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閑話2『後日譚』

『…………なんでそうなる』


『……やっぱり、本命じゃなかったんだ』


『……おう。…………何にしろ、詳しい人に聞くから待っていてくれ』


あの場所を見つけてから二日後。夕食の片づけを終え、居間で向かい合う二人。明姫は正座をしながら少し緊張した面持ちで直人を見ている。絶景スポットを見つけたことはともかく七不思議の話となると否応なく緊張してしまう体になっていた。

「……大丈夫だ、怖い話はないぞ」

「…………こわがってない」

 ピンと背筋を伸ばして見返す。本人がそれならいいかと、直人は今回の一件について順を追って説明し始める。

「まずは、本当の七不思議についてだ」

 各七不思議には一応の答えが存在する。場合によっては年代によって変わることもあるが、基本的には大人のおふざけレベルのものとなっている。……今回は一つ目からして想定外のことが起きて、本来のものとは少し毛色が違うような感じになっていたものの、それはそれでいいだろうと大人の間でも議論がなされていた。よって、七つ目にも想定される答えが存在していた。

「明姫たちは、その動いた石碑より奥には行っていないんだよな」

「……うん。でも、動いた石碑が最後の石碑だったはず」

「石碑はな。道はもう少し続いてたはずだぞ?」

「…………そうだっけ?」

 早く終わらせたいという思いがいっぱいで、着いたという発言を鵜呑みしてしまっていたが、もっと奥があったらしい。

「…………それで?」

「奥にはちょっとした広場があるんだよ。そこまで広くないし、遊具があるわけでもないから子どもの遊び場には向かないが、だからこそ、設置されているものがあるんだ」

「……設置されてるもの?」

「自由に持っていっていい冊子だよ」

 直人曰く、広場の脇に気で作られた台があり、そこに数冊の薄い本が置かれているらしい。

「…………うすい本」

「中身はこの島の歴史について書いてあるらしい」

 本気で歴史を記したら分厚い本になってしまうので、子どもでも読めるように絵とかも交えて分かりやすいように工夫されている。

「…………そう」

 明姫は興味なさそうにお茶を飲む。

「……次、例の隠し通路について」

「結局何だったの?」

 こっちの話題は興味津々だった。

「偶然らしい」

「偶然!?」

 どういうことかと身を乗り出す明姫。どうどうとなだめつつ、仕事を早めに切り上げて光と共に調査した結果を話してやる。

「石碑の土台は長い年月雨にさらされて劣化していた。だから、ちょっともたれかかるだけですぐに動いたんだ」

「…………うん」

「通路の方も、元々雨水の通り道だったのが長い時間をかけて風化してできたものみたいだった。人が手を加えた形跡がなかったからな」

「…………うん」

「通路を抜けた先にあった岩場も多分自然のものだと思う。岩を集めて敷き詰めるのなら人が作ったっていう可能性あったが、村長や古くから島に住んでいる人に聞いてもしらないようだったから、岩が流れ着いてできた場所なんだと思う」

「…………なるほど」

 偶然という部分に納得はいかずとも、それぞれの出来事が自然に起きたということは理解できたようで、不服そうに頷く。

「…………偶然ってことはもしかして」

「ああ。あの場所は今まで誰にも発見されていなかったらしい」

 陸側からは言わずもがな、海側からも停泊困難な岩石地帯。冷静に考えれば当然のことだった。

「…………あの絶景も?」

「明姫たちしか見てないな」

 時間帯はともかく、天気も合わせなくてはいけないから、直人たちもまだ見られていなかったりする。景色に夢中でスマホで撮影もしていなかったので、絶景は今のところ明姫たちの思い出の中にしかない。

「…………直人にも見て欲しい」

 自分たちしか見ていないという優越感は湧くが、あんなに美しい景色だったら他の人、特に親しい人には見て欲しいと思える。澄んだ赤い瞳を向けてくる明姫を見て、直人は一言、ふむと頷く。

「……最後の話なんだが、ずばりあの場所をどうするか、だ」

「……どうするか?」

「このまま大々的には公開せず、島民だけが知るような絶景スポットにするか、島の観光地として宣伝するかだ」

 この問いは早い話、観光スポットにしていいかどうかの確認だった。これまで見つかってこなかった秘密の場所。それを大勢に知られてしまうのは不満があるのではないか。そういった懸念と、発見者にも同意を得たかった。そういった旨を村長から伝えられた直人は自ら発見者の一人たる明姫に尋ねるのを名乗り出たのだった。

「まあ、すぐには決めなくてもいい。一緒に見つけた友達と相談して――」

「――いいよ」

「え?」

「……他の人に知られてもいいよ」

 あまりの即決に口を開けたまま固まる直人。我に返った彼は戸惑いつつ、確認を取る。

「い、いいのか? それに他の二人の許可は……」

「……実は、帰ってくるときに話してたんだ」

 曰く、このままにしておくのはもったいないということで意見が一致したらしい。

「直人が言い出さなかったらわたしから言うつもりだった」

「そ、そうか。なら、村長にもそう言っとくぞ」

「うん」

 とまあ、そんな感じであの場所は他の人、ひいては島外、全国の人々が知るところになっていく。



「…………それで、いつ見に行く?」

「その話続いてたのか」

「うん」

「…………天気の条件が整った時でいいんじゃないか?」

「…………明日の天気予報、見ないと」

「行く気満々だな!?」


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