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彼女を寝取られた俺が幸せになる、その日  作者:
第一章 ありえないんだが。

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11/16

11、浅はか、だ

私は...あくまで十色お兄ちゃんが好きだ。

だからこそ私は。

裏切ったあのクソ馬鹿女。

佐渡美歩を絶対に許さない。


十色お兄ちゃんが求職活動に行っている間、私は家事をこなしていた。

そしてその中で私は思い出す。

佐渡...お姉ちゃんを。

結論から言って生き別れになった佐渡...実奈さんを。


「...なんで」


涙が浮かんできた。

それから私は嗚咽交じりで涙を流す。

そして実奈さんの事を思い出す。


全てアイツが壊した。

この関係すら。

あの女、佐渡美歩が壊してしまった。


「...絶対に許さない」


そして今。

佐渡美歩は私から大切な人を奪った。

その罰は相当に重い。

罰を受けてもらう。


「...その為には」


多分、結論から言ってネット上にばら撒くのが早かろう。

だけどそれをやっても良いが面白みに欠ける。

それに今までやられた分がある。

だとするならそれ以外、か。


思いつつ私は歩きながら食材を買いに出かけ、考えていた。

私の胸にある子供が着ける様な単純な構造のボロボロのネックレス。

写真。

十色お兄ちゃんとの記憶。


今のところはこれらが私が生きる糧になっているのだ。

そう考えながら私は十色お兄ちゃんを想う。

やはり私は恋をしている。

十色お兄ちゃんが大好きだ。

だからこそ私は。


「...」


私は静かにメラメラと黒い悪意のある炎を噴き出して火山のごとく怒る。

それから考えていると電話がかかってきた。

それは十色お兄ちゃんだった。

私は妄想を止めてから十色お兄ちゃんの電話に出る。


「十色お兄ちゃん?どうしたの?」

「ああ。すまない。...ソースを買ってくれるか?実は無くなっている事に今気が付いてな」

「あ、うん。だよね。買います」

「それからいくら金銭面に余裕があるからって買いすぎるなよ」

「まあ無駄遣いになるもんね。分かりました」

「...そうだな。すまないな。求職活動しているもんだからお前に任せてしまって」

「任せて。十色お兄ちゃん。私はその為にこの場所に居るんだから」


そう。

全ては十色お兄ちゃんの全てを独占する為だから何の問題もない。

そう考えながら私はニコニコしながら返事をしながらスーパーに来る。


「じゃあ買い物してくるから」

「ああ。宜しく」

「...ねぇ。十色お兄ちゃん」

「ああ。どうした?」

「...子供の時にくれたネックレス、覚えてる?」

「...7年ぐらい前にやったやつか?ああ。勿論覚えてるぞ」


十色お兄ちゃんはそう返事をした。

目の前が更に明るくなる気配を感じた。

私は笑顔になる。

それから浮かれる。


どんなブランド品よりも輝いているネックレス。

私は確かにお金持ちになったけど。

大切なブランド品は十色お兄ちゃんのくれたネックレスのみだ。

それから私は十色お兄ちゃんに話す。


「十色お兄ちゃん」

「おう。どうした」

「...私は十色お兄ちゃんが好きです。だからこそ私は十色お兄ちゃんの為に動きたい」

「...ああ」

「...私が私じゃ無くなっても愛してほしいです」


その言葉に十色お兄ちゃんの通話が数秒間途切れた。

そして数秒後に答えが返ってくる。


「すまないがお前の想いには応えれない」


初めてのNOだった。

7年で初めての否定である。

私は複雑な悲しい顔をしながらスマホを握る。

すると今度は間髪を入れずに答えがくる。


「あくまで俺はお前の復讐には賛同出来ない」


という答えが、だ。

あれ?私は十色お兄ちゃんにあの女への復讐の事を話したか?

話してない様な気がする。

何故知っている。


「十色お兄ちゃん。どこで知ったの。復讐するって事を」

「俺は7年。いや。お前が生まれた頃からお前を知っている。見透かせるんだ。何もかもを知っている。その上で言わせてもらう。お前がやろうとしている事は無意味に近い。止めてくれ。俺はお前が犯罪者になるなら全力で止める。それに...あの女は自滅するよ。勝手に」

「十色お兄ちゃん。復讐しないと駄目だって」

「じゃあ逆に聞くがお前が復讐した先に何が残るんだ」

「...」

「浅はかすぎる。止めておくんだ。人は犯罪を犯せばどんな計算でも警察に捕まるのがオチだ」


カバンを落とした。

それから電話に集中する。

十色お兄ちゃんのバカ。

何で分かってくれないの。


「十色お兄ちゃん。何で分かってくれないの」

「お前がやっている事が浅はかすぎるからだ。それからお前は周りの事が見えてなさすぎる。そんなんで復讐とか無理だししかも不可能だ」

「...十色お兄ちゃん。私は貴方が好きだから動いているんだよ?」

「俺はそれを望んで無い。それをするなら俺はお前を嫌いになる」


私はショックを受けた。

まさかの言葉に青ざめる。

それから真っ青になってから声を震わせる。


「十、十色お兄ちゃん?」

「全力で俺はお前を止める。無謀すぎる。今のお前は7年前のお前じゃない。...残念だ」

「...!」

「お前はお前をどこで見失ったんだ?あのクソ女も悪いがこちらから手を出せばこっちの負けだぞ。日本の法律はそう決まっているんだ。それにお前らしく無い」


私は呆然と立ち尽くす。

それから言葉が出てこなくなる。

そうしていると十色お兄ちゃんが声を発した。


「湊。戻って来て。お前はお前らしく俺の側で微笑んでくれ。待ってるからな」


その言葉で私は通話を終了した。

それから人目も憚らず涙を流して蹲る。

そうしていると声がした。


「湊ちゃん?」


そう声が、だ。

振り返るとそこに豊島さんがTシャツ姿のラフな感じで居た。

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