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はじめての一人暮らし

作者: みかさ

# はじめてのひとりぐらし

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## 幼少の夢

 僕の夢は、北海道に住むことです。ここは雪が積もらないどころか降らないから、つまらないです。と小学生の頃は言っていた。しかも、とにかく自立したくていつも一人暮らしがしたいとも言っていた。狩猟採集の生活をし、消費税や所得税を払わず一切の金を必要としない生活がしたいとも。流石にそれは無理だと中学になってから気がついたが。

 あれからずっと引っ越すことなく、順当に歳を重ねていった。

 何故か、学年が上がるごとに成績が下がり不思議に思う日々だった。中2にして脳の衰えを感じていたり、あまり勉強をする性格ではなかった。小4あたりがピークだったのかもしれないが、おふくろに聞いたところ、その時も学力低かったよ、とのことでがっかりしたのも良い思い出だ。

 しかし、なんだかんだで、なるようになるから有り難い。高校に上がる時は、一切緊張なしでいけた。小学校、中学校の入学式でも、何とも無かったのだから、高校も何とも無いだろうと予想できたのだ。案の定、むしろ義務教育と何ら変わらなくてつまらないくらい大丈夫だった。

 だが高校でも順当に学力が低下していき、受験が近づくと急降下する有様だった。流石に、まだモラトリアムを満喫したくて浪人も嫌だと躍起になったのだろう。赤本と共通テストの過去問を何周もやるようになった。うちは貧乏で私立大学には行けないから国立一本勝負、負けたら就職。働きたくない一心で、全国の大学を調べ、少しでも自分に有利な入試科目や比重を探し、、、それはもう必死だった。担任の先生より入試情報に詳しくなるほどに調べた。

 そして結論は、地方で一人暮らしするというのもだった。地元の国立大学は歩いて行ける距離ではない上に難し過ぎるが、飛行機でも日帰り出来ないような地方には希望があった。

 やはり情報は大事。

 それで、結果的に合格することが出来た。周りの同級生たちがほとんど進路が決まって卒業式も終わっても、合格発表がまだでヒヤヒヤした。こんなことなら併願するべきだったと思うが行かないところに出願するのが無駄だ。

 奇しくも、その合格した大学こそが北海道にあるのだ。図らずして夢が叶ったということだ。人生何があるか分からないもので、まさか本当に北海道で一人暮らし出来るとは、、、。


## 寒い...

 寒い...

 空港を出た感想がこれだ。何せ気温に符号が付いているのだから当然だ。機内から見た光景は、まさにテレビで見たそのままので感動したものだが、雪で覆われているということは当然寒いわけだ。

 空港から大学がある市街地へは数10キロあり、とても歩いて行ける距離ではないので、バスに乗った。バスの中は温かい。離着陸の急激な気圧変動でやられた耳がほぐれていく頃には、バスが終点に到着した。少し街を探索してみたいが寒いし、これからお世話になる下宿へ挨拶しなければならないので、それが先だ。市街バスに乗り換えて10数分程度で大学近辺に到着。そこから長い坂を重いスーツケースを押し歩いた。ところどころ雪があって進みにくい。しばらく登ると大学が見えてきた。オープンキャパスには行けなかったので見るのはこれが初めてである。どうやら大学は坂の頂上に辺りにあるようだ。そこから、さらに歩けば下宿。何とか行き倒れずにたどり着いた。やはり呼び鈴を鳴らすと管理人らしき人が出てきた。

「こんにちは。先日、電話した三笠と申します。よろしくお願いします」

「よろしく。寒かったでしょ。上がって」

 それからは、部屋に案内されて鍵の開閉方法を教わって鍵を受取り、ルールなどを教えてもらった。いやしかし本当に「ゴミを投げる」と言うのだなと感心した。地元でも、そう言う知り合いがいたが彼も場合はポイ捨てを意味するから違う。

 さて、部屋には立派な石油ストーブがあり取扱説明書も机にあった。どうやらタイマー機能があるようでなかなか高性能だが、灯油タンクの中身を空になるまで稼働すると壊れてしまう代物だ。確認したら早速稼働。因みにエアコンは無い。

 肝心のベッドだが、布団は自分で用意しなければならないとのことで、予め注文しておいた。届くまでに、荷解きをしよう。意外にもストーブのパワーは強力で、狭い部屋が簡単にあたたまる。温度が上がれば作業も捗るのもだ。


## 入学

 午前は市民会館で入学式、午後は新入生ガイダンス。

 いきなり履修登録の期限が迫っているではないか。とりあえず、登録可能な講義は全部登録してしまおう。

 たまたま隣の席にいた人と仲良くなったので、協力だ。お互い、持てる知識を最大限活用して履修登録を乗り切る。

 初回の講義は来週だ。教科書はすぐに購入。

 いやしかし、生協の癒着がすごいなぁ。加入しないと教科書も買えない。

 学内に常設の売店が生協しか無いようだが、いかがなものか。見事なブルーオーシャンとも言うべきか。


## サークル

 大学には課外活動団体、要するに部活動やサークルというものがある。いくつも掛け持ちしてもいいところがほとんどだ。

 とりあえず、部費が無いサークルに入部を決めた。特に入部届けなどは必要なく、部長にメールで名前や所属を伝えるだけでいいようだ。

 顧問の干渉がほとんど無いのも良い。最高だ。


 ところで、初回の講義は、数学以外はガイダンスでどれもすぐに終わった。しかし、これからの難しさが垣間見えたので気楽ではない。

 過去問とか欲しいものだが、自分の書き込みが残っている問題用紙を残すのも嫌だろう。後輩全員に配布しようなどという聖人のような先輩はおらず、自分からねだるのもはばかられる。


 過去問共有サークルでも創ろうか。


## 収束

 住めば都というわけで最初こそ、親離れの寂しさや、一人暮らしの不安、受講の心配、人付き合い、など刺激が多かったが慣れてしまえば日常だ。

 学歴ロンダリングを考えるほどには余裕が出てきた。

 一部の厳しい教員に不正行為を疑われて肝を冷やしたり、英語で不合格で再試験になったりと、平和ではないこともあったがよくあることだ。約20年の人生で、何もなく過ごせた年は無い。必ず何かしらヒヤリハットすることがあるのだ。


 ただし、大学が一番楽しい。小学校よりも中学校、中学校よりも高校、高校よりも大学、という具合に良い方向に向かっている。

 まだまだモラトリアムを満喫したい今日この頃である。



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