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最終話 ニャンニャン・ガールズ

 6人で入り乱れた夜から数日が経過した。

 あの一件で深い仲になった俺たちは、正式にパーティを結成することになった。

 名前は『ニャンニャン・ガールズ』。


 ……アホみたいな名前だが、これで押し切られてしまった。

 発案者はアイシア。

 あいつは本当にネーミングセンスがないと思う。

 ちなみにパーティリーダーはなぜか俺になってしまった。


 リーダー:カエデ(Cランク)

 サブリーダー:アイシア(Bランク)

 一般メンバー:エリス(Cランク)、桜(Cランク)、ユーリ(Dランク)

 その他メンバー:猫まる(召喚獣)、ドラにゃん(暴食竜フレイムドラゴン)


 こんな感じだ。

 なかなかに厄介な役割を押し付けられた気がするが、もう諦めるしかないだろう。


「ほー。ここがオークション会場かぁ……」


「うむ。ドラにゃんの鱗をここで売るらしいの」


 俺たち『ニャンニャン・ガールズ』は今、街のオークション会場に来ていた。

 目的は一つ。

 まとまった金を得るためだ。


 別に活動資金が足りないわけではないが、パーティとして活動していくにあたり金はあって困るものではない。

 どこかの街を拠点にするなら、大きめの一軒家を購入してもいい。

 あるいは拠点を設けず旅を続けるなら、旅費に充てればいい。


「少し緊張しますね。果たして良い値で売れるでしょうか……」


「きっと大丈夫でござる。ドラにゃん殿を信じるでござるよ」


「ドラにゃんちゃん! ふふっ、なんて可愛いんでしょう! はふ~!」


 アイシアはドラにゃんを抱えて頬擦りしている。

 彼女は特にドラにゃんを気に入っている。


「にゃにゃ~。アイシアは距離が近いにゃぁ……」


 ドラにゃんは少し嫌そうにしているが、まあ放っておこう。

 それにしても――


「人が多いな……」


「うむ……。あまり心地よい雰囲気ではないのう。見られておる」


 ユーリが言う通り、俺たちは会場の人たちからジロジロと見られている。

 奇異の視線だ。

 少し鬱陶しいな。


「おい、見ろよ」


「ヘンテコな格好をした嬢ちゃんだな……」


「知らないのか? あいつらは新規で結成されたパーティ『ニャンニャン・ガールズ』だぜ」


「なんだその名前? ふざけてるのか?」


「なんでもいいじゃねえか。奴らは今回、フレイムドラゴンの鱗を出品するって噂だ」


「マジかよ!? いったいどうやって手に入れたんだ……?」


「あんなふざけた格好の奴がいるパーティだ。まさか、自力でってことはないと思うが……」


 ずいぶんと注目されている。

 まぁ、へんてこなパーティ名に加えて、竜の鱗を出品するともなれば無理もない。


「それではこれより、オークションを開催いたしまーす!」


 司会者らしき人物の声が響き渡った。

 いよいよ始まったようだ。


「まず最初の出品はこちら! これは和の国から仕入れました勾玉で――」


 オークションが進んでいく。

 そして、俺たちが出品した鱗の番になった。


「次は……。まさかの大物の登場だー!! なんとなんと、暴食竜フレイムドラゴンの鱗です!!」


「「「ウオオオォッ!!」」」


 観客たちから歓声が上がる。

 予想以上の人気だな。


「金貨30枚からスタートさせていただきます」


 オークショニアの開始価格を聞いた途端、


「40」


「50」


「60」


「70」


「80」


「9――「100だ!」


 一気に価格が釣り上がっていく。


「すげえ勢いだな」


「まぁ、暴食竜の素材ともなると、かなり貴重なものですからね。期待通りです」


 アイシアは満足そうだ。

 そして無事に、かなりの高値でフレイムドラゴンの鱗は落札された。


「ありがとうございます。皆様のおかげで、とても有意義なオークションとなりました。こちらが手数料を差し引かせていただいた後の金額になります」


「おおっ! やったぞ!」


 俺は係員から大量の金貨が入った小袋を受け取る。

 ずしりと重い。


「すごい額ですわね!」


「拙者、感動してきたでござる」


「ばんざーい! これで私たちはお金持ちです!」


「ふむ。悪くはないのぉ」


「喜んでもらえて良かったのですにゃ」


 俺、エリス、桜、アイシア、ユーリ、ドラにゃん。

 みんなで喜びを分かち合う。

 これだけあれば、今後の生活もどうとでもなるだろう。

 さすがに一生遊んで暮らせる額には届かないが……。

 冒険者として普通に稼げばいいし、ドラにゃんから新たな鱗や爪をもらってまた売却するのもアリだ。

 俺たち『ニャンニャン・ガールズ』の未来、そして俺の異世界ライフは明るい。


「まずはみんなで打ち上げだぁっ!」


「「「「「おお~っ!」」」」」


 俺たちは街の食堂で好き放題飲み食いした。

 その後の俺たちは、波乱万丈な生活を送っていく。

 酔っ払って6人でハチャメチャなプレイをして街の噂になったり、二日酔いでダウンしたり、かつて知り合った村人ルウがパーティに加入したり、Cランク冒険者のガンツやグリズリーがストーカーのように付きまとってきたり、桜の故郷である和の国を訪れたり……。

 いろんなことがあったけど、それはまた別の話。


 ただ、これだけは言っておこう。

 俺の異世界生活は最高に楽しいものだったと!

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