


 


 


再び歩き出す三人。


 


 


やがて駅が見えてくる。


 


 


 


その時、プライドが話を切り替えた。


 


 


「次の目的地だけど——」


 


 


「茨城県よ」


 


 


「茨城県……」


 


 


ユズが繰り返す。


 


 


プライドは続けた。


 


 


「そこには、“怒り”を司る上位想霊感情体——アンガーがいるわ」


 


 


「怒り……」


 


 


ユズの表情が少しだけ引き締まる。


 


 


だが、プライドは意外なことを言った。


 


 


「でもね、その子——」


 


 


「怒りを司ってるようには見えないくらい、優しいのよ」


 


 


「え……?」


 


 


ユズは目を丸くする。


 


 


サファリングも静かに補足する。


 


 


「……別の国から、日本に渡ってきた感情体」


 


 


「その影響もあるかも」


 


 


 


ユズは少しだけ考え——


 


 


そして、ふっと笑った。


 


 


「なんだか……楽しみです」


 


 


「怒りなのに、優しいなんて」


 


 


 


プライドは肩をすくめる。


 


 


「会ってみれば分かるわよ」


 


 


「感情って、単純じゃないから」


 


 


 


電車がホームに滑り込む。


 


 


三人は乗り込み——


 


 


新たな地へと向かう。


 


 


 


慈しみの色を胸に。


 


 


次なる“感情”を求めて——。

ここまで読んでくれてありがとうございます。

次回もお楽しみに

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